オムロンの企業理念実践 Our Mission & Our Value 【サステナブル・ブランド国際会議2018東京】レポート『オムロン編』
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オムロンの企業理念実践 Our Mission & Our Value

「サステナブル・ブランド 国際会議2018東京」で基調講演を行ったオムロン株式会社の会長、立石文雄氏。

当媒体がメディアパートナーを務めた「サステナブル・ブランド 国際会議2018 東京」は、2018年3月1日と2日の二日間、ヒルトン東京お台場で開催されました。サステナビリティ(持続可能性)とブランド戦略の統合をテーマに米国でスタートしたこの国際会議は、現在世界12都市で開催されており、日本では2016年から東京で開かれています。

本記事では、「Plenary Sessions」(国内外のサステナビリティ有識者、先進ブランドの代表者による基調講演)で二日目に登壇したオムロン株式会社の会長、立石文雄氏のスピーチ「オムロンの企業理念実践 -社会ニーズに応え、持続可能な企業をつくる-」の内容の一部をご紹介します。

開催2日間で、サステナビリティ有識者、先進ブランドの代表者たちによる数々の講演、パネルディスカッションのプログラムが用意されている。

社員は全世界に約36,000人! グローバル企業「オムロン」

「オムロン」という社名を聞いて、多くの人がまず思い浮かぶのは血圧計や体温計といったヘルスケア商品ではないでしょうか。でも、それはオムロンの事業のほんの一部。オムロンは、独自の「センシング&コントロール+Think」技術を中核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、電子部品、車載電装部品、社会インフラ、ヘルスケア、環境など多岐に渡る事業を117か国で展開しています。

そんなオムロンの企業活動の根幹にあるのが「企業理念」の重視です。オムロンでは、持続的な企業価値の向上を図り、グローバルな視点で社会の持続的発展を追求していくことを使命としています。その取り組みは、国際的な評価を得ており、国内でも2018年3月、経済産業省主催の「新・ダイバーシティ経営企業100選」と「なでしこ銘柄」(2017年度)をダブル受賞しました。

現在、オムロンの社員数は全世界に約36,000人。うち68%が日本以外の国籍だそうです。言語も環境も異なる様々な国や地域で、多様な人材が働きやすい職場環境をつくっていくことは、企業が成長していく上でとても重要。今回のスピーチで、立石会長はオムロンの発展の礎となってきた創業者の想い、企業理念の実践についてお話しくださいました。

世界中に社員を抱えるオムロンは、2018年、多様な人材の能力を活かし、価値創造につなげている企業を表彰する「新・ダイバーシティ経営企業100選」、女性活躍推進に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」をダブル受賞。

創業者・立石一真の想い「よりよい社会をつくりましょう」

オムロンは1933年に大阪で創業しました。創業者の立石一真(立石会長のお父上)は、1959年に「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という社憲を掲げました。この社憲を制定した背景の一つには、1948年に起きた労働争議があったと立石会長は語ります。

 

立石会長: 当時、創業者は「経営者側と労働者側が同じ方向を向いて一体となり、企業を成長させていくこと」について悩んでいました。その後、彼は1953年にJEMA(日本電機工業会)主催の米国視察団に参加したことにより、米国での経済発展の源泉は、星条旗に込められた想いやフロンティア精神などの「理念」にあるということに気づきました。そして、同じく企業にも「理念」が必要であるとの確信をもち、1959年に「企業の公器性」を精神とした社憲を制定したのです。

 

この社憲制定のもう一つの背景に、立石会長は創業者が苦学生であった境遇を挙げます。

 

立石会長: 創業者は小学一年生のときに父親を病気で失い、小学五年生のときから大学卒業まで、家計を支えるため新聞配達をしていました。大学も国の奨学金で進学したため、社会への感謝や恩返しの気持ちが強かったのです。こうした経歴が「よりよい社会をつくりましょう」という社会性のある言葉につながったのではないかと思っています。

オムロンの企業理念の起こりについて、父であり創業者である立石一真の半生に触れる立石会長。

誰にでもわかりやすくシンプルに オムロンのMission(使命)とValue(価値)

経営者としての苦悩の末に生まれた「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という社憲は、その後長らくオムロンの経営の大きな指針となってきました。

しかし、1991年1月に創業者が亡くなり、企業規模の拡大とともに、創業者の顔を知らない社員も増えてきました。そして、2003年には創業家以外から社長が就任したことから、2006年に経営の求心力を創業者から企業理念に置き換えたのだそうです。

 

立石会長: 社名を「立石電機」から(商標であった)「オムロン」に変更したのちも、社憲に込められた想いのDNAを変えることなく、社員全員が企業理念の考え方を理解し、企業理念に基づいた行動を実践できるよう、時代背景やそのときの事業規模に合わせ、これまで三度にわたって企業理念を実践的な内容に改定してきました。

 

現在のオムロンの企業理念は、2015年の改定で「Our Mission」と「Our Values」の二階層に。世界中にいる社員たちの誰もが理解しやすくシンプルなものになっています。

立石会長: 多くの企業が『顧客満足』を第一とする中で、『ソーシャルニーズの創造』という点は、外部の方からも注目されています。また『し続けます』という継続性に私どもはこだわっています。

 

なるほど、社会的需要に応えるのではなく、社会的価値を創造していこう、というオムロンの姿勢は非常に意欲的です。

 

立石会長: 企業理念は、現場と経営の距離を近づけるものであると思っております。そこで私は企業理念を太陽にたとえ、その光が強ければ強いほど、オムロンの価値を社会や顧客まで届けることができる、という風にお話しています。

