(第2話)持続可能な社会の実現に結びつく世代別のビジュアル 【寄稿連載】ビジュアルコミュニケーションから学ぶ ゲッティイメージズジャパン 遠藤由理
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
(第2話)持続可能な社会の実現に結びつく世代別のビジュアル

visualspace, 1322511749

前回の記事では、自然環境の維持や社会に配慮したビジュアルに関してお話をしました。今回は、持続可能な社会の実現に結びつく世代別のビジュアルに関して考えていきたいと思います。

世代間の価値観の違い

少し前では考えられなかった規模の猛暑、水害、火事などの気候変動の影響を、身をもって感じる今、世代間にはある意味対立する感情が生まれてきているように感じられます。例えば、若者世代は、「シニア世代の失敗のツケを払わされている」、反対にシニア世代は、若者に対して「デモなんかしていないで学校に行きなさい」というように。未来の世界を守るために私たち一人ひとりの迅速な行動が必要とされている中、環境対策は日本では難しい、というような考えはもうすでに遅く、各世代の価値観を反映する対策が必要と言えます。

Getty Imagesでコロナ後に行った調査によると、日本の消費者の大多数が、自分の行動が環境に悪影響を及ぼさないことが重要である。そして、製品やサービスが環境に直接関係していない場合でも、企業はすべての広告やコミュニケーションにおいて環境に配慮すべきだと回答しています。しかしながら、持続可能なライフスタイルは、誰にとっても同じように見えるとは限りません。人々はさまざまな要因に基づく選択を日々の生活に取り入れており、今回の調査では、世代間の価値観の違いもビジュアルを通して浮き彫りになりました。

例えば、今や環境活動のアイコン的存在である、グレタ・トゥーンベリさんのような若い世代が熱心に活動していると思われがちですが、今回の調査によると、サステナビリティは世代を超えて重要視されており、意外にもシニア世代は若者世代よりも持続可能なライフスタイルへの転換に熱心である事が判明しました。この結果を受けて、世代別に響くビジュアル、また世代共通に響くビジュアルを、下記のようなグローバルな視点での世代に分けてご紹介したいと思います。

・ベビーブーム世代(1945~64年生まれを含む)
・X世代 (1965~80年生まれを含む)
・ミレニアル世代(1980~95年生まれを含む)
・Z世代(1995年生まれを含む)

Maki Nakamura,1219526504

ベビーブーム世代は環境への影響や個人の行動を示すビジュアルに反応

ベビーブーム世代は環境問題が人間や動物、自然に与える直接的な影響を表すビジュアルを好む傾向にあり、さらに地域やコミュニティでのリサイクル活動や、使い捨て製品を使わないなどの、個人の行動に信頼を寄せる傾向にあります。リサイクルマークは特にこの世代に受け入れられた反面、若い世代には響かないこともわかりました。そのため、この世代に最も響きやすいのは、リサイクルやボランティア活動、再利用可能な製品の使用など、持続可能性に向けて行動するシニア世代の一人一人の努力を示すビジュアルであると言えます。

Mattes, 1309043401

X世代は未来の為に今を生きる、持続可能な投資を示すビジュアルに反応

X世代は、産業が環境に良い影響を与えることに最も懐疑的ですが、持続可能な投資に最も熱心な世代でもあります。この世代は現在、子育て中や、職場でリーダーシップを発揮するようなポジションのライフステージにいて、金銭的にもサステイナビリティの将来に影響を与える立場にあります。したがって、サステナブルビジネスに関わる人々が働く姿、新しい技術の活用、自宅のエコ化などを示す、ライフスタイルとビジネスの両方のビジュアルに反応すると言えます。

JGalione, 1327207863

ミレニアル世代は、生産から購買までの持続可能な消費を示すビジュアルに反応

この世代はシニア世代に比べて、持続可能な慣行を採用している企業や生産者から購入する可能性が高く、持続可能な消費の主な原動力となっています。リサイクルをするといった個人的な行動よりも、サステナブルなビジネスに共感し、自分と同世代の人が持続可能な地域密着系のビジネスを営む、またはその顧客であることを示すビジュアルが、彼らを惹きつけると言えます。

