[大丸有]米倉誠一郎氏セッション【講評③】 「吉田淳一氏 三菱地所 執行役社長」×「奥和登氏 農林中央金庫 代表理事理事長」 「大丸有SDGsACT5 Closing ACT」
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[大丸有]米倉誠一郎氏セッション【講評③】 「吉田淳一氏 三菱地所 執行役社長」×「奥和登氏 農林中央金庫 代表理事理事長」

左から、米倉誠一郎氏(一橋大学名誉教授/CR-SIS学長)、吉田淳一氏(三菱地所執行役社長)、奥和登氏(農林中央金庫代表理事理事長)

三菱地所、農林中央金庫、日本経済新聞社、日経BPなどで構成される大丸有SDGs ACT5実行委員会では大手町・丸の内・有楽町の3地区を舞台に、今年5月から「サステナブル・フード」「気候変動と資源循環」「WELL-BEING」「ダイバーシティ」「コミュニケーション」の5つのテーマ(ACT)のもとSDGs活動を推進する「大丸有SDGs ACT5」を実施してきました。

11月16日、約7カ月間にわたって実行してきたSDGsに関連する各アクションを振り返る「大丸有SDGs ACT5 Closing ACT」が開催されました。その中で、米倉誠一郎氏(一橋大学名誉教授/CR-SIS学長)がモデレーターを担当したセッション3「講評」について、①根本かおる氏・国連広報センター所長 ②垣内俊哉氏・ミライロ代表取締役社長 ③吉田淳一氏・三菱地所執行役社長×奥和登氏・農林中央金庫代表理事理事長、と3回に分けてご紹介します。

【講評③】「吉田淳一氏 三菱地所 執行役社長」×「奥和登氏 農林中央金庫 代表理事理事長」

米倉: 意外に(笑)、評判がいいですね。

吉田: ありがとうございます。

米倉: どうせ、やっつけ仕事でやったんだろうなと思っていましたが、そんなことはないということがよく分かりました。吉田さん、今回どんな感想をお持ちになりましたか。

左から、米倉誠一郎氏(一橋大学名誉教授/CR-SIS学長)、吉田淳一氏(三菱地所執行役社長)、奥和登氏(農林中央金庫代表理事理事長)

吉田: 半年強、7カ月ということで長い間、今年はコロナという状況もあったんですけど、オンライン、オフライン含めて、多くの方に興味を持っていただいて、ただ、これがもしコロナがなければ、もっと強いつながりを持って交流を深めて、新しいもっともっと多くの気づきといったものから何か新しい流れが生み出せたのではないかと思っています。

SDGs自体が2030年まで継続する目標ですので、それに向けてしっかりとゴールをするイメージを固めながら継続して伸ばしていきたいと感じています。

米倉: SDGsの最終年は2030年ですから、そこからバックキャストしての実行プランですね。今年はここまで来た、さて来年はどうするんだ、再来年はどうするんだと順番に下がってくるというイメージなんですね。

吉田: いろいろな方からもお話が出ましたが、もっと多くの企業に参画してほしいですね。その1つのきっかけとなるのが、先ほど根本所長におっしゃっていただいたような、国連と連携することによってグローバルなつながりといいますか、世界中の社会課題のなかでも、我々の身近な課題プラス世界的な社会課題みたいなものとマッチングできれば、企業の取り組む領域にもより入り込んでいけるのかなと、可能性を感じながらお話を聞かせていただいていました。事務局のほうで検討してもらえると思いますが、今年の成果と反省点を踏まえつつ、来年に向けてまた取り組みを進めてくれるでしょう。いろいろな方にご協力をいただければと思います。よろしくお願いします。

吉田淳一氏(三菱地所執行役社長)

米倉: ありがとうございます。グローバルの視点は本当に大事です。コロナという状況ではありますが、やはりこの場にももっと外国人がいればいいですよね。先ほど、貧困問題解決の重要性がありましたが、ここ東京に集積しているたくさんのお金をどうやって途上国に向けるか、実際にこの場で国際会議が行われたらすごく面白いでしょうね。さて、農林中金さんも頑張りましたね。僕は不明ながら、農林中金さんがこの場にいるとは思いもしませんでした。こういうことをいうから二度と声がかからなくなるんですけど(笑)、本当に意外でした。いったいどういう動機からのご参加だったのですか。

