【ethica編集長鼎談】みんな電力・高橋智里さん、広報 中村麻季さん(後編)
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【ethica編集長鼎談】みんな電力・高橋智里さん、広報 中村麻季さん(後編)

パーソナル事業部 個人営業チームの高橋智里さん Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

中編に続き、みんな電力の取り組みについて、パーソナル事業部 個人営業チームの髙橋智里さんと社長室 広報チームの中村麻季さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がお話をうかがいました。

「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞

大谷: 昨年度の「ジャパンSDGsアワード」で御社は「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞されました。どのような点が評価されたのでしょうか。

中村: 今までのお話には出てきませんでしたが、弊社はブロックチェーンを使って、どこで発電した電気を、どれだけ買うのかということを改ざん不可能な状態できちんと証明するトラッキングシステムを持っています。今そのシステムを駆使して、法人のお客様向けに提供している「横横プロジェクト」というものがあって、青森県の横浜町がその風を活用した風力発電の電気を、大都市で電気がたくさん必要な神奈川県の横浜市にある日本郵船さんや大川印刷さんが購入して、電気を通じて地域の経済圏をつなげようというものです。そうした取り組みを評価していただいて、おかげさまで受賞したという形になります。

高橋智里さん Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: 青森県にも横浜があるんですね。知りませんでした(笑)。

髙橋: そうなんですよ。そこで同じ横浜の、青森県の発電事業者様と神奈川県の需要者様とつなげて、それを「横横プロジェクト」と銘打ったわけで、第2弾として「浜浜プロジェクト」もあるんですよ(笑)」

あとは、長野県の水力発電の電気を世田谷区の保育園で使ったりだとかブロックチェーンを使って、どこで作った電気をどこでどれだけ使うかということを、きちんと紐づけていることを評価していただいたのではないかと思っています。

SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: 消費者にしてみれば、どこで電気を買おうかなって選ぶ楽しさがありますね。

髙橋: 企業様だと、福島の被災地の復興に役立つ電気を買いたいと、ご指定してお買い上げになったり、逆に最近では、スノーピークさんが弊社に切り替えてくださったんですけど、地元で作っている電気はないかということで新潟県三条のバイオマスの電気を指定されて、この7月から使われることになっています。

電気を通じてつながって、そこがスタートになって物産展を一緒に企画したり、発電事業者の方をご招待してイベントをやったりとか、地域と地域がつながる効果のようなものは確実にありますね。

透明性の追求と空気の見える化事業

大谷: 今後、御社として進めていきたいことですとか、電力を売ること以外で何か新しく始めた取り組みがあれば教えてください。

中村: 今、弊社は再エネの電気の会社なんですということをお伝えさせていただきましたが、実は再エネの電力会社になりたいとは思っていなくて、社長の大石のそもそもの創業のきっかけは貧困の解消や富の分散とか、究極の透明性だったんですよ。ですから、別に電気でなくてもいいんですけど、あくまでも電気はツールであって、ライフスタイル全体をアップデートして経済の透明性を高めたい、究極の透明性を担保したいという企業理念があります。

なので、電気はそのための1つですが、電気は生産者様、いわゆる発電事業者様の顔の見える化ができましたので、次は空気の「顔の見える化」をしようと考えています。

今、空気に何が含まれているのか、誰も知らないねということで、空気の浮遊菌やウイルスを採取、データ化して、そのソリューションを例えば、紫外線を照射して浮遊菌を少なくした方がいいですよとか、お部屋のレイアウトを変えてソファをもっと窓際に移した方がいいですよとか、そういったライフスタイルの改善のご提案をする、空気の見える化事業のようなことを始めました。

みんな電力株式会社 代表取締役 大石英司氏 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: 電気の次は空気ですか。それは面白い取り組みですね。

髙橋: それと、皆さん、スマホのバッテリーを使っていますが、そこに入っているコバルトという希少金属は児童労働に関与している場合があります。そこで、それを何とかブロックチェーンでトレーサビリティ(食品の生産や製造過程などの商品履歴情報を消費者に提供する流通システム)をつけて明るみに出して改革できないか、エシカルなバッテリーを作ってエシカルなスマホですといって社会に出せないかといったようなことも考えています。ライフスタイル全体をアップデートしたいというのが私たちの目指す姿です。

中村: でも、そこに真面目な感じだけではなくて、選ぶ楽しみとか、そういう選択肢がたくさんあるほど幸せな気分になっていただけると思うので、そういったものも弊社は大切にしています。なので、皆さんで楽しみながら、ものを選ぶ行動を楽しくアップデートできたらいいねという軸で、これからも事業を展開していきたいと思っています。

髙橋: 空気もただ単にきれいにしたいというわけではなくて、空気を見える化してきれいにしたカフェと、特に何もしていないカフェがあって、空気がきれいな方はコーヒーが300円高いけど、どっちか好きなカフェを選べるという、そんなことができたら面白くないですか。これからはそういうご提案をしていく会社になります。

大谷: それは面白い。空気の見える化もアップデートもすごく興味があります。

みんな電力 執務スペースの様子 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

中村: 狙っていたわけではないんですけど、コロナとサービスのローンチが重なって、コロナ感染症対策という形でTBSラジオさんとかドラッグストアチェーンさんとか空気に対してしっかり向き合っている企業さんが導入してくださっていますね。

大谷: 何かデータが見えるような機材を置いているのでしょうか?

髙橋: 空気を取り込む装置を防護服のようなものを着たスタッフが空気を採取します。そして、それを持ち帰って検査をして、どれくらい汚れているかを報告します。

大谷: 今後が楽しみですね。では、次の質問になりますが、お二人は日頃どのような思いで業務に従事されていらっしゃいますか。

髙橋: 私は主に再生可能エネルギーの電気を、個人のお客様に買っていただくというのが仕事です。私自身、2年前にこの会社に入るまでは電気に選択肢があるということを全然知りませんでしたし、自由化以後も東京ガスに替えると安くなるのかなというぐらいしか知識がなかったので、そこについては、まずそもそも再生可能エネルギーという選択肢があるんだよということを、とにかく1人でも多くの人に知っていただきたいですね。

さらにいえば、再生可能エネルギーの中にもいろいろとあって、熱い思いを持って電気を作っている方がいらっしゃるので、お客様には、そういう方を応援できるような選び方をしていただきたいです。なので、いろいろと手を替え品を替え、さまざまなアプローチでお客様にコミュニケーションしているという、そんな感じです。

大谷: 先ほど楽しく伝えていきたいとおっしゃってましたが、何か企画なりイベントのようなこともされているんでしょうか。

髙橋: 昨日の取材は、ちょうど雑誌の取材で、今回は女性誌でした。エネルギー周りの話って経済誌とか日経とかそういうところで取り上げられがちですけど、もっと楽しく、お洋服やコスメ、有機野菜を選ぶのと同じような感覚で電気も選べるようにしたいと、そんなふうにご説明できるように、いろいろとやっています。

あとはキャンペーンを実施したりラジオに出てみたり、固くならないようにいろいろとやっています。イベントはアースディとか、ポップカルチャーのエンターテインメントと一緒にやらせてもらったりしていて、最近ではLUNA SEAのSUGIZO(スギゾー)さんとBRAHMANのTOSHI-LOW(トシロウ)さんが弊社のオフィスで「ライブ・フロム・ザ・オフィス」を開いたり、真面目にお伝えするというよりも、いかに楽しく仲間を増やせるかという企画だったり、エンタメだったり、先日発表させていただいたのはアーティスト電力というアーティストから電気を買えますよという企画です。

高橋智里さん Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: アーティスト電力という名前を聞いただけでも楽しそうで、何だかワクワクしてきますね。

中村: 再エネにするといいんだよ、CO2が削減できるんだよといっても、いいのはわかっているけど、お客様の心はなかなか動きません。

今回のアーティスト電力は、もともと、第1弾としていとうせいこうさんに参画いただいていただいています。せいこうさんも分散型に前々から共感といいますか、大事だと思っていて、原子力発電には頼らないとか、そういったところの思いをお持ちなので、再生可能エネルギーがどうやったら普及するかというのを常々考えていらしたみたいです。

そういった時に思いついたのが、アーティストが自分で発電所を持って作った電気を売ったら面白いんじゃないかということでした。電気を買ってくれた方には、そのお返しとしてアーティスト電力を使っている人だけが見られるライブにご招待しましょうということですね。

電気はどなたでも作れる時代になっていますので、例えば、ソーラーシェアリングだったらソーラーパネルをそれぞれ皆が1枚ずつ持てば、小さな発電所が作れますので、そこで作った電気を売ったり買ったりすることでエネルギーを通じた新しいコミュニティができるといいですね。

私によくて、世界にイイ。

大谷: 最後に、「ethica」のグランドコンセプトは「私によくて、世界にイイ。」ですが、高橋さんにとっての「私によくて、世界にイイ。」こととは何か、お聞かせいただけますか。

高橋: 私が今日着ているのは90年代の古着なんですが、古着は結構好きでよく着ています。新しく作られたものをどんどん使っていくというよりも、すでに世界に生まれているものを大切に使っていくと、「私によくて、世界にイイ。」にもつながるのではないでしょうか。

大谷: 今日は長時間、楽しいお話をお聞かせいただきありがとうございました。

髙橋・中村: こちらこそありがとうございました。

(前編)から読む>>>

 

髙橋智里 みんな電力 事業本部パーソナル事業部 個人営業チーム チームリーダー

秋田県秋田市出身。2019年7月みんな電力入社。個人のお客さま向けのWEBプロモーションを担当。みんでんカレー部・ねこ部に所属

中村麻季 みんな電力 社長室 広報チーム マネージャー

愛知県豊橋市出身。トヨタ系自動車部品メーカーでCSR活動の企画推進、企業広報を経験。2020年に2人目の広報としてみんな電力に入社。主に広報戦略の立案、メディアリレーション・プロモート、クライシス・コミュニケーションを担当。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業9期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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