Marko Geber, 1272679660

Z世代は集団的責任を喚起するビジュアルに反応

この世代はソーシャルメディアを含めた様々なメディアを通して、自分の価値観などをシェアし、テクノロジーが持続可能な活動を促進する可能性を重視します。他の世代ほどの消費力はないものの、一人ひとりが行動すれば変化をもたらすことができると考えており、環境問題に関連した人間のリアルな感情を捉えたビジュアルを好みます。このような成長層には、環境のためにみんなでできること、友達、家族、コミュニティと一緒に行動を起こすことで得られる精神的な満足感を示すビジュアルが効果的と言えます。

xavierarnau, 1333137251

全世代共通でソリューションが実生活に溶け込んでいるビジュアルに反応

再生可能エネルギー、森林再生、などの大規模な解決策が実生活に溶け込んでいる様子、環境に変化をもたらす方法やメリットが簡単に想像できるようなビジュアルに、全世代が大きく反応しました。特にソーラーパネルはすべての世代に受け入れられており、特に再生可能エネルギーなどを実際に使用しているビジュアルが世代を超えて響きやすいと言えます。

一人ひとりの行動が環境に与える影響を理解して、ライフスタイル全体の持続可能性について消費を見直そうという動きが出ている中、消費者は、生活の中で少しでも使い捨て製品を排除したり、植物ベースの食生活に切り替るなどといった努力をしています。ただし、パリ協定で定めた『世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える』という目標を達成するためには、ちょっとやそっとの個人の努力では足りず、企業も政府も、未来の生活を守るために対策を進める必要があります。

Getty Imagesでは、年代によって、持続可能な社会の実現に対する価値観が異なることを念頭に置きながら、消費者と企業が相互に働きかける好循環を形成するような、豊かな暮らしをビジュアルを通して伝えていきたいと考えます。

