「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。
でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?
当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。
「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。
でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?
当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。
第25話では、古くから日本の暮らしに根ざしていた「二十四節気」についてお伝えしました。今回は、もうすぐ訪れる「中秋の名月」の歴史とその愉しみ方をお話ししたいと思います。
古くから続く風習の一つである秋のお月見。
毎月ある満月の中でも、特に秋は大気が澄みわたり月が美しく見えると言われています。
中秋とは秋の真ん中という意味で、旧暦では7、8、9月が秋にあたることから、そのちょうど真ん中の旧暦の8月15日(新暦の9月中旬〜10月初旬)に行われるのが中秋節です。
別名、十五夜(じゅうごや)、芋名月(いもめいげつ)などとも呼ばれます。
今年の中秋の名月は10月1日。
旧暦と新暦にはズレがあるため、昨年は9月13日、そして来年は9月21日と、毎年日にちは大きく変わります。
さらに、実は当日が満月であることは稀で、月と地球の公転軌道の関係から1日か2日前後していることが大半なのです。
月の満ち欠けで月日や季節の流れを感じていた人々にとって、月はとても大切な存在。
お月見の風習は縄文時代からと歴史は長く、平安時代のころはお酒やごちそうを囲んで、詩歌や管弦を嗜む貴族ならではの雅な催しが行われていたと言われています。
当時は月は直接眺めるものではなく、水面や盃のお酒に映ったものを愛でて楽しんでいたそうです。
庶民にも十五夜の風習が広く根付いていったのは江戸時代に入ってから。
貴族だけが楽しむ宴から、お団子などをお供えして、農作物の豊作祈願と収穫の感謝の気持ちを表す行事の意味合いが強くなっていきました。
ちなみに、古くから大切にされているお月見の日は十五夜に限らず、その後訪れる十三夜(じゅうさんや・旧暦9月13日)、十日夜(とおかんや・旧暦10月10日)と、合計3日あります。
十三夜は栗や豆の収穫をお祝いする日でもあるため、栗名月・豆名月とも呼ばれ、この日はお団子の代わりに栗などをお供えし、感謝の気持ちを表します。
十五夜と十三夜、どちらか一方しか見ないことを「片見月」と呼び、縁起が悪いこととされていました。
十日夜は東日本を中心に収穫祭が行われる風習があります。お月見が主役ではない日だそうですが、これらの日が3日とも晴れてお月見ができると縁起が良いとされています。
お月見と聞いてまず思い浮かべるのは、ススキと三方にピラミッド型に美しく積み重なったまん丸のお団子ではないでしょうか。
これは関東のスタイルで、並べ方・積み方・個数は諸説あります。
十五夜にちなんで15個としたり、1年の満月の回数に合わせて12個(13個)としたり。
まん丸の形は満月の象徴で、豊作祈願や健康、幸福を表しています。
関西では、芋名月の名の通り里芋に見立てたお月見だんごが多く、里芋のように少し先を尖らせたお団子にこしあんをまとわせているのが特徴です。
中国、四国地方では串団子の形が多く見られます。桃の節句の三色だんごのようにお団子自体に色をつけたり、みたらしやきなこをまぶすようです。
その他にも、東北ではおまんじゅう、ルーツである中国では月餅などのお菓子を備えて観月のお祝いをします。
それからお月見に欠かせないススキ。
この時期収穫される稲穂に見立てて、豊作の願いや、スッと尖った葉に厄払いや魔除けの意味を込めて、お供えされています。
十五夜は収穫を祝う行事でもあるため、秋の七草や果物、収穫物などもお供えします。
特にぶどうのようなツルのある作物は、神様の世界とのつながりが強くなると考えられていました。
お供えする場所は、床の間か窓辺などお月様が見えるところ。
日本古来の左上位の考え方から、お月様から見て左側に植物や農作物、右側にお団子をお供えした方が良いとされています。
お供えしたお団子や農作物はその後、感謝の気持ちを込めていただきます。
食べることによって、お月様の力を分けてもらい、健康や幸せを得ることができると考えられているからです。
地域によっては、近所の子どもたちがお月見のお供えものを盗み食いするのを歓迎する風習もあります。お月様が食べてくれたと考えるそうです。
「月見どろぼう」といって、ハロウィンのように子どもたちが家々をめぐってお菓子をもらったり。
神聖なお月見のイメージと打って変わって、なんだか心温まる風習ですね。
地域によって少しずつ異なるお月見のやり方ですが、自分の住む地域の風習を調べたり聞いてみるのも、新たな気づきがあって楽しいかもしれませんね。
またお寺や神社で行われる観月会に参加してみると、いつもと違う風雅で情緒のある雰囲気を味わうことができるかもしれません。
お団子とススキでおなじみのお月見ですが、その歴史は長く、人々にとって深い思いの込められた大切な行事であることがわかります。
たとえお天気が悪くて月が見えなくとも、「無月(むづき)」「雨月(うづき)」と呼んで風情と捉え、ありのまま受け入れていた日本人の心根に触れる機会かもしれません。
自然の恵みや健康に感謝して、心豊かに過ごすひと時となれば素敵ですね。
我が家では毎年お団子とススキを一緒にお供えしています。
昨年からは娘も一緒にお団子作り。言葉で説明しなくとも、日本の文化や風情を一緒に味わう時間となればいいなぁと思っています。
特別なことをしなくても、少しベランダに出てのんびり秋の夜空を見上げる。
日々の喧騒を忘れて、秋の夜長の美しい月を愛でてみるのはいかがでしょうか?
季子(キコ)
一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。
産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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