(第6話)「ハレとケのごはん・後編」 キコの「暮らしの塩梅」
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(第6話)「ハレとケのごはん・後編」 キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らし・食のカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に…日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らし、一日三度のごはんを、少しでも”良い”ものにできたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

第5回では、日本古来の「ハレとケ」の考え方についてお伝えしました。

祭礼や年中行事などを行う特別な「ハレ」の日と、普段通りの「ケ」の日。かつての日本では衣食住や振る舞い、言葉遣いなどを日常と非日常ではっきりと使い分けメリハリのある生活を営んでいました。

日本の食文化の根幹でありながら今の時代にも応用できるハレとケの考え方は、

食のスタイルを模索していた私にとって腑に落ちたところがあり、生活に取り入れるようになりました。

今回は、そんなわが家のハレとケのごはんをご紹介します。

「ハレの日」のごはん

「ハレの日」は、神様に自然の恵みをいただいていることへの感謝の気持ちを表す日です。

そのときに食べるごはんは「神様のために作るお料理」であったため、

人間が様々に工夫して時間も手間もかけて彩りよく美しく作ることに意味がありました。

 

本来ならばそのようにある意味厳格なものであるのですが、

もう少しカジュアルに、例えばお誕生日や友達や家族で集まる日や季節の行事などを

現代版「ハレの日」と私は捉えています。

 

そんな日に作るのは、見た目にも華やかなお肉やお魚がメインになる料理や生クリームをたっぷり使ったケーキ、お酒がすすむ居酒屋さん風メニューなど。

いつもは使わない器を出して、お箸やフォークとともにきちんと並べてテーブルの真ん中には季節のお花を飾ったり、盛り付けも見栄え良く凝ってみたり…

 

ハレの日は、一緒に食べる人が思わず笑顔がこぼれて五感が満たされるような、

その空間がふわっとあたたかくなるようなごはんをつくることが私の理想です。

(現実はどったんばったん慌ただしくそのような雰囲気作りとは程遠いのですが、、笑)

 

 

また「普段と違う」ということで、お休みの日は「ちいさいハレの日」としています。

朝ごはんをパンとスープなどの洋風にしたり、お昼ごはんはお弁当箱におかずを詰めてピクニックしたり。

いつもと同じおかずでも、お重やお弁当箱に詰めると目先が変わって新鮮なので、

気分を変えたいときには大活躍です。

 

夕ごはんはリクエストのおかずや、みんなで作るところから一緒に楽しめる餃子やピザ、

時には外食など、その時々の家族の気分に合わせて楽しんでいます。

「ケの日」のごはん

ケの日のごはんは前回もお伝えした通り、日常を支えてくれるようなシンプルな食事がメインです。その代表である一汁一菜のスタイルが、わが家のケの日のごはんの基本となっています。

 

普段のお味噌汁は季節の野菜をたっぷり入れて、素材からでる旨味を生かして出汁はほとんど入れずに作ります。タンパク質豊富な大豆を原料とするお味噌には、魅力がいっぱい。

そのままだと消化に負担のかかる大豆も、発酵によって分解され栄養が吸収されやすい状態になります。必須アミノ酸、ビタミンが豊富に含まれ、ガンや生活習慣病のリスクを下げ老化防止、美肌づくりにも効果があると言われています。

 

今週は余裕がないな、というときは野菜やきのこ、わかめなどをたくさん煮たものをストックし、その都度温めて味噌を溶くだけで良いようにしています。

 

端くれの野菜や少し古くなってきた野菜があれば、まとめて煮込んでポタージュに。

冷蔵庫にあるもので適当に組み合わせて作るので、使いきれなくなる食材がなくなります。

おかずは煮物、おひたし、胡麻和え、炒め物、焼き魚などを日替わりで作ります。

ケの日のおかずはできるだけ素材の味を活かしてシンプルな味付けを心がけています。

 

タンパク質は消化に優しい大豆製品や魚を中心に、

腸内環境を整えてくれる発酵食品を積極的に摂れるよう、たくあん、梅干し、納豆、塩麹の浅漬け、ぬか漬け、キムチなどは常備しています。

 

油をたくさん使う料理は控えめにしていますが、油が不足すると髪や肌のパサつき、ビタミンの吸収の妨げ、血管の老化など健康に悪影響を及ぼすため、生のごま油、オリーブオイルなどの良質な油を摂ることを意識しています。

 

メニューをシンプルにする分、素材や調味料にはこだわって手作りし

できるだけ加工食品や添加物は避けるようにしています。

 

ちなみに主食のごはんは、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれる玄米の状態で食べることが、たくさん栄養も取れていいのですが、

小さい子どもには少し消化に負担がかかることと

夫の断固たる反対を受け、白米を中心に雑穀を混ぜたり分づき米にして食べています。

安く美味しいものを食べたいという人間の欲求によって大量生産・加工の技術も進化していき、かつては貴重で贅沢なものであった、脂のたっぷり乗ったお肉やお魚、お砂糖や小麦粉、油をたくさん使った料理が毎日のように食べられるようになりました。

本来は「ハレの日」にしか口にできなかったような料理が家庭でも外でも、非日常ではなくなっています。

一方でそのような食のあり方は、地球環境をはじめ日本の伝統産業や農業漁業、食文化の衰退、心身の健康にも負担が大きく、あちこちで影を落としています。

 

特別でない当たり前の毎日があるからこそ、いつもと違うことが特別として輝く。

そんなちいさな気づきに幸せを感じられるような生き方を大切にしていきたいと、私は思っています。

 

自分や家族の健康のため、こどもの未来のため、社会のため、地球環境のため

日常のなかで何を大切にしたいのか足元を見つめ直すきっかけとして、

この「ハレとケ」の考えかたを日々の暮らしに取り入れてみるのはいかがでしょうか。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

京都在住の一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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