寄稿連載「ビジュアルコミュニケーションから学ぶ」全6回にわたってお届けしてまいります。

【連載】を読む>>>

遠藤由理

ゲッティイメージズジャパン株式会社 クリエイティブインサイト マネージャー

10代後半からアメリカ、スペイン、チェコ、韓国で過ごす。映画制作とデジタルメディアデザインに重点を置いたビジュアルメディアの学歴を持ち、国際映画や日本映画のプロモーション、セールス、買収、配給などの仕事に従事。 2016年からはゲッティイメージズ、ならびに、iStockのクリエイティブチームのメンバーとして、世界中のクリエイティブプロフェッショナルによる利用データ分析と外部データや事例を調査し、来るニーズの見識を基にCreative Insights(広告ビジュアルにおける動向調査レポート)を発信。意欲的な写真家、ビデオグラファー、イラストレーターをサポートし、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
幸せや喜びを感じながら生きること 国木田彩良
独自記事 【 2021/11/22 】 Fashion
ファッションの世界では「サステナブル」「エシカル」が重要なキーワードとして語られるようになった。とはいえ、その前提として、身にまとうものは優しい着心地にこだわりたい。ヨーロッパと日本にルーツを持ち、モデルとして活躍する国木田彩良さんに「やさしい世界を、身に着ける。」をテーマにお話を聞いた。
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
女優ののんさんがSDGsを広めるためのキャラクターを発表!
INFORMATION 【 2020/11/9 】 Art & Culture
朝日新聞社は10月11日(日)~15日(木)に、民主主義や気候変動、SDGsなどコロナ禍で浮上した問題や世界の変化について話し合う「朝日地球会議2020」をオンラインで開催しました。「SDGsしないのん?」と題したセッションには、人気女優ののんさんや国連広報センター所長の根本かおるさん、ニュースサイト「withnews...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
【ethica-Tips】私によくて、世界にイイ。サステナブルなチョコレート3選
独自記事 【 2020/10/26 】 Food
チョコが恋しくなる季節。温かな飲み物と一緒に口に含むと、とろ〜り美味しさが溶け出します。常温で置いておいても溶けにくい秋冬は、まさにチョコの旬。 というわけで今回は、サステナブルなチョコレートのお話。買うことで生産者の暮らしとつながるフェアトレードなアイテムや森林保護の視点から生まれたエシカルなチョコなど3種類をご紹介...
ワールド主催「246st.MARKET」イベントレポート 4人の環境アクティビストをethicaが独占インタビュー
独自記事 【 2020/10/26 】 Home
ワールド北青山ビル1階で10/14〜10/18に行われたポップアップイベント『246st.MARKET』(ニイヨンロクストリートマーケット)。“GOOD FOR FUTURE”をコンセプトに、クリエーターたちとともに未来を創造するプロジェクトです。3回目を迎えた今回は「サーキュレーション・ライフスタイル」をテーマに、サ...
【ethica編集長対談】「ECOALF」創業者 ハビエル・ゴジェネーチェ氏
独自記事 【 2019/12/23 】 Fashion
スペインのファッションブランド「ECOALF」の日本第1号店が2020年3月、東京・神宮前にオープンすることになり、先日、都内でその発表会が行われました。 「ECOALF」は世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、環境を守りながらペットボトルや漁業用の網などといった海洋プラスチックごみを再生して作った機能的な衣類や靴、...
ファッションデザイナー石川俊介さん『背景が見えにくいファッション産業への疑問』
独自記事 【 2019/12/16 】 Fashion
エシカルなコーヒーの調達率 99 % を達成したことにちなみ、9月9日に全国のスターバックス店舗で2015年から行われている「99 キャンペーン」。特に、同キャンペーンが初めて実施された、中目黒の「スターバックス リザーブ®️ロースタリー 東京」では、バリスタによるコーヒーの生産過程についてのマイクパフォーマンスが行わ...
SDGsは「自分の暮らしの中」で向き合う。
sponsored 【 2019/11/25 】 Home
気候変動やグローバル化で深刻化する問題に対応するため、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)。貧困や格差の解消、地球環境の保全などをめざし、全ての国連加盟国が2030年までに取り組む行動計画だ。企業は単なる社会貢献ではなく、本業を通じた活動が求められている。ボルネオ島の生物多様性保全やアフリカ・...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
「エシカルファッションってなに?」 ピープルツリーの場合
独自記事 【 2019/9/20 】 Fashion
日本とイギリスで展開するフェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」。人にも地球にも良いライフスタイルを提唱するエシカルファッションのパイオニアともいえるその活動は、ethica編集部でも創刊以来、大先輩としてその歩みに倣って参りました。 エシカルな気づきをテーマに情報発信を続けてきた私たちethicaは今年6周年を迎...
美しき理系アーティスト、スプツニ子!さんに伺いました!(前編)「質の高い教育をみんなに」
独自記事 【 2019/9/28 】 Art & Culture
9月22日(日)〜29日(日)のSDGs週間(*)にフェイスブック ジャパンが開催している「Facebook Fundraisers for SDGs」で、「質の高い教育をみんなに(SDGsの目標4)」を達成するため、アメリカのNPO団体「Girls Who Code」への募金キャンペーンを立ち上げたスプツニ子!さんに...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
The Breakthrough Company GO クリエイティブディレクター 砥川直大さん(前編)
独自記事 【 2020/4/20 】 Fashion
世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、ペットボトルや魚網などの海洋プラスチックごみを再生して作った衣類や靴、かばんなどを次々に発表。現在ヨーロッパを中心に大きな注目を集めているスペイン生まれのファッションブランドが「ECOALF」です。この3月、日本第1号店が東京・渋谷にオープンしましたが、開店にあたり「地球の資源を...
蜷川実花×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/7/13 】 Art & Culture
渋谷パルコのPARCO MUSEUM TOKYOで新作個展「東京 TOKYO/MIKA NINAGAWA」を開催した写真家で映画監督の蜷川実花さん。蜷川さんの新作写真集「東京 TOKYO」の刊行を記念して行われたもので、会場には「東京に生まれ育ち、この街しか住んだことがない」という蜷川さんが「大事なものすぎてなんだか手...

次の記事

(第24話)娘の「できない」に思うこと【連載】かぞくの栞(しおり)
大学受験、就職、そして起業ーー。ダメ元を吹き飛ばす「突破力」 株式会社ロスゼロ 代表取締役 文美月さん独占インタビュー企画(前編) Presented by SARAYA

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます