大切なのは「目の前のひとり一人と向き合う」こと。 【前編】スターバックス コーヒー ジャパン Social Impact チーム 酒井 恵美子さんインタビュー
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大切なのは「目の前のひとり一人と向き合う」こと。

エシカルなコーヒー豆の購買率 99 % を達成したことにちなみ、毎年9月9日に全国のスターバックス店舗で行われる「 99 キャンペーン」

キャンペーン開始から5年目となる今年、中目黒の「スターバックス リザーブ ® ロースタリー 東京 」ではじめての「 99 キャンペーン」イベントが実施されました。

前編では「 99 キャンペーン」企画を担当するスターバックスのSocial Impact チームの酒井 恵美子さんをインタビュー。酒井さんご自身の取り組みや、スターバックスのエシカルなコーヒーの調達についてお話を伺っていきます。

(記者:ethica編集部・ヒカリ)

(右)スターバックスのSocial Impact チームの酒井 恵美子さん

Social Impact チーム・酒井 恵美子さんインタビュー

ヒカリ: 酒井さん、初めまして。本日はどうぞよろしくお願いします!

酒井さん: こちらこそよろしくお願いします!

ヒカリ: 今回は、9月9日に全国のスターバックス店舗で行われている「99 キャンペーン」に合わせ、スターバックスが取り組むエシカルコーヒー調達のお話を詳しく伺わせていただくのですが、

その前に、これまでにもSocial Impact チームで様々なプロジェクトに関わってこられた、酒井さん自身のご経験や想いについても、ぜひ語っていただきたいと思っています。

まずはじめに、酒井さんがSocial Impact チームに配属される前のご経験について、聞かせていただけますでしょうか?

酒井さん: 私は2012年3月から、現在のSocial Impact チームに所属しています。その前までは、各地域に根差した活動をサポートするローカルマーケティングに携わっていました。スターバックスは全国に1,400を超える店舗がありますが、地域ごとの特色を打ち出して、店舗がその地域に根付いていくようなコミュニケーション活動を行う仕事です。

ヒカリ: 私も以前、金沢旅行の時に現地のスターバックスを訪れたのですが、地元の伝統工芸を採用した限定マグカップが販売されていて、店舗ごとにユニークな取り組みがされているなと思ったのを覚えています。

Social Impact チームへの異動は、酒井さんが希望されたのですか?

酒井: はい。スターバックスは全国に店舗を持つ大きな組織ではありますが、やはりカフェとして「店舗ごとにお客様ひとり一人と向き合う」ことを基本の姿勢としています。なので、店舗で日々生まれている人と人とのつながりなど、一店舗ごとの価値をきちんと伝えるコミュニケーションに、会社としてもっと取り組むべきではないかと提案してみたところ、上司から「酒井さん、やってみたら?」と(笑) それで、Social Impact チームに異動してきました。

でも、その前に3.11の東日本大震災が発生していて。まずは震災復興支援の取り組みを行うことになったんです。

半年かけて寄付先を探した「ハミングバード プログラム」

ヒカリ: それで、震災遺児を支援する「ハミングバード プログラム」の立ち上げに携わったそうですね。

「ハミングバード プログラム」の中で、酒井さんが中心となって推進したことについて聞かせていただけますか?

酒井さん: 「ハミングバード プログラム」は、スターバックスカードを通じた寄付プログラムなのですが、その寄付先の選定が異動して最初の仕事でした半年くらいかけてさまざまな復興支援活動を見てまわり、最終的に選んだパートナーが、仙台に事務所を構える「公益財団法人みちのく未来基金」さんです。

「東北の未来を担う子どもたちが、高校卒業後、大学や専門学校などの高等教育に進めるよう支援することが、復興には欠かせない。震災時にお腹の中にいた子どもまで約1,700人の震災遺児全員が高等教育を修了するまで、仙台に拠点を置いて活動を続けるんだ。」

理事の方の、そんな熱い想いに触れ「(寄付先は)ここしかないな」と感じました。

スターバックスカードを通じた寄付プログラム「ハミングバード プログラム」

ヒカリ: 「ハミングバード プログラム」を成功させるために、どのような働きかけを行ったのですか?

酒井さん: 「ハミングバード プログラム」を継続的に成功させるには、全国のスターバックス店舗パートナー(従業員)が、プロジェクトの意義をしっかりと理解することが重要でした。

そのため「みちのく未来基金」さんには、全国で開催した店長会すべてにお越しいただき直接基金の取り組みや想いを語っていただくなど、全面的にサポートいただきました。

「みちのく未来基金」さんから直接お話を聞いた店長たちが、店舗のパートナーに想いを共有し、そこから店舗のパートナーが店内の黒板で活動の紹介をしたり、パートナー同士で勉強会を開催したり、そうしたことに自発的に取り組んでくれました。中には、仙台の「みちのく未来基金」さんの事務所に足を運んだパートナーもいるんです。

ヒカリ: やはり実際に活動している方から直接想いを聞くのと、間接的に聞くのとでは、その後のアクションも違ってきますよね。

酒井さん そうなんです!パートナーの想いは、そのままお客様のアクションにも繋がっているようで、毎年「ハミングバードプログラム」が始まる時期になると「みちのく未来基金」さんへの寄付件数が増えるのだそうです。私たちの発信により、お客様が基金への寄付という形で行動に移してくださっている。とても嬉しいですよね。

大きな組織だからこそ「目の前のひとり一人と向き合う」

ヒカリ: 素敵なエピソードですね!ちなみに、酒井さんが以前取り組まれていたローカルマーケティングのお仕事が、現在の仕事に活きているなと感じる場面はありますか?

酒井さん: 長らく地域に根付いた取り組みをする中で、どんな仕事でも「一杯一杯のコーヒーを、目の前のひとり一人のお客様にお届けする」ということを中心に置いて考えるようになった思います。私たちスターバックスは、全国では約1,400、グローバルでは3万店以上の店舗を抱える、とても大きな組織です。

でも、最終的にはお客様ひとり一人と向き合うことが、大規模な組織ならではのインパクトを生かす上でも大事だと思っています。Social Impact チームでは、会社規模のプロジェクトに関わることが多いですが、つねに最小単位 ( = ひとり一人のお客様) を意識するようにしています。

ヒカリ: 大規模な組織だからこそ、最小単位を意識する。本当にその通りですね。

大きな組織だからこそ「目の前のひとり一人と向き合う」

パートナーの努力が形になった、ミルクパックリサイクルプロジェクト

ヒカリ: ところで先日、文具メーカーのコクヨ株式会社とコラボして、ミルクパックをリサイクルしたスターバックス キャンパスリングノート※の販売をスタートされましたね。このプロジェクトについてもお話いただけますか?

酒井さん: コクヨさんとのプロジェクトは、商品開発チームが約2年半前から温めていたものです。これまでにも、ミルクパックを紙ナプキンやおしぼりなどの備品にリサイクルしてきましたが、今回のように商品という形にリサイクルするのは初の試みです。

※在庫がなくなり次第終了(ホワイトのみ継続販売)

ヒカリ: SOLD OUTになっている店舗もあるようですが、やはり反響が大きかったのでは?

酒井さん: お客様のSNS上での反響もそうですが、何より店舗のパートナーからの反響が大きかったです。

店舗パートナーは、毎日使用済みミルクパックを洗って乾かして、忙しい中でも真剣にリサイクルに取り組んでくれています。そんな地道な努力が、ノートという形になって、それをお客様が手にとって喜んでくださる。これ以上嬉しいことはありません。

ヒカリ: リサイクルのような日々の活動に、全国約1,400の店舗が同じモチベーションで取り組むのって、すごく難しいことだと思うんです。今回のように手に取れる商品という形で、日頃の頑張りがお客様に伝わる。それってきっとモチベーションアップになりますよね。

酒井さん: 本当にそうですね。今回の取り組みには大きな反響をいただいたので、今後もお客様、パートナーの笑顔に繋がるリサイクルの取り組み継続していければと考えています。

(後編に続く)

【後編】スターバックス コーヒー ジャパン Social Impact チーム 酒井 恵美子さんインタビュー

酒井恵美子

スターバックス コーヒー ジャパン株式会社 マーケティング本部 広報部 Social Impactチーム

東日本大震災から1年後の2012年3月より現職。同9月にスタートした、全国の店舗を通じて、毎日の1杯で東北の復興を応援できるプラットフォームとして、震災遺児の高等教育への進学を支援する。公益財団法人みちのく未来基金への寄付プログラム「ハミングバード プログラム」の立ち上げに関わる。スターバックスがグローバルで進める使い捨てプラスチック削減プロジェクトや、コクヨ株式会社との協働で取り組んだミルクパックをリサイクルしたCampasノートの開発にも参加。サステナブルにつくられたコーヒーをサステナブルに提供するあり方を実践するため奮闘中。

記者:内藤日香里

法政大学法学部法律学科卒。学生時代に東ティモール支援のNPO活動を通じ、フェアトレードに関心を持つ。大学卒業後は区役所に入庁。アフリカ発エシカルブランドにプロボノとして参加。エシカル、サステナブルの取り組みをライフワークにしたい気持ちが強まり、公務員を辞めることを決意。その後、気候変動対策のコンサル会社を経て、広報の仕事に従事。2019年8月よりethica編集部のライターとして活動を開始。プライベートでは1児の母、ときどき筝奏者。

ーーBackstage from “ethica”ーー

インタビュー中も、酒井さんが幾度となく「目の前のひとり一人のお客様」という言葉を使われていたのが、とても印象的でした。

地域の店舗パートナーやお客様、ひとり一人の声を丁寧に拾ってこられた酒井さんならではの熱い想いに触れ、どこまでも深掘りしてお話を伺いたくなってしまいました。(そのため、前編・後編に渡るかなりボリューミーな記事になっています!)

後編では、いよいよ「99 キャンペーン」のことや、スターバックスのエシカルコーヒー調達の歩みについてお伺いします。

<関連記事>

「倫理的に調達したコーヒーを提供する」スターバックスの考え方

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

内藤 日香里

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