既存の映画の枠を振り切った斬新な作りで注目を集めた、覚醒体験映画『くう』。現在は2作目の『ウル』が公開されている。その監督と全編ナレーターとして、タッグを組んでいるのがトシワキタさんと總水(そうす)とおまさん。おふたりのこれまでの軌跡、出会い、そして目指していくことについて、『ethica』編集長・大谷が(鼎談形式で)インタビュー。独創的なクリエイターゆえの視点や、その活力の源を探った。
覚醒体験映画シリーズの詳細はこちら
http://kakuseieiga.com/
覚醒体験映画シリーズの監督トシワキタさん(左)と全編ナレーターの總水とおまさん。 Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
既存の映画の枠を振り切った斬新な作りで注目を集めた、覚醒体験映画『くう』。現在は2作目の『ウル』が公開されている。その監督と全編ナレーターとして、タッグを組んでいるのがトシワキタさんと總水(そうす)とおまさん。おふたりのこれまでの軌跡、出会い、そして目指していくことについて、『ethica』編集長・大谷が(鼎談形式で)インタビュー。独創的なクリエイターゆえの視点や、その活力の源を探った。
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大谷: おふたりのスチール撮影をしていると、まるで時空を超えたかのような深い絆が伝わってくるんです。生まれてからずっと一緒だったわけじゃないですよね(笑)。斬新な映像とナレーションを世に送り出してきたコンビは、それぞれどんな子供時代を過ごしたのでしょう。
ワキタ: 幼い頃は絵ばっかり描いてました。しかも与えられた紙の上だけじゃ収まらず、部屋の壁とかまで描いていたようで。その旺盛な創造欲を母が援護してしまって、わが家で展覧会まで開いてしまうほどだったとか。あまりに小さすぎて、まったく覚えていないんですけどね。
ワキタさんの実家に保管されていた幼少時代に描いた絵。
大谷: まさに生来のクリエイター。どんな絵を描かれたんだろう?きっと小学校の図工の成績とか、抜群に良かったんでしょうね。
ワキタ: 人や生き物、抽象的なモノ…閃いたものは何でも描いてましたね。自画自賛になってしまいますが才能はあったみたいで、いくつもの児童画展で入賞。作品が世界を回っていました。手元に戻ってこない絵も多かったんですよ。
大谷: 大切な絵が行先不明になっても許されるなんて、時代の大らかさを感じるエピソード。ワキタ少年は描き終ったモノへの執着より、次何を描くかの方が興味あったんでしょう。總水さんも、現在に繋がる幼少体験がおありですか?
總水: 実は小さな時は、体弱くて家に引き籠りぱなしだったのです。ピアノばかり弾いていたんですよ。
大谷: おお、良い流れのお話ですねえ。
總水: でも、ご期待に添えなくてごめんなさい。そこから直ぐに音楽とかナレーションとかにはいかないのです。私は男の子ぽい性格で、体が元気になっていくにつれ、おてんばなところが前面に出始めました。田舎に暮らしていたため、日が落ちるまでずっと外で遊んでばかり。崖を登ったり、化石掘りをしたり、秘密基地を造ったり…。そうした自然に囲まれて過ごした体験が、後の人生にも影響していったように思います。
大谷: なるほど。總水さんとの自然の関係性がどう深まり、変化していくのか興味深いですね。ところでワキタさん、天才絵描き少年が、今どうして映像の世界にいるんでしょう。
ワキタ: 実は映像に辿り着く前に、まだひとつヤマがあるんですよ(苦笑) 小学校の高学年ぐらいでマンガの虜になってしまって、高校に入ってしばらくは、マンガ漬けの毎日。ノートに自作のマンガを描きまくっていました。テスト用紙の裏にまで描いてしまって、先生を呆れさせてましたね。
大谷: 同じ頃にジャンプやヤンマガで、私もどっぷりはまってたクチです。どんなジャンルが得意でした?夢中になったマンガも教えてくださいよ。
ワキタ: 絵と同様ジャンルは問わずです。オチをしっかり考えて、ギャグマンガも随分と描いてましたよ。影響受けた作品はたくさんありますが、絞るとするなら『キン肉マン』や『AKIRA』とかですかね。
絵画→マンガ→映像と対象は変われど、クリエイティブに興味を抱き続けてきたワキタさん。 Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
大谷: あっ、監督は『AKIRA』の大佐そっくり(笑)
ワキタ: 良く言われます! 高校でマンガ研究部を起ち上げて、もうマンガ家になる気満々でした。でも高2の夏にアメリカの『マイアミバイス』に夢中になって友人と、VHSビデオカメラで“日本版”を創って撮影してしまったんです。これがなかなかのデキ。ド素人のはずがマンガを描いていたからか、シナリオも絵コンテも意外とできちゃうんですよ。そこから映画製作に魅せられてしまって、気づいたら「俺は映画監督になる」と宣言してました。
大谷: マンガから映画への転換早過ぎ。確かニューヨークで映像の勉強されたんですよね。どんな経緯でアメリカへ?
ワキタ: 大学受験はせずに、バイトしながらシナリオを書きつつ機会をうかがうってイメージだったんですけど、当然ですけど親に感づかれてしまって。
大谷: 逆鱗に触れたとか?
ワキタ: まあそうなんですけど、そこは普通の親とは違うんです。わが家の場合は「考え方のスケールが小さい」と怒られたんです。「本場のアメリカで学ばないでどうする?」って詰められて、結果大学の英文科を出てニューヨークの映画学校に入学しました。
大谷: 破天荒なご両親。でも羨ましい。どんな作品を撮っていたんですか?
ワキタ: 代表作として挙げているのが、監督した初の長編映画 『MARU』です。卒業制作として発表しましたが、これが学校を超えて称賛され、世界各国の映画祭で大変高い評価をもらったんですよ。
大谷: 作品が世界回るの得意ですね。さぞかしユニークな設定だったんでしょう。
ワキタ: 確かに変わっていましたね。さまざまな言語圏の人たちが一堂に介して会話を続けるという設定。一見話が通じていないんだけど、ちゃんとドラマが展開していくという内容で受けたんですよ。
「ニューヨークの映画学校の卒業制作で、とても高い評価をいただきました」。 Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
大谷: 總水さん。すみません、大佐が波乱万丈すぎてお待たせしてしまった。現在私たちのオフィシャルスポンサーであるサラヤのラジオCMのナレーションをされていますが、どういったご縁だったんですか。
總水: ふとしたタイミングで、マレーシアのボルネオのツアーに参加させていただいたんです。
大谷: ethicaでもしばしば取り上げているエコツアーですね。いつ頃行ったのですか?
總水: 2008年のことです。歌手の相川七瀬さんとご一緒しました。久しぶりに自然に囲まれたのですが、このときは幼い時と違って無邪気でいることはできませんでした。
「幼い頃はまるで男の子のようにやんちゃ。完全にアウトドア志向でした(笑)」。 Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
大谷: ボルネオから帰った方々とたくさん話してきましたが、リアルでシビアな体験をして、人生観が変わった方も少なくなかった。總水さんは?
總水: がらりと変わりましたね。10年も前なんですけど、しっかり覚えてるんですよまだ。人に親を殺された子象が保護されている施設を訪ねたところ、子象は保護された時はがりがりに痩せ細っていて、食べる物みな吐き出しちゃうと聞き心が痛みました。子象たちには、“PTSD”という病名が付けられていたんです。
大谷: 人と同じく象にも感情があると…。
總水: 人にとっては、大切な農園を荒らされてしまうから、象を傷める。象は家族や仲間を傷められたから、人を傷め返す。どっちが良く、どっちが悪い訳でもないんです。そこでショックだったのは、問題となる農園が異常に拡張してきたのは、先進国に暮らす私たちが豊かさを求めた結果と知った時です。
大谷: 苦しい旅になりましたね。この現実を總水さんが、どう受け止めて行動していくのか引き続き聞かせてください。
(後編に続く)
ボルネオのエコツアーで象の家族に会い、「いろいろ考えさせられました」と總水さん。(写真は總水さん撮影)
聞き手:大谷賢太郎 ethica編集長
あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業し、小粒でもぴりりと辛い(体は小さくとも才能や力量が優れていて、侮れないことのたとえ)『山椒』を企業コンセプトに作家エージェント業を始動、ショートフィルム映画『IN-EI RAISAN(陰影礼讃)』を製作プロデュース。2023年までに、5つの強みを持った会社運営と、その5人の社長をハンズオンする事を目標に日々奮闘中。
トシワキタ 映画監督/映像作家
1971年生まれ。ニューヨークで映画制作を学んだ後、同地で映画やテレビ番組の制作に数多く関わる。自身で監督した初の長編映画 “MARU”は世界各国の映画祭で大変高く評価された。その後イタリアに移住し活動を続け、日本へ帰国後はディズニーチャンネルなどで子供向けコンテンツの開発にも力を注ぎ、現在は東京を拠点にフリーの映像作家として活躍。異色な新作映画「ソクラテスは円を描く」が海外映画祭で審査員賞を受賞するなど、人間と映像の新たなあり方を開拓すべく、独自の方法論で映画やテレビ、CM、PV制作を続けながら、既成の映像分野に留まらず幅広い映像制作活動を展開している。現在、映画という枠を振り切った覚醒体験映画シリーズを展開中。
總水(そうす)とおま 歌手/女優/ナレーター
歌手・女優として活動している。各土地で感じるエネルギーからインスピレーションを受けて音楽を制作し、神社や国内外のイベントにて奉納演奏やライブを行う。2016年から今まで日本25都市を回り、2017年はハワイ、イギリス、バリにて奉納演奏を行う。トシワキタ監督の覚醒体験映画シリーズの全編ナレーションを担当。またサラヤ株式会社のラジオCMのナレーションやテレビCM映像のプロデューサーも務める。そのほかCDでは「奏」シャーマニックドラムと歌のソロ演奏。ソングユニット「カミムスヒ」のボーカルとしてライブ出演中に加えて、テレビやラジオナレーション、アニメやゲームの声優など多数
記者:とがみ淳志(とがみあつし)
1964年大阪府生まれ。神戸大学経済学部経済学科卒。日本旅のペンクラブ理事。日本旅行記者クラブ会員。(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート/SAKE DIPLOMA。1988年(株)リクルート入社後、海外旅行情報誌『エイビーロード』の営業および制作に。93年結婚情報誌『ゼクシィ』の創刊を担当。同誌の多角的運営に携わった後、99年退社後フリーに。現在は(株)トランスメディアで編集顧問を務めるかたわら、食、旅、酒、温泉、不動産、猫などの分野を中心に編集、プランニング、ライティングを行う。情報誌や雑誌、機内誌およびウェブなど幅広い媒体を手がけている。
ーーBackstage from “ethica”ーー
ボルネオエコツアーについては總水さんと同行した相川七瀬さんのバックナンバー記事とethicaTVをご参考に。
總水さんのボルネオのその後、そしておふたりの出会いは後編で。
デビュー20周年を迎え、ますます輝く相川七瀬さんに注目
http://www.ethica.jp/12864/
提供:サラヤ株式会社
https://www.yashinomi.jp
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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