女の子よ、コロナ禍の今だからこそ声をあげよう!
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女の子よ、コロナ禍の今だからこそ声をあげよう!

女の子として生まれてきただけで、差別を受けたり、暴力の危機にさらされたりーー。開発途上国には、そんな残酷な「現実」がある。そしてその状況は、新型コロナウイルスの影響により、さらに深刻度を増しているという。

国連が制定した10月11日の「国際ガールズ・デー」を前に、国際NGO「プラン・インターナショナル」がトークイベントを開催。「THINK FOR GIRLS/コロナ禍の女の子たちのために私たちができること」をテーマに、アーティストで東京藝術大学デザイン科准教授のスプツニ子!さんと、国際協力・ジェンダー専門家の大崎麻子さんが語り合った。(記者:ethica編集部・中津海 麻子)

途上国の女の子たちの危機が深刻化している

イベントを開催したプラン・インターナショナルは、子どもの権利を推進し、貧困や差別のない世界を目指して様々な活動を展開している。その一つに開発途上国の女の子たちを支援する活動がある。「女の子だから」というだけで、学校にも通えず長時間の過酷な家事労働を強いられたり、身体的・性的な暴力を受けたり、早すぎる結婚や妊娠をさせられたりと、差別や危険にさらされている。プラン・インターナショナルが運営する「プラン・スポンサーシップ」は、そんな女の子たちの「親」となって継続的に寄付をすることで、女の子たちがおかれている状況を少しでも改善し、未来を切り開くことを支援できる。

予防のための手洗いをするギニアの女の子

プラン・インターナショナルからソーラーラジオを支給され自宅で学ぶシエラレオネの女の子

新型コロナウイルスの感染拡大は、こうした女の子たちにさらに深刻な影響を与えている。「外出自粛で家庭内で過ごす時間が増え、学校が休校になったことで、家庭内暴力、児童虐待、性的虐待や望まない妊娠が増加。コロナによる環境の変化がきっかけになっているのです」と大崎さん。外出自粛によって、家から出られないので保健サービスなどのサポートにアクセスできないといった問題が起きているという。

国際協力・ジェンダー専門家の大崎麻子さん

「休校によって学校給食が食べられず、栄養状態が悪化している子どもが増えていることが明らかに。また、学校に行くことで暴力やネグレクト、女の子の場合は強制的に結婚させられそうになることに教師が気づき、然るべきところに通報してくれることがある。その『社会との接点』が休校によって奪われてしまう女の子は少なくないのです」

大崎さんは続ける。

「オンライン授業も、できる学校、できる家庭が限られていて、受けられない子どもたちの方が圧倒的に多い。そうしたデジタルディバイド(ITを利用できる者とできない者の間に生じる格差)で、教育の格差や不平等がさらに広がると予見されている。日本でもそうした傾向がはっきりと出てきています」

SNS、アプリのデザインには多様な人が関わるべき

コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増える中で、インターネットやSNSが子どもたちに与えるネガティブな影響も危惧される。スプツニ子!さんはヘイトスピーチや誹謗中傷の問題を挙げ、「10代の多感な時期にネット上の誹謗中傷など攻撃にさらされることがあるとすれば、それは人格形成においても深刻な影響がある。ソーシャルメディアやインターネットのあり方をどうコントロールすべきか。法律などで規制するのか、デジタルデトックスの方法を考えるのかという議論もありますが、SNSのプラットフォームのあり方をデザインしなければいけないんじゃないかと考えます」と指摘し、こう続けた。

アーティストで東京藝術大学デザイン科准教授のスプツニ子!さん

「アプリをどのようにデザインするかで社会は大きく変わる。だからこそ、デザインのプロセスにethics(倫理)が大事で、さらに多様な人が開発に関わるべきです」

しかし、現実の世界はまだまだ男性中心だ。スプツニ子!さんはコンピューターサイエンスを学ぶため、イギリスの理系大学「インペリアル・カレッジ・ロンドン」に進学したが、入学した2003年当時、コンピューターサイエンスを専攻する学生100人のうち、女子はたった9人だったとか。そのとき感じた危機感が原動力となり、テクノロジーを通じてジェンダーギャップを問題提起する音楽やアート作品を生み出すようになったという。「現在の女子学生の比率は24.5%と上がってはいますが、それでもまだ4分の1以下。もっと多くの女性、女の子に理系を目指してほしい」とスプツニ子!さんは期待を寄せる。

