近年その斬新さで注目されている覚醒体験映画シリーズ。監督のトシワキタさんと全編ナレーターでプロデューサーの總水(そうす)とおまさんを迎えた鼎談後編。それぞれの活躍から、出会って新たな境地に至るまでを、編集長・大谷がインタビューしました。
覚醒体験映画シリーズの詳細はこちら
http://kakuseieiga.com/
覚醒体験映画シリーズでプロデュースおよび全編ナレーターをされた總水とおまさん。Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
近年その斬新さで注目されている覚醒体験映画シリーズ。監督のトシワキタさんと全編ナレーターでプロデューサーの總水(そうす)とおまさんを迎えた鼎談後編。それぞれの活躍から、出会って新たな境地に至るまでを、編集長・大谷がインタビューしました。
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2008年に總水さんが訪れたボルネオで出合った猿。(写真は總水さん撮影)
幼少期の總水さんなら目を輝かせたであろう吊り橋。(写真は總水さん撮影)
總水: ボルネオの農園を巡って人と象に起こってしまった負の連鎖は、私たちが暮らす先進国が利便性や安さを求めたことに端を発していました。リーズナブルな衣服、化粧品、食料品…辿って行けば、こうした環境破壊につながるものが少なくなかったのです。
大谷: とはいえ、すぐに農園を縮小すると、今度はそれを生業に暮らす家族の生活が、あっという間に破たんしてしまう。
總水: そうなんです。原因の農園を無くせば解決するのかというと、事態はそんなに単純ではありません。長期的にバランスを取りながら対策を施し、見守っていく必要があると聞いて、環境破壊は一瞬なのに取り戻すのには途方もない時間がかかることを改めて実感しました。そして知らなかったとは言え、自分たちも間違いなくそこに加担している…。
大谷: 滅入ってしまいますよね。どのようにして、気持ちを立て直したのですか。
總水: 知ってしまった以上、見て見ぬ振りはできない。では、どうしたら私たちの責任を少しでも償えるのかと悶々と考えました。そんな時、(親を失った子象を保護する)施設でスタッフが子象と関係性を築こうと懸命に努力している光景を見て、可能性はまだ残されていると感じたのです。
總水さんにとって考えさせられることが多かったボルネオでしたが、希望を抱かせる虹もかかっていたようです。(写真は總水さん撮影)
大谷: 壊すのも人、でも救うことができるのも人、なんですね。
總水: ささやかなのですが、帰国してから毎年15畳ほどの土地を買って森に帰す“オーナー制度”に参加しています。そして売上の1%がボルネオ保全活動に使われているというサラヤさんの『ヤシノミ洗剤』や『ハッピーエレファント』を選んで使うようになりました。
ナレーションだけでなく、パッケージのイラストも描くなど多才。Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
大谷: そうした流れがあって、現在サラヤさんのプロモーションのお手伝いをされていると。
總水: 『ヤシノミ洗剤』や『ココパーム』のラジオコマーシャルでナレーターを担当しています。そう、『ヤシノミ洗剤』のパッケージには、私が描いたウサギのイラストも採用していただいたんですよ。
大谷: 總水さんにも絵心があったとは!
總水: フフフ(笑) 実は今年は監督と『ラカントS』のテレビCMをご一緒したんですよ。もちろん私がナレーションで。
大谷: 拝見しました。とてもナチュラルで柔和な感じ。でも、覚醒体験映画がふたりの初コンビ仕事だったんですよね?
ワキタ: もちろんそうです。それまでにたまたま共通の知人のライブで、顔は合わせていたんですけど。
總水: その時は、「ああ。こんにちは」ぐらいでしたね。
監督のトシワキタさんが、總水さんのナレーションを採用したのは、YouTubeがきっかけ。Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
大谷: そもそも覚醒体験映画はどのようにして生まれたんでしょう?
ワキタ: 仕事もプライベートも極めて順調な日々を送っていました。そんなある日ふと「これでいいのか?」という疑問が湧いてきたんです。自分には映像を使って世の中に貢献できることが、まだまだあるんじゃないかと自問自答を始めるようになりました。そうした想いが具現化したのが覚醒体験映画なのです。
大谷: きっかけは2011年の東日本大震災だったとか。
ワキタ: そうです。当時千葉にいてあの揺れを体感した時、これは尋常じゃないと分かりました。東北の惨状をテレビで観て、「あっ!このままでは近い将来人間が絶滅してしまうかもしれない」と。直感的に危機感を抱いて、直感的に手探りで映画を撮り始めんです。
日本中を旅して、ひたすら風景を撮り続けたワキタさん。Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
大谷: そして、あの映像が誕生した。
ワキタ: 今まで身に着けてきた映画制作の常識をいったんゼロにして、カメラ1台を携えて、大自然に向かっていきました。「頭で考える前に撮らなきゃだめだ」と自分に言い聞かせていましたね。次の段階、そうやって撮影した風景と楽曲しかない映像に息を吹き込んでくれるナレーターはいないかなと探し始めたのです。
總水: ちょうどその頃、私は自分の表現に悩んでいて、「もっと自分の中にある素の声や表現が出来ないかな」と模索していた時で、それを形にしたナレーションをYouTubeにアップしていました。とはいえ、これではナレーションの需要はないかなとか、誰にも見つからないかもと思っていたら…
ワキタ: 私に見つかってしまった(笑)
總水: おかげで刺激的なプロジェクトに参加することが叶いました。YouTubeに感謝ですね。
おふたりの話を聞いていると、実績を積み上げていくことも大切だけど、そこに縛られず直観的に勝負してこそ道が拓けることも伝わってきます。Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
大谷: おふたり既に十分なキャリアがあるのに、殻を破って勝負をしたがゆえに新しい境地が開かれたんですね。さて、いつも『ethica』ではみなさんにお尋ねしているんですが、おふたりの“私によくて、世界にイイ。”を教えてください。
ワキタ: やっぱり「映画を観てくださいね」に尽きます。思考や意識を離れたところで、人間が本来持っているはずの感覚を取り戻していただけると嬉しいな。これから先も、こうした映像を創る“変態”であり続けたいですね(苦笑)
大谷: 変態って(笑)。初作を観ましたが、何と表現していたら良いのやら正直分からないんです。
ワキタ: それでいいんです。むしろ、言葉で説明されたら困る映画なんです。理屈ではなく、感性で観ていただければと。
「2作目の覚醒体験映画『ウル』をぜひ観てくださいね」。Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
總水: 私は “表現者”であり続けたいなと思っています、変態までは望みません(笑)。さて“私によくて、世界にイイ。”――そう、メンタルなアプローチで言うと、自分を常に“ご機嫌”にしておくことですね。すると周りの人々に温かな気持ちが伝播して、みなさんご機嫌になるし(笑)
「自分がご機嫌になることが何より大事なんです」。Photo=YUSUKE TAMURA (TRANSMEDIA)
大谷: 自分をご機嫌にするって、かなり難しくないですか?
總水: 例えば「疲れた」と思ったら、「今夜は気持ちよく寝られるな」に置き換えるとか。回答を他の角度からも探してみるんです。是非試してみてください。
大谷: やってみよう!おふたりとも、本日は貴重なお時間をありがとうございました。
聞き手:大谷賢太郎 ethica編集長
あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業し、小粒でもぴりりと辛い(体は小さくとも才能や力量が優れていて、侮れないことのたとえ)『山椒』を企業コンセプトに作家エージェント業を始動、ショートフィルム映画『IN-EI RAISAN(陰影礼讃)』を製作プロデュース。2023年までに、5つの強みを持った会社運営と、その5人の社長をハンズオンする事を目標に日々奮闘中。
トシワキタ 映画監督/映像作家
1971年生まれ。ニューヨークで映画制作を学んだ後、同地で映画やテレビ番組の制作に数多く関わる。自身で監督した初の長編映画 “MARU”は世界各国の映画祭で大変高く評価された。その後イタリアに移住し活動を続け、日本へ帰国後はディズニーチャンネルなどで子供向けコンテンツの開発にも力を注ぎ、現在は東京を拠点にフリーの映像作家として活躍。異色な新作映画「ソクラテスは円を描く」が海外映画祭で審査員賞を受賞するなど、人間と映像の新たなあり方を開拓すべく、独自の方法論で映画やテレビ、CM、PV制作を続けながら、既成の映像分野に留まらず幅広い映像制作活動を展開している。現在、映画という枠を振り切った覚醒体験映画シリーズを展開中。
總水(そうす)とおま 歌手/女優/ナレーター
歌手・女優として活動している。各土地で感じるエネルギーからインスピレーションを受けて音楽を制作し、神社や国内外のイベントにて奉納演奏やライブを行う。2016年から今まで日本25都市を回り、2017年はハワイ、イギリス、バリにて奉納演奏を行う。トシワキタ監督の覚醒体験映画シリーズの全編ナレーションを担当。またサラヤ株式会社のラジオCMのナレーションやテレビCM映像のプロデューサーも務める。そのほかCDでは「奏」シャーマニックドラムと歌のソロ演奏。ソングユニット「カミムスヒ」のボーカルとしてライブ出演中に加えて、テレビやラジオナレーション、アニメやゲームの声優など多数
記者:とがみ淳志(とがみあつし)
1964年大阪府生まれ。神戸大学経済学部経済学科卒。日本旅のペンクラブ理事。日本旅行記者クラブ会員。(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート/SAKE DIPLOMA。1988年(株)リクルート入社後、海外旅行情報誌『エイビーロード』の営業および制作に。93年結婚情報誌『ゼクシィ』の創刊を担当。同誌の多角的運営に携わった後、99年退社後フリーに。現在は(株)トランスメディアで編集顧問を務めるかたわら、食、旅、酒、温泉、不動産、猫などの分野を中心に編集、プランニング、ライティングを行う。情報誌や雑誌、機内誌およびウェブなど幅広い媒体を手がけている。
ーーBackstage from “ethica”ーー
編集長と同じく、出会うべくして出会ったんだな、という風に感じられたワキタさんと總水さんの深い絆。それぞれの高いプロ意識ゆえ、セーフティーゾーンに留まり続けることを自分に許さない意志の強さは、ついつい限界線を引いてしまいがちな自分の戒めとなりました。他人事ではなく感じられた読者も少なくなかったのではないでしょうか。自分の殻を少しでいいから破って、前へと踏み出そう…。まさにおふたりに覚醒させられたインタビューだったと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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