宮沢賢治の理想郷イーハトーブで地ワインを味わう。
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宮沢賢治の理想郷イーハトーブで地ワインを味わう。

賢治が愛した厳しくも豊かな自然の中で育ったぶどう。

宮沢賢治の理想郷“イーハトーブ”のモデルとなった岩手県花巻市をめぐる旅をしました。

JR東京駅から東北新幹線「はやぶさ」に揺られること2時間半。新花巻駅を降りると、少しひんやりとした澄んだ空気が気持ちがよい。乗り換えたバスの車窓からは、連なる山々や茅葺き屋根のお家も見え、のどかな風景が広がっています。

山々に囲まれた大迫町は、夏は暑く、冬は町全体が冬眠してしまうほどの厳しい寒さです。傾斜地が多く年間降雨量が少ないため、乾燥した気候の土地を起源とするぶどう造りに適しているそうです。

恵まれた大自然に囲まれた大迫町ならではの、味わい深いワインをご紹介したいと思います。

(記者:ethica編集部・りりこ)

大迫町「エーデルワイン」のワイナリー

花巻市葡萄が丘農業研究所。1.5ヘクタールの畑には生食用のぶどうと醸造用ぶどうが栽培されています。

バスを降りると広大なぶどう畑がひろがっていました。

ちょうど収穫時期で、たわわに実るぶどうが枝をしならせています。

絵本などでみたことのあるぶどうの木といえば、背の高い棚状に実がなっているイメージでしたが、畑の中を歩くとぶどうの木の形にもいくつか種類があり、こちらの畑では低い位置になるものが多いというのが印象的でした。農家の方にお話を伺うと、気候風土にあうよう品種や育て方の様々な試行錯誤が繰り返されているそう。

ワインの原料はぶどうのみです。「土壌成分」「土地の気候」「栽培する人の個性」がダイレクトにワインの味になるため、ぶどう造りは最も重要なワイン造りの工程になります。合言葉は「美味しいワインは美味しい葡萄から」。

白ワインになるリースリング

光に透けてキラキラと輝く畑のぶどうを、お味見させていただきました。

一粒もいで皮ごと口に含むと、とても濃厚な香りが広がります。

大迫のぶどうは国内の他のぶどうの名産地、山梨や長野の葡萄と比べて、皮が厚めで硬く、香りが強いそうです。生産者の方によると、「あっちは皮が薄くて瑞々しいお上品なお嬢様。こっちはたくましく育っている」とのこと。大迫の自然の恵みと厳しさが凝縮されているような味わいでした。

なかには樹齢70を超える、歴史あるぶどうの木も。実の数は減ってはきているものの、まだ現役です。

「エーデルワイン」をテイスティング

エーデルワイン ワインシャトー大迫。こちらではエーデルワインのすべての商品が揃い、試飲も常備されています。ここでしか販売していない限定ワインも。

白、赤、りんごワインなど全14種類のワイン。

エーデルワインは、ミネラル感とキレのある酸味が特徴です。岩手県の中央を流れる北上川を境とする太平洋側の地域は、非常に古い地質があることで知られています。そこに含まれる石灰質と、冷涼な気候が合間って、生き生きとした酸味、ミネラル感、ぬけの良さと余韻の長さ、複雑な中にも絶妙なバランスのワインを生み出すことができるそうです。
また、その高い技術力を活かしブルーベリーやりんごなどのフレッシュなワインも作られており、初めて経験する感覚のワインもありました。

私が特に惹かれたワインを3つご紹介します。

まず一つ目は、白ワイン、「グリューナー・ヴェルトリーナー2018」(グリューナー・ヴェルトリーナー100%)。こちらの品種を日本で飲めるのはここだけ。オーストリアではメジャーですが、他国ではほとんど飲めない品種だそうです。

大迫町とオーストリア・ベルンドルフ市は友好都市であり、特別にいただいた苗木から作られたもの。とても貴重なもので、果実感のある芳醇で酸味と甘みのバランスがとてもよく口当たりがすっきりしていてとっても飲みやすかったです。日本食とも相性が良さそうでした。

二つ目は、赤ワイン「ゼーレ・オオハサマ ツヴァイゲルトレーベ樽熟成2016」(ツヴァイゲルト89%、ロースラー11%)。大迫では栽培の難しい品種だそうですが、丁寧なお手入れで高品質なぶどうになるそうです。ブラックベリーを思わせる果実とほのかな甘い樽の香り、ちょうど良い渋みと酸味でバランスの良い

調和のとれた赤ワインでした。ワインのコンクールにおいて日本のワイントップを二回受賞したことがあるそうです。

最後にご紹介するのが、「ナイアガラ冷凍果汁仕込2018」(ナイアガラ100%)です。こちらのワインはぶどうを絞って冷凍し、濃縮した果汁で造ったワインで、ぶどう1kgに対して200mlしかできません。透き通る黄金色をしていて、とっても甘く南国フルーツのような濃厚な香り。このデザートワインは、一口飲むだけでぶどうを何房もいただいたような満足感がありました。

畑でワイン用のぶどうを試食させていただいたときは、そのままでとっても美味しかったのでワインにするのがもったいないような気持ちになっていましたが…どのワインからも、より生き生きとぶどうを感じることができました。

樽熟成中の赤ワイン

地産地消でマリアージュ

ワインとお食事のマリアージュも楽しみました。その土地の食べ物、飲み物がお互いを引き立たせあい、最高の贅沢です。

水と空気が美味しいからでしょうか。滞在中何をいただいてもおいしく、素材の味が引き立つ味付けで、残さずペロリといただいてしまいました。

レストランベルンドルフ白金豚ロース(1,650円) シャルドネ2016 落ち着いた雰囲気の居心地の良いレトロな造りのレストラン。

宮沢賢治の理想郷イーハトーブ

エーデルワインがある岩手県は、作家宮沢賢治心象世界の中にある理想郷イーハトーブのモチーフになったと言われています。

宮沢賢治は、生前から時代の危機をいち早く察知し作品に取り組んできました。

印象的な言葉に、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(『農民芸術概論綱要』)というものがあります。

エシカのグランドコンセプト、「私によくて、世界にイイ。」が浮かびます。数十年前を生きていた賢治から、私たちが学ぶことは多くありそうです。

資料館にて。大迫で採れた宮沢賢治の短編童話「やまなし」に登場するやまなし

賢治が愛した厳しくも豊かなイーハトーブの自然の中で生まれた「エーデルワイン」。

ワインは原材料がシンプルであるがゆえに、造り手の方々の日々の取り組む姿勢や感性が大きく反映する奥深さがありました。

畑では自然と向き合いながら日々土壌を整えぶどうを育てる農家の方々、そのぶどうを活かすワインを作るための試行錯誤をするエーデルワインの方々の姿をみさせていただきました。ワインの奥深い魅力を改めて感じることができ、個性豊かな地ワインをもっと楽しんでいきたいと思いました。

記者:りりこ

京都育ちの女子大文学部卒です。日本の伝統文化が大好きで、茶道や日舞、合気道などをお稽古しています。京都の老舗旅館に勤務したのち上京。2019年10月よりethica編集部に参加。

日本の伝統文化のサスティナブルな一面に惹かれています。現代の暮らしにイイとこ取りして、令和時代的・豊かなライフスタイルを提案していきたいです。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

りりこ

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