(第51話)「子どもと楽しむ絵本の時間」キコの「暮らしの塩梅」
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
(第51話)「子どもと楽しむ絵本の時間」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ。」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第50話では、家族会議についてお伝えしました。今回の記事では、子育てで大切にしている絵本を読む時間についてお話したいと思います。

1日の終わりにほっとする絵本の時間

もうすぐ3歳になる娘ですが、赤ちゃんの頃から寝る前には、ほぼ必ず絵本を読んでいます。

 

保育園から帰ってきて、ごはんにお風呂にとバタバタ急かすこともあるなかで、1日の終わりにお互いゆったりした気持ちで過ごせる大切な時間になっています。

 

最近は、電気を消してキャンプのランタンの明かりで読むのが娘のお気に入り。

湯たんぽを入れておいたお布団にもぐり込んで、ぴたっとくっついて絵本を読む時間は私にとっても癒しのひとときです。

 

私が子どものころも、毎晩母が読み聞かせをしてくれていました。

でも仕事が忙しかった母は横になって読んでくれているうちにうとうと……。

「もう!まま、起きて!」と妹と弟と、数ページごとに母の肩を揺すっていた記憶があります(笑)

 

次第に字が読めるようになると、物語の続きが気になって自分で読むように。

日本昔話やグリム童話などの物語が大好きでした。

 

そんな懐かしくもある絵本の時間は、いつか子どもが生まれたら大切にしたいなぁと思っていたことの一つです。

どんな絵本を選ぶ?

絵本を選ぶ時、こどもの発達や年齢に合っていることはもちろんですが、私自身も読んでいて心地よいことを大切にしています。

意識しているポイントをいくつかお伝えしますね。

 

・美しい言葉で紡がれているもの

読み聞かせをしていると、声に出した時にしっくりくるものと、そうでないものがあることを感じます。オノマトペをはじめ、日本語ならではの豊かな言い回しや韻(いん)を踏んでいると、お話にぐっと引き込まれます。

言葉の繰り返しやリズムがあることも、特に子どもにとって楽しめるポイントだなぁと感じます。

 

・絵の描写が物語と調和しているもの、想像力が膨らむもの

絵が素敵な絵本は、ただ眺めているだけでもワクワクするのではないでしょうか。文字が読めない子どもでも、そこに描かれている世界観を1ページ1ページじっくりと楽しんでいるかのようです。

一方で、登場人物がキャラクター化されていたり、絵が漫画的な表現がされていたりするものは、積極的には読んでいません。

よりイメージが膨らむような表現や、写実的なものを手に取っています。

 

・作者の意図が強すぎないもの

個人的な感覚でうまく言えないのですが、「こう感じて欲しい」という直接的なメッセージ性が強く出ている絵本は、あまり好きになれないことが多いです。

 

・昔話や童話は古くから伝わる「語り」そのものを

最近はわかりやすいように、怖くないようにと、ストーリーや登場人物がアレンジされてしまっているものがあります。ですが、現代の価値観では残酷だと感じられるお話であっても、そこに長年語り継がれてきただけある、大切な思いや学びがあるのではないかと思います。

そんな古の「語り」そのものの世界観を大切にしたいと考えています。

娘と私のお気に入り絵本

読み聞かせしてきた絵本のなかでも、特に娘が気に入っていたものを年齢別にいくつかご紹介します。

<0〜1歳>

・林明子『おつきさまこんばんは』福音館書店

・谷川俊太郎/作・元永定正/絵『もこもこもこ』文研出版

・三浦太郎『くっついた』こぐま社

 

『おつきさまこんばんは』は、娘も内容を丸暗記するくらい大好きで繰り返し読みました。雲に隠れたお月さまが、また出てくるところにホッとするみたいです。

擬音だけで展開していく『もこもこもこ』は、はじめは「なんだこれは?」とよくわからない感覚でしたが、次第に娘も私もその世界に引き込まれていった不思議な魅力があふれる絵本です。

『くっついた』は、繰り返し読むうちに「くっついた!」のセリフのところで娘がほっぺたを”ピタッ”とくっつけるようになり、それが可愛くてついつい何度も読んでしまっていました(笑)。スキンシップにも繋がる絵本は、一緒に読んでいて楽しいです。

<1〜2歳>

・ルース・ボーンスタイン『ちびゴリラのちびちび』ほるぷ出版

・エリック・カール『パパ、お月さまとって!』偕成社

・筒井頼子/作・林明子/絵『おでかけのまえに』福音館書店

 

お誕生日が大好きな娘。「ちびちび」のお誕生日のシーンでは、必ずお誕生日の歌を歌ってお祝いに参加していました。”みんなあなたのことが大好きなんだよ”というメッセージが、子どもにとっても嬉しいようです。

『パパ、お月さまとって!』は、『はらぺこあおむし』で有名なエリック・カールさんの作品ですが、同じくらいこの絵本も大好きでした。絵本にちょっとした仕掛けもあり、パパがながーいハシゴを持って、お月さまを取りにいく姿は大人もワクワクします。

『おでかけのまえに』は私も子どもの頃大好きだった絵本の一つです。お話に出てくるあやこちゃんの姿が普段の娘の姿と重なり、なんとも微笑ましいです。「だめだめ、ピクニックにいってから」が(小さい頃の私も)娘もお気に入りのセリフです。

<2〜3歳>

・フィービとジョーン・ウォージントン『ゆうびんやのくまさん』福音館書店

・いわむらかずお『14ひき』シリーズ 童心社

・筒井頼子/作・林明子/絵『こんとあき』福音館書店

 

保育園の自分のマークが”くま”だからか、くまさんが出てくる絵本は全部お気に入りの娘。なかでも『ゆうびんやのくまさん』シリーズが大好きです。お話のなかに出てくるちょっとした食べものや会話、くまさんの暮らしなど、どれもシンプルで素朴で心がじんわりあたたかくなります。

『14ひき』シリーズは、豊かな自然のなかで暮らすねずみの家族のお話。とにかく絵が細部まで精密で色彩にあふれ、ページを開くごとにその世界にふわっと引き込まれるような感覚を覚えるほど魅力的な絵本です。読むたびに小さな発見がたくさんあって、娘も毎回間違い探しのように楽しんでいます。

娘が生まれて十数年ぶりに読んだ『こんとあき』。あきがこんを探して見つかったシーンに思いがけずほろり。。そのページを読むときは娘の表情も真剣そのもの。微笑ましかったり切なかったり、何度読んでも胸が熱くなります。

 

林明子さんの作品が大好きで、かなり偏った紹介になってしまいましたが……。

おまけに。今にも触れられそうなくらいリアルで優しい林明子さんの絵本のもう一つの魅力は、絵の中にいろんな秘密が散りばめられていること。ストーリーを追うだけでなく、絵そのものをじっくり見て楽しんでみるのもおすすめです♪

絵本の時間を親子でじっくり味わって

今回は絵本を選ぶ時に大切にしているポイントと、お気に入りのものを少しご紹介させていただきました。

 

絵本には、たくさんの魅力が詰まっています。

美しい日本語や言い回し、豊かな表現の絵に触れる機会をはじめ、いろいろなストーリーの物語に出会うことによって、子どもの想像力や価値観、感性を豊かに育むことにもつながると言われています。

 

子どもためにと頑張りすぎず、読む大人も心地いい状態でいられることを大切に、読み聞かせの時間を一緒に楽しむことができたらいいですね。

 

(この時間が、娘にとって豊かな人生を送るひとつの手立てになればと願っています)

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【ethica Traveler】 連載企画Vol.6 宇賀なつみ (第5章)ゴールデン・ゲート・ブリッジ
独自記事 【 2024/3/27 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
そろそろ知っておかなくちゃ! 水素のこと。森中絵美(川崎重工)×中村知弘(UCC)
sponsored 【 2024/3/26 】 Work & Study
2023年の記録的な猛暑に、地球温暖化を肌で感じた人も多いだろう。こうした気候変動を食い止めるために、今、社会は脱炭素への取り組みを強化している。その中で次世代エネルギーとして世界から注目を集めているのが「水素」だ。とはいえまだ「水素ってどんなもの?」という問いを持っている人も多い。2024年2月に開催された「サステナ...
【ethica Traveler】 連載企画Vol.5 宇賀なつみ (第4章)サンフランシスコ近代美術館
独自記事 【 2024/3/20 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 本特集では、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブ...
【ethica Traveler】連載企画Vol.4 宇賀なつみ (第3章)アリス・ウォータースの哲学
独自記事 【 2024/2/28 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【ethica Traveler】連載企画Vol.3 宇賀なつみ (第2章)W サンフランシスコ ホテル
独自記事 【 2024/2/14 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.2 宇賀なつみ (第1章)サンフランシスコ国際空港
独自記事 【 2024/1/31 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【Earth Day】フランス商工会議所で開催するイベントにてethica編集部が基調講演
イベント 【 2023/4/3 】 Work & Study
来たる4月22日は「アースデイ(地球の日)」地球環境を守る意思を込めた国際的な記念日です。1970年にアメリカで誕生したこの記念日は、当時アメリカ上院議員だったD・ネルソンの「環境の日が必要だ」という発言に呼応し、ひとりの学生が『地球の日』を作ろうと呼びかけたことがきっかけでした。代表や規則のないアースデイでは、国籍や...
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(序章)と(第1章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/17 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開しています。今回は、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える」の序章と第1章についてのあらすじと見どころをお届け!(記者:エシカちゃん)
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(第2章)と(第3章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/24 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開中。さまざまなメディアから少しずつ情報を得、それをパズルのように組み合わせてひとつのストーリーを見出す、新しいメディア体験です。 今回は、前回に引き続き、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビュ...
テーマは、ナチュラルモダン『自立した女性』に向けたインナーウェア デザイナー石山麻子さん
独自記事 【 2022/9/19 】 Fashion
株式会社ワコールが展開する、人にも自然にもやさしいを目指すインナーウェアライン「ナチュレクチュール」。オーガニックコットン100%のラインアップが注目を集め、肌あたりやシルエットの美しさが話題になっています。その期待に応える形で、今年9月に新作グループも加わりました。やさしさを突き詰めた製品は、どのような想いや経緯から...
幸せや喜びを感じながら生きること 国木田彩良
独自記事 【 2021/11/22 】 Fashion
ファッションの世界では「サステナブル」「エシカル」が重要なキーワードとして語られるようになった。とはいえ、その前提として、身にまとうものは優しい着心地にこだわりたい。ヨーロッパと日本にルーツを持ち、モデルとして活躍する国木田彩良さんに「やさしい世界を、身に着ける。」をテーマにお話を聞いた。
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
東京マラソンと東レがつくる、新しい未来
独自記事 【 2022/5/2 】 Fashion
2022年3月6日(日)に開催された東京マラソン2021では、サステナブルな取り組みが展開されました。なかでも注目を集めたのが、東レ株式会社(以下、東レ)によるアップサイクルのプロジェクトです。東レのブランド「&+®」の試みとして、大会で使用されたペットボトルを2年後のボランティアウェアにアップサイクルするとい...

次の記事

美と健康を支援するオーガニックコスメメーカー「ヴェレダ」が 今年で創業100周年を迎える
アメリカ西海岸スタイルの「オーシャンフレンドリー」な セレクトショップがオープン

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます