2015年から大手アパレルメーカーのゴールドウインと事業提携し、世界でも先駆けて新素材、人工構造タンパク質「ブリュード・プロテイン」の開発に成功したスパイバー。
ブリュード・プロテイン™素材は、ファッションデザイナーの中里唯馬さんの2019-20秋冬コレクションで採用され世界から注目を集めています。
今回は、これまでのスパイバーの研究開発から販売における変遷、更には先月開催されたゴールドウインの記者発表会についてご紹介していきます。
(記者:エシカちゃん)
「YUIMA NAKAZATO」の2019秋冬コレクション 作品の大部分に人工構造タンパク質ブリュード・プロテイン™素材を使用
2015年から大手アパレルメーカーのゴールドウインと事業提携し、世界でも先駆けて新素材、人工構造タンパク質「ブリュード・プロテイン」の開発に成功したスパイバー。
ブリュード・プロテイン™素材は、ファッションデザイナーの中里唯馬さんの2019-20秋冬コレクションで採用され世界から注目を集めています。
今回は、これまでのスパイバーの研究開発から販売における変遷、更には先月開催されたゴールドウインの記者発表会についてご紹介していきます。
(記者:エシカちゃん)
2007年に山形県鶴岡市で誕生したスパイバーは、天然の蜘蛛の糸やシルクやカシミヤ、また自然界に存在するタンパク質素材を参考に、分子レベルからタンパク質素材を独自に設計するタンパク質素材「ブリュード・プロテイン™」を開発するバイオベンチャーです。ブリュード・プロテイン™素材は植物由来の糖類が主原料のため、化学繊維のように洗濯排水から海洋へ排出されるマイクロプラスチックが数十年から数百年環境中に漂うこともないため、海洋汚染の懸念もありません。また、温室効果ガスの排出量が大きいカシミヤ素材と比べると、将来的にはそのおよそ1/6程度で同様の素材を提供する見立ても立っているとのこと。こうして、化学繊維や動物由来素材に代わる次世代の持続可能な産業資源となると言われています。2015年より、大手スポーツアパレルメーカーのゴールドウインと事業提携し、2019年にはブリュード・プロテイン™素材を使用した商品を販売しています。
ザ・ノース・フェイス 2019年に販売された「MOON PARKA」 ブリュード・プロテイン™素材を使用
「MOON PARKA」の由来は1969年に人類が初めて月面に降り立ったアポロ11号計画より着想 ブリュード・プロテイン™素材を使用
人工構造タンパク質「ブリュード・プロテイン™」は、微生物を活用し、主に植物由来の糖類(グルコースやスクロース)を原料として、発酵生産によりつくられる新素材。石油由来の原料を使用しないため、アパレル分野における脱プラスチック、脱アニマルや、輸送分野における軽量化、人工毛髪や医療分野など、あらゆる分野に対して大きな役割を果たせる可能性があり、持続可能な社会の発展に貢献する次世代の基幹素材として期待されています。
ブリュード・プロテイン™素材
「YUIMA NAKAZATO」の2020春夏コレクション ブリュード・プロテイン™素材を使用
「YUIMA NAKAZATO」の2021春夏コレクション 着用しているのは義足モデルのLauren Wasserさん ブリュード・プロテイン™素材を使用
「YUIMA NAKAZATO」の2021秋冬コレクション ブリュード・プロテイン™素材を使用
記者発表では、人工構造タンパク質「ブリュード・プロテイン™」を素材としたもので、ゴールドウインから発売する製品としては、「MOON PARKA」からカウントして第4弾となる商品を発表しました。
ゴールドウインは、今後2030年までに、新規開発商品のうち10%を「ブリュード・プロテイン™」使用製品にシフトしながら製造ラインも増やしていき、市場の拡大を目指していくとのこと。
ゴールドウイン代表取締役社長の渡辺貴生さんと新作の人工構造タンパク質「ブリュード・プロテイン™」使用製品(中央の2つのマネキン着用の製品が「ブリュード・プロテイン™」使用)
こうしたサステナブルな素材の洋服がユーザーの日常生活に当たり前に浸透していくことが理想ですね。
スパイバーが、sacai(サカイ)とコラボした2020春夏メンズコレクション アートディレクターはファビアン・バロン(Fabien Baron)氏 人工構造タンパク質「ブリュード・プロテイン™」を使用 画像提供: sacai
今回ゴールドウインはサステナブル活動の一環として、イグニション・ポイントベンチャーズと共同で新たな投資ファンド「GOLDWIN PLAY EARTH FUND」の設立を発表しました。ファンドステートメントは、「あそびをデザインする」とのことで、社会課題を解決し人々が健やかで豊かな暮らしを実現するためには、心に余裕を持つことが重要であるという考えのもと、あらゆる暮らしの中に「あそび」をデザインし組み込んでいきたいと言います。テクノロジーによる、地球的視点で社会課題解決へ挑戦するスタートアップや起業家の支援を行っていくとのことです。
投資先としての選定基準は未来を担う子どもたちや地域社会・コミュニティ形成に課題解決を見出すテクノロジーサービスや、地球環境や自然を守るテクノロジー先であることも明らかにしています。
ゴールドウイン代表取締役社長の渡辺貴生さんは、ゴールドウインという会社の企業特性を、ただ自分たちだけで広げてきたのではなく、ザ・ノース・フェイスやヘリーハンセン、エレッセといった一流ブランドと協業してきた点にあると語り、そうした自分たちの特性を活かして将来有望なベンチャーと手を組み市場を動かしていくことで、子どもたちの未来を創造し、新しい未来をデザインしていきたいとの理想を語ります。
ゴールドウイン代表取締役社長 渡辺貴生さん
具体的な投資先はHP上で都度発表していくとのことで、今後ゴールドウインがどのようなサステナブルアクションを進めていくのか、エシカでも引き続き注目していきたいと思います!
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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