[連載企画]人を癒す希望の火を灯す(第5話) キャンドル・ジュンさん SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 – 【ethica副編集長対談】
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[連載企画]人を癒す希望の火を灯す(第5話) キャンドル・ジュンさん

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(第4話)に続き、今回の副編集長対談はキャンドルアーティストCANDLE JUNE(キャンドル・ジュン)さんとオンラインで行いました。

キャンドル・ジュンさんは、1994年よりキャンドル制作を始め、2001年より平和活動『Candle Odyssey』を開始。紛争地や被災地を巡り、キャンドルに火を灯す活動を行っています。2011年3月11日に発生した東日本大震災から10年、被災地支援を現在まで続けてこられ、毎月11日の月命日には必ず現地で復興イベントを実施されています。

そんなキャンドル・ジュンさんに、キャンドルとの出会い、ご自身が率いる⼀般社団法⼈LOVE FOR NIPPONによる東北被災地域での支援活動、そして、これからの未来の作り方についてお話を伺いました。

3月11日は、仕事を休んで福島へ

萱島: 今のジュンさんのお話、すごく腑に落ちます。「LOVE FOR NIPPON(ラブ・フォー・ニッポン)」というお名前の意味も素敵だと思いました。

この記事を読んだ方が興味を持ってくださって、何か自分にもできることがないかなあと思った時に、誰でも参加できるような仕組みはあるのでしょうか?

CJ: 3月11日にもその前にもいつもいうのですが、「できれば3月11日にはお休みを取って福島に来てください」といっています。それは震災から9年目くらいからいうようになりましたが、それまでは福島というと、イコール原発、放射能のイメージが強かったのです。

でも、そもそも放射線量といっても、放射線は福島県の県内に限定して降り注いだわけではありません。もちろん皆さんもご存じだとは思いますが、それでも福島に行くってどうなのっていわれれば、3月11日に仕事を休んで福島に行くことが日本人のステータスにつながってほしいなという思いがあるからです。

東日本大震災がこの近年でも、世界に類を見ない多重災害だったことは間違いなく、その日に日常と変わらない日を過ごすよりは、休みを取って福島に行ってほしいです。自分たちのイベントにも来てほしいですけど、イベントだけじゃなくて、例えば、そもそも数値が低かった県南地域に行って大自然を楽しんでみようとか、さまざまな側面があると思うので、福島にいるんだということを今は個人個人がメディアを持っている時代なので、それぞれのメディアで発信してもらいたいですね。

3月11日に国会議事堂の前に行って原発反対のアクションを起こすよりは、福島に行って福島の自然エネルギーのことを学んでいますといった、そういう肯定的なアクションのほうが大切だと僕は思っています。何かが起きた時、誰かを敵にするのは簡単ですが、それでは問題の解決には至らないんですよ。

であれば、肯定的なアクションのほうがいいので、休みを取って福島に来てもらいたいというのが1つ。そうでなかったら、福島の産物を買って味わってもらうのも1つ。さらに、僕たちのイベントにリンクしてもらえるのなら、3月11日ぐらいは電気を消してキャンドルを点し、大切な人と一緒に過ごしてもらいたいというこの3つが僕が皆さんにやっていただきたいことですね。

もちろん活動を応援してもらえるのであれば、LOVE FOR NIPPONのグッズを購入してもらったり、ご寄付をいただけたら助かります。

萱島: ジュンさんのように毎月行かれるというのは大変なことだと思います。月並みな言葉ですが、応援していますので、頑張ってくださいというしかないですね。

CJ: ありがとうございます。僕にとって福島に行くことは、もうクセになっているので、子どもたちも「パパ、明日は11日だね。いってらっしゃい」とかいってくれます。東京にいる周りの人間たちもそうだし、福島の仲間たちも11日を楽しみにしてくれています。このことがとても大切だと思いますね。

しなければいけない支援活動はどこか無理があります。人間は、したいことは自然にできるんですよ。もっともっと多くの人が参加したいなと思えることを作っていければ、もっと自然にお互い様だからというキャッチボールというか、循環が取り戻せるはずです。日本にはもともとそういうことがあったんじゃないかと思うからこそ、売名行為という言葉も生まれたし、手助けするのが当たり前じゃないかということを声高にいうのが格好悪いと思ってしまうんですよ。ボランティアとか支援活動、CSR、SDGsとか全部外から入ってきていますが、日本の暮らしの中には、もっと自然なお互い様的な循環システムがあったんじゃないかなと思うと、それを取り戻して逆に世界に、日本にはこんな素敵な考え方や生き方があるってことを発信していければいいんじゃないかと思っています。

萱島: お互い様って、すごくいい言葉ですよね。もともとは農村でみんなが助け合って、お野菜とか互いに交換したりして一緒に生きてきたのに、近代化することで失われてしまったものがたくさんあるのだなと改めて実感します。

連載企画「人を癒す希望の火を灯す/キャンドル・ジュン SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 –」全8回にわたってお届けしてまいります。どうぞお楽しみに。

 

【連載】「人を癒す希望の火を灯す」を読む>>>

CANDLE JUNEキャンドルジュン

アーティスト/ フィールドデザイン/ ディレクター

1994年、キャンドル制作を始める。「灯す場所」にこだわり様々なフィールドで空間演出を行い、キャンドルデコレーションというジャンルを確立。

2001年、原爆の残り火とされる「平和の火」を広島で灯してからは「Candle Odyssey」と称し、悲しみの地を巡る旅を続ける。

2011年、東日本大震災を受けて「一般社団法人LOVE FOR NIPPON」を発足し支援活動を始める。

ethica副編集長 萱島礼香
法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

ーーBackstage from “ethica”ーー

東日本大震災から10年を迎える福島で、CANDLE JUNさん率いる一般社団法人LOVE FOR NIPPONによる追悼復興イベント「SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 -」が3月10日(水)から4日間にわたり開催されました。『One more action !』をテーマに、開催が叶わなかった2020年の想いとともに、CANDLE 11th、3.11夢の大凧あげ、FESTIVALやシンポジウムといったイベント実施されました。詳しくは公式サイトをご覧ください。

SONG OF THE EARTH 公式サイト
http://songoftheearth.info

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

萱島礼香

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