《第72回カンヌ国際映画祭》クエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』プレミアから
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
《第72回カンヌ国際映画祭》クエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』プレミアから

左から、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に出演している、ダコタ・ファニング、タランティーノ監督の妻、ダニエラ・タランティーノ(写真提供:Chopard)

2019年5月21日、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(原題:Once Upon a Time in Hollywood)が、8日目を迎えたカンヌの地でプレミア上映されました。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットのダブル主演による今回のコンペティション部門の注目作について、その日のレッドカーペットの賑わいととともにお伝えします。

映画への深い愛から生まれる、タランティーノ作品

タランティーノ監督とカンヌ国際映画祭の縁と言えば、何と言っても1994年に彼が監督2作目で最高賞パルム・ドールを勝ち取った『パルプ・フィクション』によって映画界に旋風を巻き起こしたことが、まず挙げられるでしょう。時間軸をバラバラにした独特なストーリー運びと、過激なバイオレンス作品ながらも笑いどころ満載の演出は、今観ても斬新そのもの。

Pulp Fiction | Official Trailer (HD) – John Travolta, Uma Thurman, Samuel L. Jackson | MIRAMAX

もともとタランティーノは、子供のころから母親と一緒に映画を観て育ち、レンタルビデオ屋の店員となったその後も映画漬けの日々を送っていた生粋の映画マニアでした。

そして、いつしか創作意欲に目覚め、脚本を書き始めます。

彼がその眼に焼きつけてきた幾多の作品への造詣とその深い愛から、過去の映画の名シーンを再現したり、かつて一世を風靡した俳優を起用したり、そんなことが彼の創作エネルギーの源になっています。

彼の映画には、ときには個人的な趣味丸出しのシーンや配役があったりもします。商業的な成功を最優先して、勝利の方程式にしたがって制作された毒気の全くない映画とは異なる、クセの強いアルコール飲料のような独特の口当たりを持っているのが、彼の作品の魅力でもあります。

今回の舞台は、1969年のハリウッド

そんな彼が2019年のカンヌのタイミングに合わせてきた最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、タランティーノがファンであることを明言している映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を意識したタイトルであることは言うまでもないでしょう。

タランティーノ監督のこの新作は、1969年のハリウッドで実際に起きた事件を題材にしたミステリーです。レオナルド・ディカプリオは落ち目のテレビ俳優、ブラッド・ピットがそのスタントマン。そして、この二人に絡むのが、マーゴット・ロビー演じる映画女優と、ハリウッドの重鎮・アル・パチーノが扮する映画プロデューサー。

この豪華な俳優陣を、タランティーノ監督が一体どう「料理」したのか?2019日8月30日からの日本での公開が楽しみです。

クエンティン・タランティーノ監督「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

プレミアのレッドカーペットを飾ったゲストたち

本作のプレミアには、多くのセレブたちがレッドカーペットに集結しました。

まずは、この映画に出演している米国の女優ダコタ・ファニング/ Dakota Fanningと、彼女の妹であり、今年度のコンペティション部門の審査員でもあるエル・ファニング/ Elle Fanningが揃って登場。

ダコタ・ファニング(写真提供:Chopard)

エル・ファニング(写真提供:Chopard)

カナダのモデル、ココ・ロシャ/ Coco Rochaの耳元には、サファイアとダイヤモンドをフィーチャーしたホワイトゴールドのゴージャスなイヤリングが輝いています。

また、前日の夜、若手俳優を称える「ショパール・トロフィー」を授与する大役を全うしたチャン・ツィイー(章子怡/Zhāng Zǐyí)も、笑顔を見せてくれていました。

ココ・ロシャ(写真提供:Chopard)

チャン・ツィイー(写真提供:Chopard)

以上、映画祭の終盤を迎えたカンヌの盛り上がりをお伝えしました。

お楽しみいただいた第72回カンヌ国際映画祭の連載企画も、いよいよ次回で最終回、最高賞パルム・ドールの結果発表とクロージングの模様をお伝えします。

公式サイト
https://www.festival-cannes.com/

《第72回カンヌ国際映画祭》連載企画

《第72回カンヌ国際映画祭・Day1》煌びやかなレッドカーペットから、ゴージャスなショットをお届け

《第72回カンヌ国際映画祭・Day2》ショパールのレッドカーペットコレクションから

《第72回カンヌ国際映画祭・Day3》注目の音楽映画『ロケットマン』を上映、エルトン・ジョン本人もレッドカーペットに登場

《第72回カンヌ国際映画祭》チャン・ツィイーをゴッドマザーに指名

《第72回カンヌ国際映画祭・Day4》ペドロ・アルモドバル監督の『Pain and Glory』プレミアを飾ったセレブリティたち

《第72回カンヌ国際映画祭》マライア・キャリーの圧巻パフォーマンスに酔いしれる 〜ショパールLOVEナイトより

《第72回カンヌ国際映画祭》若手俳優に贈られる「ショパール・トロフィー」授賞式から

《第72回カンヌ国際映画祭》クエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』プレミアから

記者:山田勲

上智大学理工学部卒。1985年ソニー株式会社入社。ソニー・ミュージックエンタテインメントEPICソニーレコードのディレクターを経て、インタービジョン・レーザーフィッシュ取締役などを歴任、ethica編集部では音楽制作の現場経験を活かし、音楽を中心にエンタメ分野のライティングを担当。これまで担当した著書に「デジタルエレクトロニクスの秘法」(岩波書店ジュニア新書)、「0と1の世界」(教育出版・中学国語3)の寄稿がある。

