(第39話)ヨモギ摘みと野草茶【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第39話)ヨモギ摘みと野草茶【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

娘と祖母製ヨモギ茶のはなし

すっかり春めいてきたこのごろ。

娘を保育園まで送る道すがら、温かい日差しを浴びて道端に芽吹く草花の姿を見ると、なんだか気持ちが弾んでくるのを感じます。

 

「あ! あった!」。

つないでいた手をぱっとほどいて草むらに駆け寄り、戻ってきた娘が嬉しそうに差し出したのは、白い産毛がいっぱいついたヨモギの新芽。

 

「これでおちゃつくるねん。ちぃばーば、うれしいってゆうかなぁ」。

”ちぃばーば”というのは祖母のこと。昨年の春、二人で実家のお庭に生えているヨモギを摘み、乾燥させてお茶をつくったことがとっても楽しかったらしく、以来娘はヨモギを見かけるたびにせっせと新芽を集めていました。

 

娘の摘むヨモギは、芽の一番先の、まだ生まれたばかりのような柔らかい部分だけ。

乾燥させるとほんのちょっぴりにしかなりません。

 

でもそのおかげか、ティーポットに入れて数分蒸らして飲むとびっくり。苦味やえぐみはほとんど無く、まろやかな口当たりにヨモギの香りがふんわり鼻を通り抜けていくようで、とっても美味しいのです。

ヨモギといえば、子どものころからヨモギ団子を作ったり、転んでヒザを擦りむいたときに葉をもんで傷につけるといいと教えられたりと、草のなかでも身近に感じるもののひとつでした。

 

道端などに自生し、踏まれても枯れることのない生命力の強いヨモギ。

あらためて調べてみると、数ある野草の中でも特に栄養素が豊富で多くの効能を持つことから「ハーブの女王」と呼ばれ、古くから薬草として世界中で利用されてきたそうです。

 

ヨモギの主な効果は浄血作用、代謝アップ、冷え性や貧血、肌荒れの改善など。

ヨモギに多く含まれているクロロフィル(葉緑素)には血の巡りを良くする効果があり、女性特有の悩みに嬉しい効能が詰まってます。

 

冷えを感じやすい私にとっては、願ってもない効果がたくさん。

これまでカモミールなどのメジャーなハーブティは好んで飲むことはあったものの、野草のお茶を飲む機会はほとんどありませんでした。

ですが、娘が祖母と作ったヨモギ茶をきっかけに身近な野草の効能と美味しさを知り、そこからすっかり野草の魅力に引き込まれています。

娘と祖母製ヨモギ茶はあっという間になくなり、その後リピートして飲んでいるのは「べにばな野草園」というところで作られた野草茶。

野山に自生する野草や無農薬で栽培された野草たちを天日干しにし、数種類ブレンドされたもので、飲みやすく野草のエネルギーがじんわり体に染み込むような美味しさです。

 

毎朝1Lのやかんにたっぷりのお湯を沸かして、合わせてひとつかみくらいの三年番茶と野草茶を一緒に5分ほど煮出し、マグカップと水筒に入れて夫と私の仕事のお供に。

 

昨年、秋に入って肌寒くなったころから半年近く飲み続けていますが、この冬一度も体調を崩さず乗り切れたのは、もしかして野草茶のおかげかも……? なんて密かに思っています。

 

東洋医学の世界では、冬の間に溜まった毒素を排出するデトックスの時期とも言われる春。

身近な自然のチカラを借りて、体の内側からケアしてみるのはいかがでしょうか。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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