(第6話)ソーシャルビューティー [連載企画]植物調合士・オーガニックビューティセラピスト 坂田まことさん
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
(第6話)ソーシャルビューティー

Photo=Yuji Nomura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

坂田さんは現役のセラピストでありながら「女性の新しい働き方」を創出するためのオーガニックビューティセラピストを育成するスクールを全国で展開。さらに自社オリジナルのオーガニック化粧品の企画・開発も行い、ご自身の子育てと両立しながら、女性の素肌と心を癒すために起業家として精力的に活動されています。

(第5話)に続き、エシカ副編集長・萱島礼香が坂田さんを訪ね、2015年に自宅の一室でオーガニックエステサロンを開業してから現在にいたるまで、次々と夢を叶えてきた坂田さんに、起業までの道のりや今後の事業展開、将来の夢についてお話を伺いました。

ソーシャルビューティー

 

萱島: 「ソーシャルビューティー」というのは新しい言葉ですね。初めて聞きました。でも、とてもいい、素敵な考え方だと思います。

 

坂田: 化粧品を使う時、多くの人は肌の上のきれいだけを考えるんです。でも、それって単なる角質層の話で、角質層は28日で生まれ変わっていくんです。そうやって考えていくと、私たちの人生って30年40年生きてきて、たった28日で変わるような人生じゃないわけですよ。

シワやシミも一緒で社会的な美しさというのは積み重なるものだと思っていて、年を重ねるごとにきれいになるはずなんですね。海外ではもっとワイルドでも美しさが認められています。人脈とか社会経験とかが美しさに反映されるんです。

でも、日本では遅れていて、どうしても若くて美しい人が「美しい人」になってしまいます。社会的な美=「ソーシャルビューティー」を広めることで、私たちの肌だけではなくてそれを取り巻く環境と家族を含めた全てがその人の美しさになってく…そんな社会美が認められる環境を目指していきたいと思っています。

私もそうですが、大きな組織を持たなくても女性が自由に働ける仕組みを作ってあげてそれを囲わず共有していけば、一つ一つは小さなお店でも集まれば大きな影響力を持つことになります。まるで絵本の「スイミー」みたいに困った時は助け合い、必要無いときは自立して依存し合わない程よい距離感を持てる小さな経営者たちが増えていくことで、例えばシングルマザーの低所得の課題解決や主婦の社会進出にも結びついていくかもしれないですよね。

大切なことは、オーガニック・エシカルという未だマイノリティな社会の中で事業を行う場合、まずは「公共的に」「開放的に」伝えられる環境整備が必要不可欠なわけです。私はそれをオーガニックコスメを用いたサロン経営の独立支援から挑戦していることになります。

例えばフェイシャルエステは座ってできる仕事で80歳90歳になってもできるわけですよね。しかもきちんとした収入が得られる仕事なので、そういう仕事を通じて女性の生まれ持った存在価値を見出したくて「ソーシャルビューティー」を目指しているというのが私のビジネスの軸にありますね。

萱島: 美は個人についてくるという印象がありますが、それだけじゃないんだということがよく分かりました。

オーガニックコスメを使うことはエシカルなライフスタイルの一つだと思いますが、化粧品業界でのエシカル、サステナブルといった面での推進の動きとして、今いえることにはどんなことがあるでしょうか?

Photo=Yuji Nomura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

坂田: そもそもオーガニックコスメ自体がエシカルだと思います。

美容業界というのは先ほどお伝えしたみたいに「美しさ」を叶えるためだけに存在してきたので、例えば私たちが伝えるオーガニック・エシカルな化粧品たちは、効果が穏やかであったり健康美や社会美を支える製品なので、医薬部外品や一般化粧品たちに比べると即効性のあるものではありません。

実は、私自身この業界の閉鎖的な考え自体が、あまり好きでは無かったんです。

そもそもがマイノリティなのに、そこで閉鎖的になったらもっとお客さんには魅力が伝わらなくなってしまいますよね。

だからこそ、私たちは自分たちの化粧品工場を作りました。

その製造過程を全て開示し、興味があれば誰でも学ぶことができるようにしました。

このように閉ざされた世界を開示すること、つまり製造と発信と教育の考え方を変えるだけでこの業界は変わっていくと思っていて、オーガニック化粧品の製造の世界でいえば原料の背景にある農家の想いやその加工過程、製造過程を丁寧に開示をしてあげて、お客さんを巻き込んでものを作る、皆でシェアすることで興味のある人はいつでも招き入れることができると考えています。

「興味さえあれば、誰でも学ぶことができる」

私はそんな社会で生きてみたいと、ずっと20歳の時から思っていたんです。

萱島: 製造と発信と教育を、まさに今すすめていらっしゃいますものね。これまでも複数の事業を形にしてこられましたが、いま坂田さんがいずれやってみたいことってありますか?

 

坂田: 私はもともとオーガニック・エシカル化粧品の製造の世界に入りたいと思っていて、今年やっとその一歩を踏み出しました。

その背景には様々な大人の事情や誹謗中傷なんかも合ったわけですが、それも人生の魅力や豊かさに変えて、もっと新しいことに挑戦してみたいと思えるきっかけになっているんです。

そして私は今まで「発信という仕事」を自分一人でやって来たんですが、お客さんが増えて会社が大きくなって支店が増えていくと、どうしても発信する時間がなくなってきてブログの更新が毎日から3日おきになったりします。そうすると、応援してくれているこれまでのお客さんから「ブログが更新されなくて寂しい」なんていう声が出てきてしまうんですね。

私の存在価値は、お客さんが決めてくれていいんです。何かに固執したりしません。

必要であれば社長もやるし、現場にも立つし、執筆もするし、大勢の前で話してもいいと思ってます。「私」という人間に居場所を与えてくれてありがとう、ってずっと初心から抱いてる感謝の気持ちを忘れたくないからです。

だからこそ「ブログ」は私の原点です。継続できなければ事業をする意味がないと思っているくらいですからね。

この先は個々の力が強くなったらそれを「チーム」にする必要があります。

女性の新しい働き方として1つの会社を皆で作るのではなく、「皆で会社を作っていく」という考え方を進めています。

例えばうちの社員は副業はNGですが起業はOKにしています。今、二人の社員が自身の化粧品会社を作ろうと頑張っていますよ。うちの会社の足りないところを社員が上手く仕組みを作って整えてくれるなら、そこにきちんと対価を支払っていくべきですよね。一個の会社では支給できる給与に限界があっても、「自由」や「選択肢」を与えてあげることで新しい利益を得る入口を本人たちが増やすこともできるわけです。

エステの世界って完全歩合の世界なので、本数が上がらないと給料が上がらないんですよ。でも起業すれば彼女たちは収入が上がります。私は負担が少なくなって、次のチャレンジに向かえます。こういう新しい女性の働き方、いわば「ソーシャルカンパニー」をたくさん作るのが夢ですね。

あと、個人的には本を書きたいです。

小説家になりたいとずっと言っていました。物語づくりをしたいですね。

目先の夢はオーガニック・エシカル化粧品の開発者ですが、それもきっと私がこれから描く物語の一部に過ぎないんだと思っています。

Photo=Yuji Nomura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

私によくて、世界にイイ。

 

萱島: これからも坂田さんの世界はまだまだ広がっていきそうですね。

では最後に「ethica」のコンセプトは「私によくて、世界にイイ。」ということなのですが、坂田さんにとっての「私によくて、世界にイイ。」というのはどういうことでしょうか?

 

坂田: 私は長い間、働き方にずっと迷ってきました。

その中で原点として命を生むお母さんという存在自体が一番大事だと思っています。子どもにとってお母さんの存在はとても大きいことはいうまでもありませんが、それ以外の人にはお母さんという存在はほとんど評価されていません。

職業として考えると、お母さんという職業は一番改善が必要ではないかと思っています。何しろ24時間放っておいたら死んでしまう命を預かっているわけじゃないですか。一番過酷で難しい仕事をしているのがお母さんで、精神的な負担はものすごく大きいのに、同じ家庭にいる旦那さんですらその苦労を分かっていなかったりするんです。そんな女性たちが世の中には沢山いて、決して他人事ではないと思いました。

私は若くして子供を生んで苦労もしましたが、反対に「あの日あの時お母さんになってよかった」と思えるようになったきっかけに、それらを武器にした働き方で社会進出できたこと、そこで社会的に貢献できたことが大きかったと思っています。

その意味で、「私によくて、世界にイイ。」というのは、お母さんの新しい働き方改革なんじゃないかなと思いますね。

 

萱島: 今日は長時間ありがとうございました。

 

坂田: こちらこそありがとうございました。いろいろとお話ができて嬉しかったです。

連載企画「植物調合士・オーガニックビューティセラピスト 坂田まことさん」全6回にわたってお届け致しました。

【連載】を読む>>>

坂田まこと
植物調合士 / オーガニックビューティセラピスト

1990年名古屋市生まれ。19歳で母親になり2015年に自宅の一室にオーガニックエステサロン「ORGANIC MOTHER LIFE®︎」を設立。5年間でフランチャイズ含めオーガニックエステサロン×コスメショップを全国6店舗、コットンハウス®︎エステスクールは全国20校に展開。2021年5月には宮崎県国富町に自社OEMを設立し地方創生に繋がる有機農産物残渣等を活用した「ORGANIC MOTHER HOUSE®︎ – 植物調合美容研究所 -」を開所し取り組み始める。主にオーガニックサロンやスクールの運営、化粧品の開発やコンサルをはじめ、書籍の執筆、美容セミナーやショップディレクションを務める。著書『私、ファンデーションを卒業する。』『料理をするように美しい素肌は作れるということ』(キラジェンヌ出版)がある。

