(第5話)悔しさを原動力に [連載企画]植物調合士・オーガニックビューティセラピスト 坂田まことさん
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(第5話)悔しさを原動力に

Photo=Yuji Nomura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

坂田さんは現役のセラピストでありながら「女性の新しい働き方」を創出するためのオーガニックビューティセラピストを育成するスクールを全国で展開。さらに自社オリジナルのオーガニック化粧品の企画・開発も行い、ご自身の子育てと両立しながら、女性の素肌と心を癒すために起業家として精力的に活動されています。

(第4話)に続き、エシカ副編集長・萱島礼香が坂田さんを訪ね、2015年に自宅の一室でオーガニックエステサロンを開業してから現在にいたるまで、次々と夢を叶えてきた坂田さんに、起業までの道のりや今後の事業展開、将来の夢についてお話を伺いました。

悔しさを原動力に

Photo=Yuji Nomura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

萱島: ところで今、SDGsが日本でもすごく活性化してきていますが、坂田さんの事業は、まさにSDGsの推進といえると思います。次々と事業を形にするパワーの源は何でしょうか。

坂田: パワーの源はよく聞かれます。

一番最初はブログに「悔しさを原動力に」ということを書いたことがあるんですが、母親になった後に社会復帰ができないことへの悔しさが私の最初の原動力でした。

自分が何か悪いことをしたわけではなくて、若かったり子どもがいるだけで、あたりまえのスタートラインにすら立てませんでした。

美容の仕事は綺麗な人や長時間働ける人しか働けないという雰囲気があって、私みたいに肌が荒れている人や時間に制限がある人は必要無いという「努力だけではどうにもならない環境格差」みたいなコンプレックスがある中で、ただただ悔しいと思ったんですね。

そしてもう1つは、社会の中で少しでも役に立つ仕事に携わってみたかったんです。将来の夢は「社会起業家」でしたね。利益で会社や自身の可能性を広げるだけでなく、社会課題に向き合い課題解決を行う投資や事業を行いたかった。

それも給料とかの対価ではなくて、人に純粋に「ありがとう」っていってもらいたかったんですね。最初はそれが原動力になっていて、でもだんだん自分が行動や発信をしていくと、同じような環境の人たちが自分に会いに来てくれるようになりました。まことさんのブログを読んで元気が出ましたとか、私もこういう仕事を始めましたとか、オーガニックコスメを使って肌が変わって友だちに教えたら、友だちもよくなってすごく嬉しかったとか…

「お客さんの声」に救われていくような、自分のコンプレックスが肯定されていくような、そんな感動に幾度となく出会うようになって、自身の存在意義も商品の価値も、全ての答えはお客さんの声の中にあるんだと気がついたんです。

あとは単純に信じて会いにきてくれるお客さんの力になりたかったということもありますね。彼女たちが元気になると、同時に私の過去が救われていくわけですよ。子どもを生んだ時から自分の選択肢をずっと否定されていたので、私が子どもを生んでからこの仕事を始めたということが、お客さんと出会えば出会うほど肯定されていく。それがすごい原動力になっていきました。

突き進めば突き進むほどに、自分が母親になったことを肯定してもらえる —

年齢や環境というどうにもならないコンプレックスや、若さ故に身も心も理想の母親にはなりきれなかった悔しさは、いつしか仕事とお客さんを通じて報われていったと思っています。

ソーシャルビューティー

 

萱島: 社会参加への強い気持ちをお持ちだったのですね。いま、経営者としてSDGsの推進ということについてはいかがですか。

 

坂田: 環境や年齢に差別されず女性の誰もが平等に働けるようにしてあげることがSDGsに繋がっていくと思っていて、そのためには技術継承や独立支援することがとても大事だと考えています。

先ほどもお話しましたが、20代の頃エステで働いていた時はすごく働きにくかったんですね。結婚や出産をしたら戦力外通告される社会です。ブラック企業なんて当たり前です。でも現場で働いているのは100%女の人で、お客さんも90%以上が女性の消費者という社会の中で、私たちの権利が正しく保障されていないことに課題を感じていました。女性が働きやすくなかったら全く意味がないなと思って、特に販売とか施術者の世界だと、美容部員って苦労の数が多いほど魅力的なんですよ。若い子はお肌もツルツルでピカピカで体力もあって即戦力かもしれませんが、お客さんから相談を受けるとなった時には人生経験のある人のほうが圧倒的にお客さんが安心して信頼しますし、商品も人に魅力があれば自然と売れていくわけです。だからこそ、苦労も幸せも積み重ねてきた環境障害に置かれる女性たちにこそ、平等なスポットライトを当てていかないと、いつか美容業界の人材は衰退していってしまうと感じていたんです。

いろいろな環境がある中で経験を生かせる仕事をするためには、この美容業界の長時間労働、重労働、低賃金労働の3つを変えていかないと、人を美しくするどころか環境すら美しくなりません。

Photo=Yuji Nomura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

イライラしたママがいる家庭は家族が笑顔にならないですからね。

私は女性がほんの少しでもきれいになるだけで、社会全体が温かくなると思っています。

美容というのは贅沢なものではなくて、女性が自分に自信を持って社会の中で居場所を作り、家に帰った時に笑顔で話ができて、家庭がちょっとだけでも温かくなるためには必要不可欠だと思っています。目の前の皮膚だけではなくて、そういう美しさを私は社会的な美=「ソーシャルビューティー」と呼んでいて学校でも教えています。

私たちは、考え方や捉え方一つで何者にでもなれると思っているんですよ。

「明日、私はオーガニックセラピストになる」と思えば、誰だってオーガニックセラピストになれます。私たちの仕事に国家資格や保健所の審査は必要ありません。「明日やろう」でできる仕事に、美容業の大半があります。

なぜなら女性は生まれた時から、きれいになることが好きですよね。子供ですら美意識があるわけですから、そこに専門的な知識と技術を継承していけば誰でもこの仕事はできるということを知ってほしいと思っています。

(第6話に続く)

連載企画「植物調合士・オーガニックビューティセラピスト 坂田まことさん」全6回にわたってお届けしてまいります。

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坂田まこと
植物調合士 / オーガニックビューティセラピスト

1990年名古屋市生まれ。19歳で母親になり2015年に自宅の一室にオーガニックエステサロン「ORGANIC MOTHER LIFE®︎」を設立。5年間でフランチャイズ含めオーガニックエステサロン×コスメショップを全国6店舗、コットンハウス®︎エステスクールは全国20校に展開。2021年5月には宮崎県国富町に自社OEMを設立し地方創生に繋がる有機農産物残渣等を活用した「ORGANIC MOTHER HOUSE®︎ – 植物調合美容研究所 -」を開所し取り組み始める。主にオーガニックサロンやスクールの運営、化粧品の開発やコンサルをはじめ、書籍の執筆、美容セミナーやショップディレクションを務める。著書『私、ファンデーションを卒業する。』『料理をするように美しい素肌は作れるということ』(キラジェンヌ出版)がある。

ethica副編集長 萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

提供:サラヤ株式会社
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私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

萱島礼香

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