大丸有の地主さんと田舎の地主さん

奥: 意外性ということでご指摘をいただきましたけど、きっかけのところからちょっとお話させていただきたいと思います。

部下のほうから、この企画に参加したいといわれた時、即決した背景が2つありまして、1つは以前から「あいのり」という学校で三菱地所さんと一緒に取り組みをさせていただいていたということとともに、私どものグループは食べ物を扱っているところなのでSDGsそのものだという認識がありました。

「あいのり」のことでいいますと、大丸有というビジネスの中心地に地方の香りなり風を届けたいということで「あいのり」に参加させていただきました。大丸有の地主さんと田舎の地主さんが組むというのは、これはすごい組み合わせの妙だということもあって、この取り組みに参加させていただいたということですけど、このACTを通じて思うことがいくつかあります。1つは「あいのり」というのはワンウェイで、どちらかというと田舎の食べ物を大丸有にということでしたが、それがまさに今回のACT 5でフードロスとか、あるいは食べ物の残渣を堆肥にして、それを地方に持っていって野菜を作ろうという、要するにサーキュライトコロニーといいますか、循環ができたということが大きな感動になりました。

奥和登氏(農林中央金庫代表理事理事長)

もう1つ、コロナでどうしても直接の参加者の方が減ったということもあると思いますが、一方でバーチャルな参加者が増えたわけですから、この先に向けてすごいステップが刻めたんじゃないかなと思います。バーチャルでつながりながらフィジカルでつながる実感ができました。多層的につながって広がっていくだろうなという格好で、私自身はこの取り組みのステップを実感しています。

農林中金自身にはグループで100兆以上の資金があります。この資金を今までは主にグローバルな運用にということでしたが、これからは国内でいかに生かすかということだと思っています。また、SDGsの取り組みにどうやってファイナンスしていくかも大きなポイントになるのではないでしょうか。

農イノベーション

米倉: 皆さんもご存じだと思いますが、日本は世界で最も食料を輸入して、最も捨てている国です。こんな恥ずかしいことはないです。今、東京での食べ残しや食品廃棄物をコンポジットにして地方の有機農家に届けて、それで育った食物をまたここ東京で食べる。今いわれたコロナのおかげで、東京一極集中だけじゃなくてもいいなという考え方が出てきて、違う形の働き方・住まい方や交流の仕方が生まれ、地方と東京の関係性が変わっていく。しかも、そういうことにお金がつくようになるというのはすごく大事なことです。

先ほど根本さんがSDGsを機動力にしてというお話をされましたが、たしかにSDGsで新しい流れが出てきましたし、都市と地方のニュー・コンビネーションがこの街で生まれたというのはすばらしいことだと思います。

企業の参加数、個人の参加数をどうするかとか、グローバルな視点で何かできないかとか、来年度に向かって強化していこうという考えはありますか。

奥: サステナブルですから、こういう企画は来年も再来年も続けていくということで考えています。ここで裏話をちょっとご披露すると、うちの職員でこの取り組みに惚れ込んだ者がいまして異動の期間を半年延ばしたという職員がいます。来年になったら彼のミッションはダブルミッションになるので、どうしたらいいのかとちょっと悩んでいます。

次回以降の取り組みということでいいますと、今回、私どもが関係していたのはフードロスなど食べ物のところでしたが、やっぱり農イノベーションの観点からいきますと、農と観光の組み合わせであったり、あるいは農と福祉の組み合わせ、例えば、農業の実際の現場で障がいのある方を受け入れるとか、そうしたところを深掘りしていきたいと思っています。

米倉誠一郎氏(一橋大学名誉教授/CR-SIS学長)

米倉: 農と福祉というのは面白い発想です。障害者雇用率(法定雇用率)2.2%の中で罰金を払うよりも、そういう連携の中で雇用を作ろうというわけですね。もう1つ、僕は日本の農業は世界に輸出可能だと思っているんです。これをぜひいろいろな形で出していただけるといいですね。