ーーBackstage from “ethica”ーー

最近は「eスポーツ」と言って、テレビゲームの高度なプレイを競技として人に見せることがビジネスになり始め、そのテクニックを誰よりも極めた人たちが、プロゲーマーとして食べていける時代になってきています。

タランティーノ監督がレンタルビデオ店で映画談義に明け暮れていたころ、映画に関しての彼の知識レベルと情熱は、それに近い高みに達していたのかも知れません。

と言うのは、日本映画だけでも、彼が好きだと公言している作品群は、海の向こうの人がそこまで観ていたとは信じがたいものばかりだからです。

彼の監督作品『キル・ビル』は、残虐すぎてちょっとあっけに取られてしまいますが、そのエンディングに流れる「怨み節」を歌っているのが、昭和の女優で歌手の梶芽衣子さん。彼女が出演した映画をこよなく愛するタランティーノ監督のご指名によるものです。

そんな梶芽衣子さん、この2019年の春は、金曜深夜が待ち遠しい、ほっこりするテレビドラマ『きのう何食べた?』で、西島秀俊のお母さん役を務めています。全くの別人となった彼女のこの出演作も、タランティーノさんはチェックするのでしょうか?

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

山田 勲

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【ethica Traveler】連載企画Vol.4 宇賀なつみ (第3章)アリス・ウォータースの哲学
独自記事 【 2024/2/28 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【ethica Traveler】連載企画Vol.3 宇賀なつみ (第2章)W サンフランシスコ ホテル
独自記事 【 2024/2/14 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.2 宇賀なつみ (第1章)サンフランシスコ国際空港
独自記事 【 2024/1/31 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【Earth Day】フランス商工会議所で開催するイベントにてethica編集部が基調講演
イベント 【 2023/4/3 】 Work & Study
来たる4月22日は「アースデイ(地球の日)」地球環境を守る意思を込めた国際的な記念日です。1970年にアメリカで誕生したこの記念日は、当時アメリカ上院議員だったD・ネルソンの「環境の日が必要だ」という発言に呼応し、ひとりの学生が『地球の日』を作ろうと呼びかけたことがきっかけでした。代表や規則のないアースデイでは、国籍や...
SDGsやエシカルについて学べるインターネット教養番組のシーズン3がスタート!
独自記事 【 2023/10/10 】 Work & Study
持続可能な開発目標(SDGs)が国連サミットで採択された2015年から8年。サステナブルやSDGsといった価値観は耳に馴染んできたものの、まだまだ知らないことがたくさんありそうな奥の深い世界です。エシカでは、「森キミ」ことモデルの森貴美子さんと、環境系エンターテイナーのWoWキツネザルさんが共演するSDGsやエシカルに...
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(序章)と(第1章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/17 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開しています。今回は、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える」の序章と第1章についてのあらすじと見どころをお届け!(記者:エシカちゃん)
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(第2章)と(第3章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/24 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開中。さまざまなメディアから少しずつ情報を得、それをパズルのように組み合わせてひとつのストーリーを見出す、新しいメディア体験です。 今回は、前回に引き続き、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビュ...
【エシカ独占インタビュー】宇賀なつみ 初エッセイ本『じゆうがたび』刊行記念
独自記事 【 2023/6/19 】 Work & Study
先月、長らく続いていた新型コロナウイルス感染症が5類感染症の位置付けとなったことで、ようやくマスクをはずして外出や旅行に繰り出す人々が増えてきました。旅行や観光業界の中では、近年世界中で注目されているものに「ウェルネスツーリズム」(※)というものがあります。そのトレンドを大々的にピックアップしたイベント、「ウェルネスツ...
SDGsやエシカルについて学べるインターネット教養番組のシーズン2がスタート!
独自記事 【 2022/11/7 】 Work & Study
持続可能な開発目標(SDGs)が国連サミットで採択された2015年から7年。サステナブルやSDGsといった価値観は耳に馴染んできたものの、まだまだ知らないことがたくさんありそうな奥の深い世界です。エシカでは、「森キミ」ことモデルの森貴美子さんと、環境系エンターテイナーのWoWキツネザルさんが共演するSDGsやエシカルに...
テーマは、ナチュラルモダン『自立した女性』に向けたインナーウェア デザイナー石山麻子さん
独自記事 【 2022/9/19 】 Fashion
株式会社ワコールが展開する、人にも自然にもやさしいを目指すインナーウェアライン「ナチュレクチュール」。オーガニックコットン100%のラインアップが注目を集め、肌あたりやシルエットの美しさが話題になっています。その期待に応える形で、今年9月に新作グループも加わりました。やさしさを突き詰めた製品は、どのような想いや経緯から...
幸せや喜びを感じながら生きること 国木田彩良
独自記事 【 2021/11/22 】 Fashion
ファッションの世界では「サステナブル」「エシカル」が重要なキーワードとして語られるようになった。とはいえ、その前提として、身にまとうものは優しい着心地にこだわりたい。ヨーロッパと日本にルーツを持ち、モデルとして活躍する国木田彩良さんに「やさしい世界を、身に着ける。」をテーマにお話を聞いた。
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
東京マラソンと東レがつくる、新しい未来
独自記事 【 2022/5/2 】 Fashion
2022年3月6日(日)に開催された東京マラソン2021では、サステナブルな取り組みが展開されました。なかでも注目を集めたのが、東レ株式会社(以下、東レ)によるアップサイクルのプロジェクトです。東レのブランド「&+®」の試みとして、大会で使用されたペットボトルを2年後のボランティアウェアにアップサイクルするとい...

次の記事

《第72回カンヌ国際映画祭》若手俳優に贈られる「ショパール・トロフィー」授賞式から
《第72回カンヌ国際映画祭・最終日》韓国映画初のパルム・ドール受賞で閉幕

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます