義足のダンサー、大前光市さんが教えてくれること。「障害を個性にする」 リオ・パラリンピック閉会式で世界を魅了したプロダンサー(前編)
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義足のダンサー、大前光市さんが教えてくれること。「障害を個性にする」

今年のリオデジャネイロでのオリンピック、パラリンピックもあっという間に終わってしまいましたね。わたしも実家で母とテレビで観ておりましたが、閉会式はいつも感動と寂しさを感じて、毎回「次は4年後かあ。」なんてお決まりのセリフをつぶやいていました。

次回の五輪開催国としてオリンピック・パラリンピックともに閉会式を担った日本のパフォーマンスですが、今回のこの式、みなさんはご覧になりましたでしょうか?

セレモニーのテーマは『POSITIVE SWITCH』。今日の記事では、そのセレモニーにも出演した世界を魅了した義足のダンサー、大前光市(おおまえこういち)さんの、「障害を個性にする」アイディアをご紹介したいと思います。

先ずは、大前さんもご出演されたセレモニー映像のご紹介から。

画面のYouTubeで見るをクリックしてNHKのチャンネルに遷移してご覧下さい。

片足を失ってから、もう一度前に踏み出した人生

大前さんは1979年生まれの現在38歳。岐阜県出身のダンサーです。もともと高校生の時から舞台に立ちダンサーを志していたそうですが、いざプロとして活動を始めた23歳の時、交通事故で左足を切断。今まで積み重ねてきたすべてを失い、その後10年もの苦しい空白の時間を過ごされたそうです。

ある時、義足を外して踊ったことがきっかけで「自分にしかできないダンスがある」と気づき、解剖学やピラティス、武道、コンテンポラリーダンスなど様々な分野の研究とトレーニングを経て、世界で二つとない独自の個性を手に入れたのだとか。

現在はバレエ教室での講師を務めるほか、フリースタイルダンサーとしてダンス指導や講演も行っており、先のパラリンピック出演など世界的に活躍するダンサーとして注目を浴びています。先月10月にはバレエ用品で知られる大手ダンス用品メーカーCHACOTTの商品「Chacott×Tripure」イメージキャラクターに起用され、発表会を兼ねたスペシャルイベントではオリジナルパフォーマンスなどを披露して会場を沸かせました。

どうして義足で踊れるの?

大前さんが義足をつけて踊っていると、義足ということを忘れてしまうほど滑らかで魅力的なダンスの世界に引き込まれてしまいます。決して「義足だから」感動するのではないんです。本当にダンサーとしてすばらしい技術と雰囲気に魅せられます。どうしてそんなふうに踊れるのでしょうか?

その理由のひとつは、大前さんの障害でもあり、最大の個性でもある義足。大前さんはダンスの演目に合わせて長短さまざまな義足を使い分けています。ダンス用の義足は普段の生活用の足型が付いた義足とは違い、例えばより動きを大きく印象付ける右足よりも長い「かかし型義足」や、床を用いた演技やアクロバティックな動きに向いている「お椀型義足」など、特殊な形状をしているものがあります。普通のバレエダンサーとは違い、こうしたバリエーションを選択できることが大前さんにとってのオリジナリティであり、多様性となっているのです。

また、大前さんは事故で片足を失ったことによりダンスを一から学び直しています。そのため体の動きを体系的に理解しており、その知識を不自由な体で行うダンスに効果的に取り入れて踊っているそうです。大前さんの義足の存在を忘れさせるパフォーマンスは、大前さんのダンスに対する情熱と研究の成果とも言えるでしょう。

「自分だけができないこと」を「自分にしかできないこと」に変える

何かが「できない」ことを障害というのですから、障害を「個性」と簡単に賛美してしまうことはあまり正しくないかもしれません。けれどこの「できない」をかけがえのない特徴として受け入れた大前さんは、自分にしかできないダンスを愛し、障害の向こうにある可能性を切り開くことができたのです。

大前さんが「片足なのにすごい」ではなくて本当に素晴らしいダンサーであることは、その踊りを見れば一目瞭然です。それでも片足だからこそ、その精神力や努力、苦悩も人一倍であったことも確かです。「踊る喜び」を忘れずに再出発をして成功を掴んだ大前さんの姿勢に、思わず背筋が伸びました。(後編につづく)

ーーBackstage from “ethica”ーー

大前さんも講師として参加している大人のバレエ教室「大人から始めるHAPPYバレエ!」では、通常の趣味教室と違い、基礎から学び踊れるようになるためのバレエを教えているそうです。「うまく踊れなくて、相手にされない人の気持ち」そして「大人になってから踊れるようになる方法」を理解している大前さんだからこそ、本当の意味で大人にもバレエを教えることができるんだなあ、と納得しました。大前さんのダンスはYoutubeで少しだけ見つけることができますね。閉会式のパフォーマンスと合わせて、ぜひご覧になってみてください。かっこよくって、ゾクゾクしちゃいますよ!

ペンネーム:M. M.

後編では、大前光市さんのインタビュー記事を公開予定です。

公開タイミングは、ethica編集部facebook・Twitter・Instagramでご案内させて頂きます。

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