飼い主がいない犬猫はどうなる?動物福祉の今を、ボランティアの現場から探ります。 (財)クリステル・ヴィ・アンサンブル主催「Foster ACADEMY」 第19回セミナー「私たちが動物ボランティアをはじめた理由」
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飼い主がいない犬猫はどうなる?動物福祉の今を、ボランティアの現場から探ります。

Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

近年高まっている動物福祉への関心。犬猫の殺処分ゼロを掲げる自治体も増えつつあります。今回エシカでは、動物福祉について詳しく知りたいという人のための講座に参加して、動物ボランティアや寄付活動の今を探ってみました。セミナーに登壇したのは、動物福祉の分野で注目を集めている3団体。その代表が語る、ボランティアを始めたきっかけや活動内容に、受講生の関心が集まっていました。

公益社団法人 アニマル・ドネーション 代表理事/西平衣里さん

日本初のオンライン寄付サイトとして2011年から活動を始めたアニマル・ドネーション(通称アニドネ)。動物福祉活動を頑張っている団体と、その団体を支援したい人や企業を、寄付を通じてつないでいくサイトを運営しています。

「実際のボランティア活動は難しくても、寄付という面から支援したいという人はたくさんいます。私も、自分の得意なことや人脈をいかして、大好きな動物を助ける活動ができればと考えて立ち上げたのがアニドネです」と代表の西平さん。動物保護団体は全国にたくさんありますし、活動内容も様々。それだけに、どこにどうやって寄付をすればベストなのか分かりづらい面も。「各団体の活動内容を分かりやすく伝え、支援したいと思った時に、寄付がしやすい仕組みを作る。それをアニドネの使命としています」。

Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

アニドネは2015年には公益社団法人となり、企業からの寄付も増加。サポートする団体も増えつつあるそうです。「ドネーションとは寄付という意味ですが、アニドネでは資金集めだけでなく、アイデアを出し合って“発案”という面からもサポートしていきたいと考えています」。その思いから、現在では企業とのコラボレーションや、商品を購入すると売上の一部が寄付される[+(プラス)イイコト]などの企画も進行中だそうです。

「今後は、中間支援組織として、エッジの立った存在を目指しています。日本の動物福祉面において、正しい情報・人材・資金などのリソースが集まる場所となり、共感とアクションの輪が広がる仕組みをつくりたいです」と西平さん。

また、寄付サイトとは別に、高齢者や独居の人たちも安心してペットと暮らせるように、ペットへの遺贈(遺産を残せる仕組み)プロジェクトも進行中だそうです。人とペットの真の共生に向けて、日々知恵を絞っている組織でもあります。

アニマル・ドネーション ~キモチをカタチに。~
http://www.animaldonation.org/

+(プラス)イイコト
http://www.animaldonation.org/pages/project/iikoto

特定非営利活動法人Wonderful Dogs 代表/岩渕友紀さん

埼玉県川口市にある一軒家を事務所兼シェルターとして活動しているWonderful Dogs(通称ワンドク)。設立は2010年で、シェルターを開設したのは2013年。それまで大手金融会社にお勤めだった岩渕さんですが、中学生の時に読んだ動物の殺処分についての本からその厳しい現実を知り、個人での保護活動を続けてきたそう。そして4年ほど会社員として働いた後に、保護活動に本腰を入れようと決心。

「犬や猫が施設に連れて来られる主な理由は、飼い主の高齢化、入院、引っ越し、離婚など、人間の都合です。だから新しい飼い主とのマッチングを何より大切にしています」と岩渕さん。再び捨てられることのないように、犬の性格から病気、さらに将来の介護についてなど、デメリットを全て話したうえでトライアルを経て譲渡しています。「犬と暮らす楽しさやメリットは、譲渡会に来る人なら充分に知っているはず。だからデメリットの方をしっかり伝えます。さらに、飼う人のライフスタイルも確認。たとえば、お子さんがいれば受験や入学など成長の過程と、迎える犬の年齢によっては介護や看取りが重なる場合も。時間的・経済的なことまで予想して事前に覚悟しておく必要があります。そういったことも含めて徹底的に話し合います」。

Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

また、保護した犬が家庭にすんなり馴染めるように、シェルターはなるべく一般家庭に近い仕様にしているそう。スタッフはここで寝泊まりをするし、料理もするし、テレビもある。人との共同生活に慣れることができる環境です。また、シェルターのほかに、フォスター(一時預かりボランティア)も欠かすことのできない存在。岩渕さんは、各フォスターの状況や知識レベルを考慮して、犬と人とがベストなマッチングになるよう心掛けているそうです。

「動物を救いたい気持ちがあっても、犬を預かるボランティアだとハードルが高く躊躇する人も多いですよね。だから、できることから活動してみてはいかがでしょう。たとえば、保護犬のことをSNSで拡散したり、譲渡会の時だけのお手伝いでもとても助かります。チャリティーバザーやフリーマーケットを開催して、楽しみながら寄付をしてくれる人々もいます」。

現在までに1000頭以上の犬をレスキューしてきたワンドク。ちなみに、シェルターの名称は「ワンドック」。団体の通称ワンドク+船を建造・修理・係留するための施設の総称である「ドック」という意味も込めているそうです。ここから犬も人間もハッピーになれる新しい出航を願います。

Wonderful Dogs
http://www.wonderful-dogs.com/

特定非営利活動法人 キドックス 代表理事/上山琴美さん

茨城県土浦市の古民家を拠点に活動をしているキドックス。ここにいるのは保護されて来た犬だけでなく、人間の若者たちも。人間福祉と動物愛護の新たな可能性を拓く団体として注目されています。

代表の上山さんは、学生時代に子供の教育活動に関心を持ち、青年の支援活動に携わってきたそう。一方で、愛犬を亡くした経験から捨て犬の保護活動にも参加。そんな時に、犯罪を犯した少年が捨て犬を救う活動を取り入れているアメリカの少年院のプログラムが大きな実績を出していることを知り、現地で研修を受けたそうです。

キドックスに来る人の多くは、引きこもり、不登校、ネグレクトなどの問題を抱える若者たち。ここで犬の世話に携わりながら、命の大切さやコミュニケーション、社会スキル、チームワークなどを学び、自立を目指します。

「若者たちは、人間を警戒する犬の世話を根気よく行い、徐々に心をひらいていく姿に触れて、自分自身も人との接し方や頼り方を覚えていきます。犬にとっての成長が、人の心の成長にもつながります」と上山さん。

Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

犬の料理教室を開いたときは、発案から食材の検討・調理まですべて若者が主体となって行ったそうです。また、ドッグランも若者が作って整備。ホームページ運営も若者が手伝っているそう。「犬の世話を通じて、各自の能力を発揮して伸ばすことが大事。動物とふれあって癒されるドッグセラピーではなく、ここでは考えて行動するということに意味があります」

キドックスでは犬を直接保護する活動は行っていませんので、現在はシェルターから保護犬が通ってくるという犬の学校のような存在だそう。「今後の目標は、ドッグシェルターを作ること。茨城は殺処分が多い県で、野犬問題もあります。10代からの引きこもりも多いです。いま目指しているのは、人間福祉と動物福祉のモデルとなる組織になること」と上山さん。そのためには、まだまだ支援の手が必要。「動物ボランティアだけでなく、日曜大工やDIYが得意な人も大歓迎ですよ!」とのこと。動物飼育経験がなくても、得意分野で支援が可能です。

キドックス
http://kidogs.org

Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

ーーBackstage from “ethica”ーー

セミナー後半では、代表3名による座談会形式での質疑応答がありました。動物福祉の世界に飛び込もうとする受講生たちからは、運営資金の事など、現実的で鋭い質問もあり、高い関心と本気度がうかがえました。こうやって活動の輪や正しい知識が広がって、日本の動物福祉が世界に誇れるものになると嬉しいですね。私も動物は大好きですから、まずは自分にできることから始めようと思います。

記者 小田 亮子

神奈川県出身。求人広告、結婚情報誌などの制作ディレクターを経てフリーランスに。現在おもにブライダル関連のレポートを「ゼクシィ」「ゼクシィPremier」にてディレクション。「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」ほか、エステティック、化粧品、ジュエリーなどの記事をライティング。三人姉妹の真ん中に育ち、女子高・女子大卒。趣味は愛猫(雌)との女子会。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

小田亮子

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