それから、地所さんには、これは申し訳ないいい方かもしれませんが、大丸有はちょっと色気、と言っても変な意味ではなく、カラフルでない気がします。

エリア全体で、一社では作り出せない価値を作り出していく

吉田: 大丸有は自然体でいっているつもりですが、いろいろな仕掛けづくりということでいうと、例えばコロナのこの1年は中通りなどの道路占有許可を取って、そこをオープンなワーキングスペースにしたりとか、大丸有オリジナルのものをハード的にもソフト的にもいろいろな仕掛けづくりをやっています。

今回のACT 5の中でも例えば、障がい者の方に絵を描いていただいて19回目となるキラキラアートコンクールをやっています。今回は1100名くらいの応募をいただいて町の人に審査をしてもらうということもやりましたし、町の人がもっと参加しやすい仕掛けづくりをいろいろなことでソフト的に作っていけるといいなと思っています。

そういうこともやっていきたいですし、企業が一緒になって取り組んでいきたいというようなメニュー開発などもしっかりやっていきたいと考えています。一企業ではなくて、エリア全体が協力して、一社では作り出せない価値を作り出していくという大丸有ならではの取り組みをもっともっと広げていきたい。

米倉: たしかに車を遮断して、道路にテラスのようなものを出してというのはいい感じですね。でも、何か分離しているような気がする。サラリーマンは社食でメシなんて食ってないで、もっと外に出てきてテラスで食べるようになればいいのかな。

 

シャンゼリゼ通りとか52番街のように

吉田: かなり自信を持って町づくりをしたんですけどね。世界中の人がお見えになった時に、たぶん世界でナンバーワンの町並みだとおっしゃってくれるのではないかと思っているんです。

でも、いわゆるシャンゼリゼ通りとか52番街のように世界的に有名ではないので、そこを何とかしなくてはいけないなと思っています。先ほどのハートとハードではないですが、ハートの部分をもっと鍛えて世界にアピールできるような内容へ、人が町を作っていきますので、いろいろな人と協力しながら町の魅力をアピールできるようにしたいですね。皇居も近いですし、世界に比類ないすばらしい町だと自負してはいますが、おっしゃる通り、まだまだ浸透していないというのが大きな反省点ではありますね。

左から、米倉誠一郎氏(一橋大学名誉教授/CR-SIS学長)、吉田淳一氏(三菱地所執行役社長)、奥和登氏(農林中央金庫代表理事理事長)

米倉: あー、そうですねハートですね。カラフルというのはそういうことでした。これから、ハートの部分でこの界隈にいる人たちが、外国人を見かけたら下手な英語でも中国語でもいいから積極的に話しかけるというようなムードができ上がってくると、大丸有界隈って温かいなっていうのが、ハード面に加えて出てくるような気がします。

吉田: たしかにそれは大事なことだと思いますね。

奥: 先ほど、私たちのグループはSDGsそのものだということを申し上げました。若干宣伝になってしまうかもしれませんが、私どもは3つの命を考えています。人の命は食べ物によってつながれている。食べ物というのは動物なり植物なりの生命です。もう1つの命は地球があってこそ成り立つということですね。そういう意味で、私たちは人の命と地球の命を考えて個々を大切にしなければならないと思って、いろいろと取り組んでいます。

米倉: まさに食でいえば、地方と東京、人間と動植物、そして地球環境といったものが、ここで交差しながら新しい食文化を作り出す、これがきっかけになってフードロスの削減やフードバンクの充実、そういうことができるようになると本当に魅力的な街ができると思いますね。

では最後に、お二人から今後の決意表明をお願いします。

吉田: 今回はコロナ禍でもいろいろと面白いことができましたし、他のエリアでもこういう流れが少しずつでき始めてきたようです。2030年はあっという間に来てしまいますから日本全体で盛り上がって、大丸有がその中心であり続けられるように頑張りましょう!

奥: 今回は個の取り組みもありましたが、エリアの取り組みだったと思います。エリアが日本全国、あるいはグローバルに広がっていくというイメージを持ちながら2030年に向けて頑張りたいと思います。

【講評①】を読む>>>

【講評②】を読む>>>

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

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エシカちゃん

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