デジタルスキルを身につけることが経済的自立につながる

折しもトークショーと同じ時期に国連総会と国連女性会議が開かれていたが、新型コロナウイルスの影響で、史上初めてのオンライン会議だった。「デジタルトランスフォーメーションが進み、国際会議や学会などの会合はもちろん、働き方もデジタル化を進めていきながらデザインしていくことになるでしょう」。大崎さんのこのコメントに同調したスプツニ子!さんは「おそらく人工知能(AI)が重要になっていくと思いますが、AIは万能ではない。開発の仕方を間違えるとかなりのバイアスがかかり、さらに格差を広げてしまう危険性をはらんでいるのです」。

AIは現在と過去のデータを元に「ベスト」と思われる判断を下していく。しかしそのデータに「男女格差」や「人種格差」が含まれていても、それが「ベスト」として学習してしまう、というのだ。実際、Amazonが人材採用のためにAIを活用しようとしたものの、女性よりも男性を優先的に採用したという過去のデータと紐づき、女性の場合は減点するようAIが「学習」し「成長」していた。Amazonは結局そのAI自体の開発をやめたという。また、アメリカの裁判所で使用されるAIは人種差別のバイアスがかかり、黒人の再犯率を実際よりも高く打ち出すということがあり、問題になっている。「AIは万能ではないと理解した上で、こういうバイアスがかからないようにするためにチェックするアンテナを張っている人がたくさん関わるべきだと考えます」とスプツニ子!さん。

この話に驚いた様子の大崎さんは、「日本の課題は、デジタル領域に女性が少ないことでは?」と疑問を呈す。そして、プラン・インターナショナルではインドや中国の女の子を対象にコンピュータープログラミングが学べるプログラムを提供していると紹介し、途上国でのそうした取り組みの背景と理由について、こう説明した。

「心身ともに健康に成長し、教育を受け、その先に経済力をつけること。それが途上国の女の子たちの未来を切り開くことに繋がります。ただ、働くと言っても日本のように雇用が多くないので必然的に起業することになる。ビジネススキルとともにデジタルスキルを身につけることによって、たとえばウェブサイトを立ち上げ、取引も決済も資金調達もネット上でできるようになり、どこにいても経済力を得ることができる。かつてはミシンの縫製など職業訓練が多かったのですが、これからはデジタルの時代だと言われているのです」

女性、女の子たちの声を、国へ、そして世界へ

スプツニ子!さんは「コンピューターサイエンスを専攻した女性としても、その動きを後押ししたい」としながらも、日本には「理系やプログラミングは男の子のものというような社会的暗示が強く、食わず嫌いの女の子が多い気がする」と分析。その上で、こう語った。

「プログラミングは世界共通の言語で今やインターネットで世界中が繋がっているので、どこにいてもコードが書けちゃうんです。それに、プログラミングってめっちゃ楽しい! もしプラン・インターナショナルでそういう教室をやるなら教えに行きたい。これからの女の子たちを応援したいですね」と弾けるような笑顔を見せた。

大崎さんは最後にこう言葉を結んだ。

「コロナの対策やその後の復興についても、女性や女の子の声をしっかりと聞き、さらに彼女たち自身にも参画してもらうことが重要だと、アントニオ・グテーレス国連総長は明言しています。日本でも若い世代の女性や女の子たちが声を上げ、結束し、女の子たちの意見を集約する活動を起こしている。そしてそのときにSNSやオンライン署名といったデジタルプラットフォームを活用しています。女の子たちの声が国に届き、さまざまな政策に生かされる。そうした未来に、私は大きな可能性を感じています」

記者:中津海 麻子

慶応義塾大学法学部政治学科卒。朝日新聞契約ライター、編集プロダクションなどを経てフリーランスに。人物インタビュー、食、ワイン、日本酒、本、音楽、アンチエイジングなどの取材記事を、新聞、雑誌、ウェブマガジンに寄稿。主な媒体は、朝日新聞、朝日新聞デジタル&w、週刊朝日、AERAムック、ワイン王国、JALカード会員誌AGORA、「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」など。大のワンコ好き。

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