企業理念を実践するさまざまな活動

オムロンでは、上記の企業理念を会社全体に浸透させるために、さまざまな取り組みを行っているそうです。立石会長は、この日のスピーチで、数ある取り組みの中から2つの活動を紹介くださいました。

・社内表彰制度「TOGA(The OMRON Global Awards)」

社員一人ひとりが自らの仕事と企業理念を結びつけることを目的として、2012年度からスタートした取り組み。参加者は年々増え続け、今年度は世界中から50,000人を超える応募があったそうです。(※ 一人の社員が複数のテーマで応募可能のため、応募者数が社員数を上回る結果となっています。)

最終的に、グローバルベースの各リージョンから選ばれた13チームが、京都本社でプレゼンテーションを行います。受賞者は自身の仕事に対するモチベーションを上げることができ、また他の社員たちは世界各国の社員のチャレンジを知ることで大いに刺激を受けているといいます。

・企業理念の実践の意義と方法を語り合う「会長ダイアログ」

立石会長が10年以上にわたり、取締役として「草の根的に」実施してきた、企業理念に関する対話の場。国内外の主要拠点に赴き、現地マネージャーと企業理念の浸透・実践について議論します。経営のトップが自ら現場に足を運ぶという姿勢によって、企業理念の実践がいかに重要であるかを現場の社員に訴えかけているそうです。

企業理念の実践の具体例として、社内表彰制度「TOGA」と立石会長自ら現場に赴く「会長ダイアログ」の二つの活動を紹介。

サステナビリティへの取り組み 2020年、2030年、その先へ

立石会長は、最後にオムロンの「サステナビリティ」に関する取り組みを紹介くださいました。

オムロンでは、2011年に3回目となる10年間の長期ビジョン「Value Generation 2020(VG2020)」を公表し、「質量兼備の地球価値創造企業」を目指しています。2017年度には「VG2.0」と名付けた2020年までの中期経営計画をスタートさせましたが、その中で、新たなソーシャルニーズを予測し、今後注力していく領域として「ファクトリーオートメーション」「ヘルスケア」「モビリティ」「エネルギーマネジメント」の4つを挙げています。

そしてオムロンでは、上記4つの領域での事業と、それを支え実現するための事業活動全体を通じて、国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals)に貢献していくことを表明しました。

詳しくはオムロンの「VG2.0」のウェブサイトをご覧いただきたいのですが、企業成長と社会的課題をここまで明確に結びつけ、また誰の目にも明快な形で公示(日英両サイトで明記)している点(※)に、これまでの立石会長のお話の中にたびたび出てきた「理念の実践」という言葉の重みを実感します。

(※ 2018年2月、オムロンは日本企業が発行する年次報告書の中で特に優れたものを表彰する「日経アニュアルリポートアウォード」(2017年度)でも、グランプリを受賞しています。)

 

オムロンの中期経営計画 VG2.0では「技術の進化を起点に、イノベーションを創造し、自走的成長を実現」することを掲げている。

立石会長: 今後もさらに事業機会を拡大すると同時に、中期経営計画と統合し設定したサステナビリティ目標の達成を通じ社会的価値を創出することが肝要だと思っています。オムロンでは、サステナビリティに対する取り組みに、ステークホルダーの目を取り入れ、第三者機関の評価で役員の中長期業績連動報酬を決めることにいたしました。2020年、ダウ・ジョーンズの「DJSI(Dow Jones Sustainability Induces)World」にオムロンが採択されれば、ボーナスがもらえる、ということにしております。

 

このように立石会長は2020年に向けた具体的な目標を掲げ、スピーチの最後を以下のように締めくくりました。

 

立石会長: 企業理念を基軸にしたサステナビリティへの取り組みを推進することで、社会が発展し、オムロンも成長していく。社会の持続的発展とオムロンの持続的発展は、企業理念によって結びつき、両方の発展を実現し続けることがわれわれの使命ではないかと思っております。

オムロンが目指しておりますのは、事業を通じた社会的課題の解決に他なりません。その使命を果たし続けることによりまして、現在の長期ビジョンの最終年度であります2020年以降も、オムロングループの企業価値は向上し続けることができると確信しております。

「サステナブル・ブランド 国際会議」は、2019年も3月6日・7日の2日間、ヒルトン東京お台場で開催される。

この日、立石会長がお話くださったオムロンのさまざまな活動は、オムロンの企業ウェブサイトでも紹介されています。社外向けにも非常にわかりやすくなっていますので、ぜひ一度ご覧になってみてください。

オムロンウェブサイト https://www.omron.co.jp/

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記者:ethica編集デスク 松崎未來

東京藝術大学美術学部芸術学科卒。同大学で学芸員資格を取得。アダチ伝統木版技術保存財団で学芸員を経験。2011年より書評紙『図書新聞』月刊誌『美術手帖』(美術出版社)などのライティングを担当。2017月3月にethicaのライター公募に応募し、書類選考・面接を経て本採用となり、同年4月よりethica編集部のライターとして活動を開始。関心分野は、近世以降の日本美術と出版・印刷文化。

ーーBackstage from “ethica”ーー

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サステナブル・ブランド国際会議 2019東京

日程:2019年3月6日(水)・7日(木)
会場:ヒルトン東京お台場(東京都港区台場1-9-1)
http://www.sustainablebrands.jp/event/sbt2019/

 

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松崎 未來

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