謎だらけの縄文人の世界観【土偶女子・譽田亜紀子さん 徹底取材④】
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謎だらけの縄文人の世界観【土偶女子・譽田亜紀子さん 徹底取材④】

東京国立博物館で開催中の「縄文」展には6件の国宝が揃う。 [左]国宝《土偶 中空土偶》北海道・函館市蔵(函館市縄文文化交流センター保管) 写真:小川忠博 [右]国宝《土偶 縄文の女神》山形県蔵(山形県立博物館保管)

現在、上野の東京国立博物館にて「縄文—1万年の美の鼓動」展が開催されています。縄文時代の国宝6件すべてが初めて一堂に揃った同展は、先日、来場者20万人を突破。かつて岡本太郎が絶賛した躍動感あふれる縄文の造形表現は、最近では若い女性たちを魅了しているようです。

「土偶女子」として、縄文時代の魅力を様々な形で発信し続けている文筆家の譽田亜紀子(こんだあきこ)さんを、ethica編集部が取材しました。

【土偶女子・徹底取材企画】として全6回でお送りしていきます。

【徹底取材①】1万年前の日本のものづくりから受けた衝撃
【徹底取材②】子供も外国人も、誰もが楽しめる縄文
【徹底取材③】縄文人のライフスタイル

自然の中で研ぎ澄まされた感覚

ethica編集部: 縄文人は宇宙人だったなんて説もあるようですが、それこそ、ものの考え方や感じ方の1万年の違いって、隣の星の文化くらい隔たりがありそうですね。

譽田さん: 以前、友人たちと蓼科の山中の別荘地を訪れたことがあるんですが、夜中に遠くで物音がして、動物の目が向こうの方で青白くチラチラ光って、きゅーんきゅーんって鳴き声が飛んできて……。現代の私たちにとって、暗闇の中で一晩過ごすって、すごい体験だと思うんですが、縄文人にはあれが普通だったんですよね。

自然の脅威というか、目に見えない存在に対する感覚が、縄文人は研ぎ澄まされていたんだと思うんです。私たちはだいぶ、そうした感覚が鈍化してしまっていますが。

ethica編集部: 弥生時代になって稲作が普及して、その数百年で自然と人間との関係はかなり変わっていったんでしょうね。

側面に愛らしい人の形がついた土器。重要文化財《人形装飾付有孔鍔付土器》山梨・南アルプス市教育委員会蔵

自分たちも「自然の一部」

譽田さん: よく「縄文人は自然と共生していた」という風に言われるんですけれど、私は「共生」という言葉自体が現代の我々の価値観というか、縄文人にとってはちょっと違ったんじゃないかな、と思ってるんです。「共生」というのは、「自然」と「人間」それぞれが並び立っていますよね。でも、縄文人たちは、自分たちも「自然の一部」という感覚だったんじゃないかな、と。

ethica編集部: なるほど。確かに「共生」という考え方は、既に「自然」と「人間」を切り離して考えていますね。

譽田さん: というのも、貝塚って、生活で出るゴミと一緒に、土偶も人骨も出てくるんですよ。最近では、縄文人は「あらゆるものにはこの世界での役割がある」という風に考えていて、貝塚はそれら「この世界での役割を終えたもの」を送り還す儀式の場であったのではないか、とも言われています。

ethica編集部: 人間とそれ以外のものが、かなり対等な関係にあったんですね。

(続く)

【徹底取材⑤】縄文時代の子育てはみんなで?

【展覧会情報】

特別展「縄文—1万年の美の鼓動」
会期:2018年7月3日(火)〜9月2日(日)
休館日:月曜日
時間:9:30〜17:00 金曜・土曜日は21:00まで。日曜日は18:00まで。入館は閉館の30分前まで
会場:東京国立博物館 平成館(東京都台東区上野公園13-9)
公式サイト:http://jomon-kodo.jp

譽田亜紀子(こんだあきこ)

文筆家。岐阜県生まれ。京都女子大学卒業。奈良県橿原市の観音寺本馬遺跡の土偶との出会いをきっかけに、各地の博物館、遺跡を訪ね歩き、土偶、そして縄文時代の研究を重ねている。現在は、テレビ、ラジオ、トークイベントなどを通して、土偶や縄文時代の魅力を発信する活動も行っている。著書に『はじめての土偶』(2014年)、『にっぽん全国土偶手帖』(2015年、ともに世界文化社)『ときめく縄文図鑑』(2016年、山と溪谷社)『土偶のリアル』(2017年、山川出版社)『知られざる縄文ライフ』(2017年、誠文堂新光社)『土偶界へようこそ』(2017年、山川出版社)。近著に『縄文のヒミツ』(2018年、小学館)『折る土偶ちゃん』(2018年、朝日出版社)がある。『中日新聞』『東京新聞』毎週水曜日夕刊にコラム「かわいい古代」連載中。

【イベント情報】

土偶女子 こんだあきこ 梅之木遺跡を語る(山梨県考古学協会 2018年地域大会)

日時:2018年9月23日(日) 13:30〜16:00
会場:山梨県庁防災新館1階 オープンスクエア(JR甲府駅南口より徒歩5分)
パネラー:こんだあきこ、佐野隆、櫛原功一、今福利恵
問合せ:山梨県考古学協会事務局 055-263-6441
主催:山梨県考古学協会、山梨県立考古博物館、山梨県立博物館、縄文王国山梨実行委員会
後援:北杜市教育委員会

記者:松崎 未來

東京藝術大学美術学部芸術学科卒。同大学で学芸員資格を取得。アダチ伝統木版技術保存財団で学芸員を経験。2011年より書評紙『図書新聞』月刊誌『美術手帖』(美術出版社)などのライティングを担当。2017月3月にethicaのライター公募に応募し、書類選考・面接を経て本採用となり、同年4月よりethica編集部のライターとして活動を開始。関心分野は、近世以降の日本美術と出版・印刷文化。

ーーBackstage from “ethica”ーー

いよいよ「縄文展」の会期も残りわずか。混雑が予想されますが、まだ会場に行っていない方はぜひ足を運んで頂きたいと思います。会場には、縄文の遺物たちが、とてもいきいきとした表情で展示されています。三代前のご先祖さまのものすらほとんど残っていないのに、1万年も前のものがこうして遺っているって、奇跡のような確率ですよね。

【徹底取材①】1万年前の日本のものづくりから受けた衝撃
【徹底取材②】子供も外国人も、誰もが楽しめる縄文
【徹底取材③】縄文人のライフスタイル

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http://www.ethica.jp

松崎 未來

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