読者対話型連載 第1章:ネパールと人々のつながり編(第2節) 「読者」と「ethica編集部」の交流の場(オンラインオフ会)連動企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」
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読者対話型連載 第1章:ネパールと人々のつながり編(第2節)

新企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」を担当します永島郁哉と申します。早稲田大学で社会学を学びながら、休日には古着屋に行ったり小説を書いたりします。

この連載は、ストレス社会に生きる私たちが、ふと立ち止まって「豊かさ」について考えるきっかけとなる、ささいな休憩所のようなものです。皆さんと一緒に、当たり前だと思っていた価値観を一つ一つほどいていく作業が出来たらと思います。

第一章は「ネパールと人々のつながり」と題して、全四節にわたりお送りします。ネパールでの人とのつながりをヒントに、皆さんと共にウェルビーイングについて考えていけたらと思います。

第1章 ネパールと人々のつながり

第2節 電話好き?なネパール人たち

 

皆さんは、「電話」にどのようなイメージを抱きますか?要件を早く伝えられる、相手をより身近に感じられるから好きだという人もいれば、なんとなく苦手という人もいるでしょう。

近年、日本やアメリカなどでは、若者の間で電話に対して苦手意識を持つ人が増えていると言います。理由は様々で、「相手と直接話すのに緊張する」や「好きな時にチェック出来るテキストメッセージの方が良い」、「相手の予定を気にしなくてよい」、「誰かに話し声を聞かれたくない」などがあるそう。

相手への配慮や、直接的なコミュニケーションへの苦手意識などは、まさに「現代人あるある」ですが、私がネパールで見て来たものはこれとは少し違います。

私がネパールを訪れたプログラムは、現地のネパール人学生と行動を共にするものでした。「トイレ以外はずっと一緒」と言っても過言ではないほど、べったりとネパール人学生と関わっていたのですが、実はトイレ以外にも彼らが「一人の時間を大切にする瞬間」がありました。

「電話」です。ネパールの人はとにかく、一日に何度も電話します。家族はもちろん、仲の良い友人とも頻繁に電話で話していました。

時には電波の届きづらい地域にも行きましたが、そこでも熱心にアンテナを探しては電話していたのが印象的です。

一方、日本人の使節団は、私の知る限り、二週間で一度か二度程度です。もちろん皆、LINEで家族や友人、恋人と連絡は取っていますが、電話はほとんどしていません。

見知らぬ外国の土地で、家族や友人との連絡をテキストで済ませる日本人。

実家から数キロの場所でも、家族や友人と電話で互いの声を聞くネパール人。

最初こそ、「ネパール人は電話が好きなんだな」などと単純に思っていましたが、ある学生にそのことを聞いてみると、実はそうではないようなのです。その学生は電話をする理由を次のように語りました。

 

「ネパールの人は電話が好きなんじゃなくて、返信が待てなくて電話しちゃうのよ。相手もそれで良いし、家族や友人からの電話に少しも出られない時なんてあんまりないでしょ。」

 

つまり、電話で相手の声を聞くことが重要なのではなく、電話をかけること自体が相手を気使っているというメッセージなのです。

思わず、ハッとしました。電話をかけないことは相手のスケジュールに気を使ってのことでしたが、むしろそれは相手を気使っていないというメッセージを与えてしまってはいないか、と。ましてや、「お互い都合の良い時」など、時差のある国同士では到底見つかりません。

もちろんその夜、私は日本の友人に電話しました。「突然どうした」という声は、心なしか嬉しそうだったことを覚えています。

近代化のなかで、私たちは共同体的なつながり(家族や友人、恋人との関係)が希薄になっていると言います。テキストメッセージは便利ですが、その味気ない文字列はどれほどの情報量を相手に伝えることが出来るでしょうか。時には、たった一つの行動が相手への大きな愛情表現になり得ることを、私はネパールの人々に教えてもらいました。

もちろんこれはネパールという文化圏での話ではありましたが、しかし「相手の都合を探り続けて、気を使った気になる」ことが本当に家族や友人との関係をより良くするのか、という問いはユニバーサルなように感じます。

近代化は私たちに何を与え、私たちから何を奪ったのか。便利な暮らしの裏にはきっと失ったものもあるはずです。

ネパールと人々のつながりが、あなたにとってそれを考えるきっかけになればと思います。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

[読者対話型連載]あなたにとってウェルビーイングとは何か

永島郁哉

1998年生まれ。早稲田大学で社会学を学ぶ傍ら、国際学生交流活動に携わる。2019年に公益財団法人イオン環境財団主催「アジア学生交流環境フォーラム ASEP2019」に参加し、アジア10カ国の学生と環境問題に取り組んだ他、一般社団法人アジア教育交流研究機構(AAEE)では学生スーパーバイザーを務め、ベトナムやネパールでの国際交流プログラム企画・運営を行っている。2019年9月より6か月間ドイツ・ベルリン大学に留学。

——Backstage from “ethica”——

今回の連載は、読者対話型の連載企画となります。

連載の読者と、執筆者の永島さんがオンラインオフ会(ZOOM)で対話をし、次の連載の話

題や企画につなげ、さらにその連載を読んだ方が、オンラインオフ会に参加する。

という形で、読者との交流の場に育てていければと思います。

ご興味のある方は、ethica編集部の公式Facebookのメッセージから、ご応募ください。

https://www.facebook.com/ethica.jp

抽選の上、次回のオンラインオフ会への参加案内を致します。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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