【ethica編集長対談】 陶芸家 古賀崇洋さん(前編)
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【ethica編集長対談】 陶芸家 古賀崇洋さん(前編)

現在、九州を中心に活動している陶芸家・古賀崇洋さんは作品の存在感を際立たせるために「反わびさび」という新しい概念を掲げ、器全体を大小のスタッズ(突起)で覆う派手でユニークなシリーズを展開、質素で静かなものをイメージする日本人の美意識「わびさび」とはかけ離れた作品を発表しています。

これまでにスポーツブランド「adidas」、人気アニメ「東京喰種」、ファッションブランド「CoSTUME NATIONAL」、筝とEDMのパフォーマンス集団「TRiECHOES」など幅広いジャンルとのコラボ実績を持ち、その活動には多くの著名人が注目している古賀さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がお話をお伺いしました。

モノづくりへの思い

大谷: まず「ethica」について説明させてください。8年前に創刊したwebマガジンで、読者は7割が女性、20代~30代がメインですが、最近は40代も増えてきています。その中には芸大・美大ご出身の読者が結構いて、アート系に関心を持っている人が多いのも一つの特徴です。今回は「アート&カルチャー」のコーナーとなりますが、切り口としては、「ethica」に来なければ見ることのできない独自のコンテンツを配信するように心掛けています。

また、創刊の時に5つのメッセージを決めていて、そのうちの1つが「モノづくりへの思い」です。サステナビリティ―の1つとして伝統工芸とか職人さんの技術を絶やさないようにしようといった話もこれまでたくさん取り上げてきていますので、今回はその切り口で展開させていただければと思っています。どうぞよろしくお願いします。

古賀: こちらこそよろしくお願いします。

陶芸家になるまでの歩み

大谷: まず古賀さんがプロの陶芸家になるまでの歩みについてお聞かせください。子どもの頃からモノづくりには興味がおありでしたか?

古賀: 絵を描くことだったり、小学校の授業でいうと図工だったりは好きでしたし、得意でしたね。ドラゴンボールの絵を描くと友だちが欲しいといってくれて、また描いて持っていくとか、そういうことをやっていました。

大谷: 中学校に入ると、美術の道に進もうという将来の方向が見えてきたのでしょうか?

古賀: いえ、それがそうではないんですよ。僕は小学校ではサッカー、中学校ではサッカー部がなかったのでバレー部とずっとスポーツをやっていました。中学校の美術部はどちらかというと暗い人が集まる部で(笑)、ですから、美術部に入ろうという気は全くなかったです。スポーツがメインで、この頃は将来、アートの世界に行くことになるとは思ってもいなかったですね。

大谷: でも、高校を経て大学は美術を専攻されていますよね? それは何かきっかけのようなものがあったのですか?

古賀: 僕が入ったのは佐賀大学という、当時住んでいた福岡県の隣の県の国立大学の教育学部でした。今振り返ってみると、本当にひどい理由なんですけど、家から一番近かったということと、親から私立にやるお金がないといわれていたので、それでそこに入ったんです。

大谷: 美術の先生になろうというような人が集まる学校ですよね?

古賀: ええ、そうです。

大谷: 古賀さんご自身にもそういうおつもりはあったのですか?

古賀: いや、あまりなかったですね。まあ、美術が好きだったことは間違いないですが、当時はまだ美術に対するそこまでの熱い思いはなかったですね。

大谷: 入学試験には実技もありますよね?

古賀: ええ、ありました。高校最後の体育祭が終わって受験ギリギリになって初めて画塾に2カ月ほど通いました。美術系の大学を受けようという人は何年も画塾に通うというのに、本当にひどい話ですよね(笑)。

大谷: 無事に大学に入学されてからはどんな感じだったんですか?

古賀: 1年間は油絵だったり、デッサンだったり、木工とか染色とか基礎的なことをいろいろと学んでいました。その中には焼き物もあって、そこで初めて焼き物に触れたんです。

粘土をコネコネして、水をかけたら溶けてしまうようなものが1300度くらいの炎を通すことで全く別のものに生まれ変わるんです。こんなに完成度の高いものになるんだということに感動しましたね。

学校に泊まり込んで20時間ぐらい焼くんですよ。窯を開けた時の感動、その最初の感動がいまだに鮮明に記憶に残っているくらいインパクトがあったんです。あ、これだ!と思って、そこからはずっと焼き物に取り組んでいます。

大谷: それは20歳くらいの時ですか?

古賀: そうですね。そのくらいでした。

同級生との縁を契機に工房を構える

大谷: 卒業されてからご自身の工房を持たれるまでのプロセスというのはどういうものだったのですか?

古賀: 4年生が終わってから研究生としてもう1年残っていたので、学校に5年いたんですけど、その研究生の時には美術系の学校で非常勤の先生をやっていました。学校にあった窯で焼き物をやりながら生活していました。焼き物を売ってそれだけで生活できるというのはなかなか難しいですから。

それで、そうこうしているうちに、大学の同級生に鹿児島の芋焼酎を作っている酒蔵の社長の息子がいて、彼が「ウチに来て午前中は仕事をして午後からは自分の好きなことをやっていいよ」という雇用形態を作ってくれたんです。それで佐賀から鹿児島に引っ越して、その会社の中に工房を構えました。

大谷: それは古賀さんにとって恵まれた話でしたね。

古賀: そうなんですよ。もちろん働くのは午前中だけでしたから給料はそんなに高くなかったですけど、でも、助かりました。経済的な心配をしないで作陶に没頭できたのもよかったですね。

大谷: そういう働き方って、これからますます求められるような働き方じゃないかなと思いますね。

古賀: 今から10年前ですからその時は意識したことはなかったですが、今振り返ってみると、すごく理にかなった働き方だったかもしれないですね。

大谷: そこにはどのくらいいたんですか?

古賀: 5年間ですね。まだ焼き物だけで暮らしていけるほど稼いではいなかったのですが、一念発起してそこから独立して、焼き物だけで食べていこうと思ったのです。

(中編に続く)

続きを読む(中編)>>>

古賀崇洋(陶芸家)

1987年、福岡県出身。2010年、佐賀大学文化教育学部美術・工芸課程卒業。

千利休に感銘を受け、作品の存在感を際立たせる意味であえて「反わびさび」を掲げる。モノに内在する力を可視化するためにスタッズを使用し、突出した人物を表現。世の中を変えていくような際立った存在を磁器によって結晶化する。

2019年、六本木ヒルズA/Dギャラリーで個展を開催。2018年、パリ三越伊勢丹での展示会に出品。2019年、人気アニメ「東京喰種」、スポーツブランド「adidas」、ファッションブランド「CoSTUME NATIONAL」、筝とEMDのパフォーマンス集団「TRiECHOES」とのコラボ作品を発表するなど活躍の場を広げている。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業9期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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