<ethica編集長対談> イケアがヘルシーでサスティナブルな食品「ベジボール」を開発
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<ethica編集長対談> イケアがヘルシーでサスティナブルな食品「ベジボール」を開発

イケア・ジャパン フードマネジャー 佐川季由氏

先日イケア・ジャパンが2016年度の事業戦略と新商品に関する記者発表会を開催、その中で、万能食品「ベジボール」の販売を開始することが発表されました。

ベジボールは、ひよこ豆、ニンジン、トウモロコシなどが詰まったヘルシーでサスティナブルな商品です。

今回、イケア・ジャパン フードマネージャーの佐川季由氏とethica編集長の大谷が対談しました。

大谷 個人と世界のサスティナビリティを提案するwebマガジンethicaの大谷と申します。よろしくお願いいたします。

今回、イケアさんのフードが新しく変わりました。安心安全で、より健康的なものを低価格で届けたいということだと理解しましたが、その辺をもう少し詳しくご説明いただけますか?

佐川 今回の新商品ベジボールは体にとても優しい食品です。サスティナビリティの観点でいいますと、私たちがどうやって持続可能なライフスタイルを送っていけるかということはとても大事なことですので、カロリーをすごく抑えていて、通常のミートボールの約3分の2となっています。

それともう一つ、ベジボールは地球環境にも優しい商品なのです。ベジボールを作る段階から皆さんのお口に入るまで、CO2の排出量が通常の約20分の1にすぎないということも、覚えておいていただきたい大切なことだと思います。

イケアの新商品ベジボール

大谷 ethicaのコンセプトは「私によくて、世界にイイ」ということなのですが、ベジボールに関していえば、「私のカロリーによくて、世界の環境にイイ」ということですね?

佐川 ええ、まさしくその通りです。さっき、そのコンセプトをお聞きして、ぴったりだと思いました。

大谷 私どもは読者の皆さんに5つの提案をしているのですが、その中の一つが御社と同じように「いい商品の裏には、いいストーリーがある」ということなのです。

正確にいえば、御社の場合は「いい商品の裏には、いいアイディアがある」ということのようですが、より多くの人に健康で安全なものを低価格でお届けしたいというのは、まさしく「いいストーリー」だと思いますね。

イケア・ジャパン2016年度事業戦略と新商品に関する記者発表会後の試食会の様子

佐川 今回の新商品に限らず、すでにイケアフードでは、サスティナブルの観点からさまざまな取り組みを始めています。例えば、フライドポテトにはトランス脂肪酸を使用しておらず、植物油を使っていますし、日本の限定メニューであるローストビーフにしてもニュージーランドの牧場に放牧されている牛のホルモンフリーの肉を使用しているなど、体にとってサスティナブルなものを使っています。

もともとイケアにとって、ミートボールは1985年からスタートした、皆さんに最も愛されている食品です。数年前、イケアは企業としてスウェーデンの食文化を世界に広めたということで、スウェーデン政府から表彰されましたが、それがミートボールだったのです。それだけ皆さんに愛されている商品を、世の中のトレンドに合わせた形でお届けできるかと考えた時、たどり着いたのがベジボールだったというわけです。

また、世の中には食物に対してアレルギーをお持ちの方もたくさんおられます。ベジボールはグルテンフリーで、今問題になっている遺伝子分解による材料も一切使用していませんので、食べた後、胃に優しい食品になっています。その辺も開発の背景になっています。

イケア・ジャパン2016年度事業戦略と新商品に関する記者発表会後の試食会の様子

大谷 私も普段からイケアさんを愛用させていただいて、家具なども買わせていただいていますが、大きなショップですから、家族や友人と見て回って触って楽しむというのがイケアさんの醍醐味だと感じています。その中で、食も大きな魅力の一つで、その食にこだわっていらっしゃるということがよく分かりました。

今回の記者発表会では、家庭内でアウトドア感覚を家族で楽しむといったシーンが紹介されていましたが、スウェーデンでは、そうした文化が進んでいるのでしょうか?

佐川 ええ、そうです。何しろスウェーデンは冬が長いので、5月から8月のミッドサマーの間には、毎日のようにパーティをやって夏を楽しむのです。

大谷 いろいろな方にインタビューさせていただいて、日本人の消費のあり方が10年前と今とでは、ずいぶんと変わってきたなと思います。以前でしたら、例えばゴールデンウィークともなると、出かけていって疲れて帰ってきて、それで満足していましたが、今はちょっと違ってきました。

今の人たちは、庭やベランダで家庭菜園を楽しんだりといったように、どちらかというと気持ちの豊かさを求めているような気がします。もちろん節約ばかりで消費がしぼんでしまうのはサスティナブルではなく、働いている人がきちんとお金を稼いで、経済が回ることが持続性だと、私は考えていますから、そういう意味でも、企業も個人もメリハリを持ったほうがいいのではないでしょうか?

佐川 私もそう思います。これからの時代は、そうしたメリハリがもっとはっきりしてくるのではないかと考えています。家で、ただ空腹を満たすためにだけ食事をするのではなくて、家族や、あるいはたまには友人を呼んだりして、最近は家で楽しめる環境がすごく増えたと思いますね。

イケア・ジャパン2016年度事業戦略と新商品に関する記者発表の様子

佐川 それに、今まではなかなか手に入らなかった有名シェフのレシピなどもSNSで手に入るようになりましたし、そういう形で家で食を楽しんだり、その一方で、日本の人たちは外で食を楽しみたい、リフレッシュしたいという気持ちもどんどん根づいてきていると思います。そのメリハリの中で、たまには外で食事をしたいなと思った時に、イケアのレストランで提供できればと考えています。

大谷 今日は、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

佐川 こちらこそありがとうございました。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

ーーBackstage from “ethica”ーー

平成に入った頃からでしょうか。日本も豊かで便利になり成熟社会に入りました。今の日本は、物質的な豊かさよりも、どこかに置き忘れた気持ちの豊かさを求めているような気がします。もちろん節約ばかりで消費がしぼんでしまうのはサスティナブルではなく、働いている人がきちんとお金を稼いで、経済が回ることが持続性だと、私は考えています。

 

記者発表会で展開された『家庭内でアウトドア感覚を家族で楽しむ』をテーマとした劇はethicaのバックナンバーにてご紹介しています。

「ひとりでやっていたことを、みんなでやってみる。」「ダイニングが楽しいと、家はもっと楽しい。」「出かけるよりも、楽しいかも。」

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)〜
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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