ethica副編集長 萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

提供:サラヤ株式会社
https://www.yashinomi.jp

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

萱島礼香

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
女優ののんさんがSDGsを広めるためのキャラクターを発表!
INFORMATION 【 2020/11/9 】 Art & Culture
朝日新聞社は10月11日(日)~15日(木)に、民主主義や気候変動、SDGsなどコロナ禍で浮上した問題や世界の変化について話し合う「朝日地球会議2020」をオンラインで開催しました。「SDGsしないのん?」と題したセッションには、人気女優ののんさんや国連広報センター所長の根本かおるさん、ニュースサイト「withnews...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
【ethica-Tips】私によくて、世界にイイ。サステナブルなチョコレート3選
独自記事 【 2020/10/26 】 Food
チョコが恋しくなる季節。温かな飲み物と一緒に口に含むと、とろ〜り美味しさが溶け出します。常温で置いておいても溶けにくい秋冬は、まさにチョコの旬。 というわけで今回は、サステナブルなチョコレートのお話。買うことで生産者の暮らしとつながるフェアトレードなアイテムや森林保護の視点から生まれたエシカルなチョコなど3種類をご紹介...
ワールド主催「246st.MARKET」イベントレポート 4人の環境アクティビストをethicaが独占インタビュー
独自記事 【 2020/10/26 】 Home
ワールド北青山ビル1階で10/14〜10/18に行われたポップアップイベント『246st.MARKET』(ニイヨンロクストリートマーケット)。“GOOD FOR FUTURE”をコンセプトに、クリエーターたちとともに未来を創造するプロジェクトです。3回目を迎えた今回は「サーキュレーション・ライフスタイル」をテーマに、サ...
【ethica編集長対談】「ECOALF」創業者 ハビエル・ゴジェネーチェ氏
独自記事 【 2019/12/23 】 Fashion
スペインのファッションブランド「ECOALF」の日本第1号店が2020年3月、東京・神宮前にオープンすることになり、先日、都内でその発表会が行われました。 「ECOALF」は世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、環境を守りながらペットボトルや漁業用の網などといった海洋プラスチックごみを再生して作った機能的な衣類や靴、...
ファッションデザイナー石川俊介さん『背景が見えにくいファッション産業への疑問』
独自記事 【 2019/12/16 】 Fashion
エシカルなコーヒーの調達率 99 % を達成したことにちなみ、9月9日に全国のスターバックス店舗で2015年から行われている「99 キャンペーン」。特に、同キャンペーンが初めて実施された、中目黒の「スターバックス リザーブ®️ロースタリー 東京」では、バリスタによるコーヒーの生産過程についてのマイクパフォーマンスが行わ...
SDGsは「自分の暮らしの中」で向き合う。
sponsored 【 2019/11/25 】 Home
気候変動やグローバル化で深刻化する問題に対応するため、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)。貧困や格差の解消、地球環境の保全などをめざし、全ての国連加盟国が2030年までに取り組む行動計画だ。企業は単なる社会貢献ではなく、本業を通じた活動が求められている。ボルネオ島の生物多様性保全やアフリカ・...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
「エシカルファッションってなに?」 ピープルツリーの場合
独自記事 【 2019/9/20 】 Fashion
日本とイギリスで展開するフェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」。人にも地球にも良いライフスタイルを提唱するエシカルファッションのパイオニアともいえるその活動は、ethica編集部でも創刊以来、大先輩としてその歩みに倣って参りました。 エシカルな気づきをテーマに情報発信を続けてきた私たちethicaは今年6周年を迎...
美しき理系アーティスト、スプツニ子!さんに伺いました!(前編)「質の高い教育をみんなに」
独自記事 【 2019/9/28 】 Art & Culture
9月22日(日)〜29日(日)のSDGs週間(*)にフェイスブック ジャパンが開催している「Facebook Fundraisers for SDGs」で、「質の高い教育をみんなに(SDGsの目標4)」を達成するため、アメリカのNPO団体「Girls Who Code」への募金キャンペーンを立ち上げたスプツニ子!さんに...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
The Breakthrough Company GO クリエイティブディレクター 砥川直大さん(前編)
独自記事 【 2020/4/20 】 Fashion
世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、ペットボトルや魚網などの海洋プラスチックごみを再生して作った衣類や靴、かばんなどを次々に発表。現在ヨーロッパを中心に大きな注目を集めているスペイン生まれのファッションブランドが「ECOALF」です。この3月、日本第1号店が東京・渋谷にオープンしましたが、開店にあたり「地球の資源を...
蜷川実花×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/7/13 】 Art & Culture
渋谷パルコのPARCO MUSEUM TOKYOで新作個展「東京 TOKYO/MIKA NINAGAWA」を開催した写真家で映画監督の蜷川実花さん。蜷川さんの新作写真集「東京 TOKYO」の刊行を記念して行われたもので、会場には「東京に生まれ育ち、この街しか住んだことがない」という蜷川さんが「大事なものすぎてなんだか手...

次の記事

(第23話)さつまいも掘りと、娘の「ありがとう」【連載】かぞくの栞(しおり)
好奇心の火を決して消さない。相川七瀬さんの「今と未来」 デビュー25周年記念 独占インタビュー企画 Presented by SARAYA

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます