青木: 私も拝見して、マーケティングはコンテクスト、分脈づくりですよね。ハンディキャップを持たれた皆さんを雇用される時に、まさに社会的にポジティブな意味で分脈づくりをされてスターバックスブランドが上がっていくということなんですよ。それはすごくパーパス的だし、戦略的にもうまいと思うんですよね。イノベーションを生み出していく力っていうのがこうした企業にはあるんだろうと思います。
私から逆の事例もちょっとお示ししたいんですね。もちろん、いい話で共感を生むということもありますけど、ネガティブな共感というのもあるわけですよ。
これは何かといいますと、ツィッターから取ってきたんですけど、私たちの勉強会にH&Mさんに来ていただきました。H&Mが30年かけてサステナビリティの取り組みをどれだけ実直にやってきたかというお話をお聞きしました。
しかしですね、その2日ぐらい前にH&Mが世界中で回収した服を燃やしているということがニュースになって写真に撮られて世界中を駆けめぐったんです。そのプレゼンテーションを聞いた後、担当者の女性にこんなニュースが流れているんだけど、どう思うかという質問をしました。そうしたらこういうことをおっしゃっていました。
ウェブサイトに自分たちももう上げているんだが、H&Mは使える服を燃やしているわけではない。カビてしまった服、どうしても再生できない服、鉛とかの有害物質が入っている服、こういったものは燃やさざるを得ないだろう。グローバルカンパニーになると、つねにNGOからそうやって糾弾されることが一杯ある。
でも、自分たちはそういう時は必ず自分たちの正当性をリリースするし、また、データを見てもらえば自分たちの取り組みがまさに企業評価される、そうした蓄積のデータが一杯あるというお話をされていました。
彼女がさらに付け加えたのは、その後、皆さんがちょうどシェアできるようになっているんですけど、ツィッターでシェアしてくれて、H&Mは頑張っているぞという、その1つの流れができたそうなんです。コミュニケーションというのは、何かあると躊躇していわないじゃなくて、グローバルの中でそういったことを主張していく。今日の最初のセッションでWORLD ROADの平原依文さんの中国との出会いの話がありましたけど、やっぱりこういうのが1つのスタンダードになってくるのかなという気がしています。
ですから、ネガティブだったことをむしろ押し返してプラスのフォロワーを作ってきたという事例になります。
さて、次は業種別に見ていきます。業種別で昨年よりランキングが上がったり下がったり、また、昨年より2つぐらい新しい業種が出ています。この中でちょっと注目なのは私はもともと専門が流通なので、流通・小売りですね。今年はかなり生活に密着した企業さん、トイレタリーとか1番の薬品とか、ウィズコロナの中での消費活動がだんだん復活しているのかなと思います。
去年は機械とかAVとか、どちらかというと電子機器メーカーのランキングが高かったんですが、今回はちょっと下がっちゃっているんですよね。むしろ身近なところでのサステナビリティがあるのかなと感じましたけど、高島さん、どんな感じのイメージを持ちますか?