(第14話)「1年越しで迎えた、一目惚れのグラス」【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第14話)「1年越しで迎えた、一目惚れのグラス」【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

陶器やガラス製の食器が大好きで、学生の頃から地道にお気に入りを集めています。

 

ところが娘も一緒に食卓を囲むようになってからは特に、欠ける、ヒビが入るのが日常茶飯事に。娘が手を滑らせることはもちろん、大人もまた娘の様子やら何やら、あちこち気が散って手元に集中出来ていないことも大きな原因で、ここ数年で割れてしまった器を前に何度涙をのんだことか……。

 

でも自分の「好き」も諦めたくないので、好みのデザインや質感であることに加えて、扱いやすさ、割れにくさ、限られた収納に収めるために多用途に活躍する使い勝手の良さなどの、機能性や実用性もより重視するようになりました。

 

そんな厳しいハードルをクリアし、この夏わが家に迎えたグラス。

 

1年前、近所の古道具屋さんで見かけたものです。

 

光の入り方がとても美しく、そっと手にとった馴染み具合も心地よい。

これはいいなと思ったけれど、夫の方を振り返って私が言葉を発する前に「コップあるやん」と釘をさされ「う……(そのとおり)」、その時は泣く泣く諦めたのでした。

水出しの緑茶を入れたら涼しげで、一層美味しく感じるだろうなぁ。

あのサイズ感といい、お客さんが来たら出すのにぴったりだな。

おそうめんのつゆを入れるのにもちょうどいいかも。

 

お店を出た後も、あのグラスの佇まいが心の隅っこにずっと残っていて、ふとした時に思い出しては「やっぱり欲しいなぁ」という気持ちが湧き上がるのでした。

 

寒くなるにつれ、一度はその気持ちが落ち着いたものの、1年経って冷たい飲み物の美味しい季節を迎えると、再びグラスへの思いがムクムクと蘇ってきました。

 

自分の「好き」に加えて、安定感、存在感、多用途に活躍するであろう使い勝手の良さ(こちらは想像ですが)など、私の望む要素のほぼすべてを備えている(に違いない)あのグラス。

 

頭のなかで使い道をイメージし、収納する場所も確保し、夫を説得の末、もしまだあったならと期待を込めて再び古道具屋さんを訪れたのでした。

 

すると、扉を開けてすぐ目に入る飾り棚の上に、1年前と変わらない涼やかな姿で並ぶグラスたち。

(よかった、まだあった!)

 

1年越しの思いがやっと叶った嬉しさに思わず頬がゆるむのを感じながら、今回は迷うことなく2つを手に取りレジへ。

新聞紙でくるんでもらった2つのグラスを大事に手提げにしまい、足取り軽くお店を出たのでした。

ギラギラと夕日が差し込むリビングで、カランと軽やかに響く氷の音を耳に、水出しの緑茶をゴクリ。

イメージ通りの佇まいと口当たりに思わず「ホゥ……」と幸せなため息が漏れます。

 

わが家に迎え入れるかじっくりじっくり考えたからこそ、手に入れた時の喜びは大きく、

日々どんな風に活用しようか、考えるたびに心がときめくこのごろです。

【連載】キコの「かぞくの栞」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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