「ゼロカーボンシティ宣言」を行った奄美大島 瀬戸内町の取り組み
INFORMATION
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
「ゼロカーボンシティ宣言」を行った奄美大島 瀬戸内町の取り組み

写真提供:瀬戸内町役場

世界中で叫ばれるCO2削減への取り組み。昨年イギリスで行われたCOP26では、2030年に向けた野心的な気候変動対策を行うことで一致しました。一方で国家レベルでの気候変動対応と共に重要なのが、地方自治体での取り組み。そこで今回は、「ゼロカーボンシティ宣言」を行った奄美大島の瀬戸内町のエコロジカルな事業をご紹介します。これからますます注目されていくであろう「ゼロカーボンシティ」の先進的な取り組みとして目が離せません!(記者:エシカちゃん)

ゼロカーボンシティとは?

ゼロカーボンシティ宣言を行った瀬戸内町。でも、そもそも「ゼロカーボンシティ」とは何でしょうか?

ゼロカーボンシティとは、「2050年にCO2(二酸化炭素)を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが又は地方自治体として公表された地方自治体」のことです(環境省参照)。政府が1998年に施行した「地球温暖化対策の推進に関する法律」には、その第1章において地方公共団体の責務が明記されていますが、ゼロカーボンシティはその責務を果たすために、具体的な取り組みを行うと表明した地方公共団体のことなのです。

2022年7月29日現在、ゼロカーボンシティの数は全国で758自治体。表明自治体の総人口はなんと約1億1,852万人にものぼります。その伸び率はすさまじく、4年前には4自治体だったのにも関わらず、2年後には166自治体まで増加、そして現在その約4.5倍の758自治体まで増加しました。

例えば京都府京都市は2004年に日本で初めて地球温暖化対策に特化した条例を制定。2020年に改正された際には、CO2の削減を2013年度比で40%以上にすることや、建築物への再エネ導入義務の強化などが盛り込まれました。

また、神奈川県横浜市は、東北の市町村を中心に、他の地方公共団体との連携を実施。再生可能エネルギーをはじめとした地域循環型の経済圏の形成を目指して取り組みを行っています。

もちろん、東京都も例外ではありません。特に自動車によるCO2排出が多い東京都は、ゼロエミッションビークル(電気自動車や燃料電池自動車など)を積極的に導入する取り組みを行っています。

そんなゼロカーボンシティの仲間に今回加わった、奄美大島の瀬戸内町。その取り組みがすごいんです。

奄美大島 瀬戸内町の取り組み

CO2実質排出ゼロを実現するために、瀬戸内町が目をつけたのが「植林」です。しかも、ただの植林ではありません。マングローブの植林です。

写真提供:瀬戸内町役場

写真提供:瀬戸内町役場

写真提供:瀬戸内町役場

そもそも奄美大島が位置するのは亜熱帯地域。一年を通して温暖な気候であり、島の大部分には亜熱帯地域特有の植物が生い茂っています。中でも特徴的なのが、マングローブの原生林。カヌー体験もできるとあって観光客にも人気です。

そんな地の利を活かして瀬戸内町はマングローブの植林を始めました。しかし理由はそれだけではありません。マングローブは、ブルーカーボン(※注)生態系とも呼ばれていて、大気中からより多くのCO2を取り込むことができるのです。

たくさんのCO2を効率よく、なおかつ観光資源としても使えるのが、マングローブの最大の強みと言えます。

町では現在300本ほどのマングローブの苗が栽培されていて、今年の11月に植林予定だそう。マングローブの原生林が広がれば、海の生態系も豊かになります。瀬戸内町の取り組みは、ゼロカーボンシティのなかでも、特に革新的な事業と言えるでしょう。

(※注)ブルーカーボンとは、海藻や海洋植物などの海洋生態系に貯蔵されるCO2のこと。

地元密着型コワーキングスペース「すこやか福祉センター“HUB”」

そんな植林活動にとって重要な拠点となっているのが、地元密着型のコワーキングスペース「すこやか福祉センター“HUB”」です。町役場に隣接したこの施設は、もともと地域の福祉センターでしたが、今年2月にその2階部分を大幅リニューアルし、町外からの施設利用者が、地域の事業や住民と交流できる場所となりました。

そんな施設の理念の一つが「ワークフルネス」です。これは、仕事をしながら同時に「マインドフルネス(今いる現在に身を置き、将来の不安や評価に囚われないこと)」を実現することを言います。瀬戸内町は、「すこやか福祉センター“HUB”」での、自然を感じられるアクティビティなどを通して、このワークフルネスを叶えようとしています。

とりわけ、瀬戸内町が強調するのが、島外・町外のビジネスパーソンと、島内のビジネスパーソンをつなぐ機能です。主に、瀬戸内町をより知るためのプログラムの実施や、地域ならではの問題に特化した事業を提案していくことで、町の関係人口を増やし、ひいては日本全体の活性化につなげることが目標です。

施設内には、開放的な会議スペースのほか、プライベートブースも設置。カフェスペースやテラス席なども完備されていて、働きながら余暇を楽しむ「ワーケーション」として利用可能です。

後日公開!マングローブ種植え体験をリポート

そんな「すこやか福祉センター“HUB”」で、今年6月、マングローブの種植え作業が行われました。マングローブの代表種である「メヒルギ」の種約30本を鉢に植え付け、参加者はゼロカーボンシティへの取り組みを肌で体験。11月の植林に向けて、着々と準備が進んでいます。

写真提供:瀬戸内町役場

種植え体験イベントには、ethica編集部も参加。その様子は後日レポートします!お楽しみに。

「すこやか福祉センター“HUB”」概要

施設名:すこやか福祉センター”HUB”

住所:〒894-1506 鹿児島県大島郡瀬戸内町大字古仁屋字船津23

プラン:企業レギュラー会員 72,000円/年(税込)

個人レギュラー会員 12,000円/月(税込)

1DAY会員       1,200円/日(税込)※有人受付時間帯のみ

スペース貸切プラン  11,000円/日(税込) ※17時以降のみ

施設利用可能時間:24時間年中無休(有人受付:9時〜17時)

施設内設備:高速インターネット、スマートロック、大型モニター、ウェブカメラ、卓上スピーカーフォン、ロッカー(大型・小型)、モバイルWi-Fi、モバイルバッテリー、FREEコーヒー、インクジェットプリンター

公式ウェブサイトURL:https://www.sukoyaka-welfare-hub.com/

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

LINE公式アカウント
https://lin.ee/aXB3GQG

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

エシカちゃん

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【ethica Traveler】 連載企画Vol.7 宇賀なつみ (終章)『Returning to TOKYO~サステナブルなフライト〜』
独自記事 【 2024/4/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
[エシカ編集部 体験企画]環境や人権に配慮したエシカル素材で心地の良いナチュラルな香りと時間を実感「Care me(ケアミー)」のインバスグッズ
sponsored 【 2024/3/29 】 Health & Beauty
一日の終わりのバスタイムは、その日の自分をとびきり労って心とからだを回復させてあげたい愛おしい時間。そんなセルフケアの習慣にほんの少し、地球環境や自分以外の人にもちょっと良いアクションが取れたら、自分のことがもっと好きになれる気がしませんか? 今回ご紹介するのはエシカ編集部が前々から注目していた、エシカルな素材を使って...
【ethica Traveler】 連載企画Vol.6 宇賀なつみ (第5章)ゴールデン・ゲート・ブリッジ
独自記事 【 2024/3/27 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
そろそろ知っておかなくちゃ! 水素のこと。森中絵美(川崎重工)×中村知弘(UCC)
sponsored 【 2024/3/26 】 Work & Study
2023年の記録的な猛暑に、地球温暖化を肌で感じた人も多いだろう。こうした気候変動を食い止めるために、今、社会は脱炭素への取り組みを強化している。その中で次世代エネルギーとして世界から注目を集めているのが「水素」だ。とはいえまだ「水素ってどんなもの?」という問いを持っている人も多い。2024年2月に開催された「サステナ...
【ethica Traveler】 連載企画Vol.5 宇賀なつみ (第4章)サンフランシスコ近代美術館
独自記事 【 2024/3/20 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 本特集では、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブ...
【ethica Traveler】連載企画Vol.4 宇賀なつみ (第3章)アリス・ウォータースの哲学
独自記事 【 2024/2/28 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【ethica Traveler】連載企画Vol.3 宇賀なつみ (第2章)W サンフランシスコ ホテル
独自記事 【 2024/2/14 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.2 宇賀なつみ (第1章)サンフランシスコ国際空港
独自記事 【 2024/1/31 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【Earth Day】フランス商工会議所で開催するイベントにてethica編集部が基調講演
イベント 【 2023/4/3 】 Work & Study
来たる4月22日は「アースデイ(地球の日)」地球環境を守る意思を込めた国際的な記念日です。1970年にアメリカで誕生したこの記念日は、当時アメリカ上院議員だったD・ネルソンの「環境の日が必要だ」という発言に呼応し、ひとりの学生が『地球の日』を作ろうと呼びかけたことがきっかけでした。代表や規則のないアースデイでは、国籍や...
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(序章)と(第1章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/17 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開しています。今回は、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える」の序章と第1章についてのあらすじと見どころをお届け!(記者:エシカちゃん)
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(第2章)と(第3章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/24 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開中。さまざまなメディアから少しずつ情報を得、それをパズルのように組み合わせてひとつのストーリーを見出す、新しいメディア体験です。 今回は、前回に引き続き、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビュ...
テーマは、ナチュラルモダン『自立した女性』に向けたインナーウェア デザイナー石山麻子さん
独自記事 【 2022/9/19 】 Fashion
株式会社ワコールが展開する、人にも自然にもやさしいを目指すインナーウェアライン「ナチュレクチュール」。オーガニックコットン100%のラインアップが注目を集め、肌あたりやシルエットの美しさが話題になっています。その期待に応える形で、今年9月に新作グループも加わりました。やさしさを突き詰めた製品は、どのような想いや経緯から...
幸せや喜びを感じながら生きること 国木田彩良
独自記事 【 2021/11/22 】 Fashion
ファッションの世界では「サステナブル」「エシカル」が重要なキーワードとして語られるようになった。とはいえ、その前提として、身にまとうものは優しい着心地にこだわりたい。ヨーロッパと日本にルーツを持ち、モデルとして活躍する国木田彩良さんに「やさしい世界を、身に着ける。」をテーマにお話を聞いた。
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
東京マラソンと東レがつくる、新しい未来
独自記事 【 2022/5/2 】 Fashion
2022年3月6日(日)に開催された東京マラソン2021では、サステナブルな取り組みが展開されました。なかでも注目を集めたのが、東レ株式会社(以下、東レ)によるアップサイクルのプロジェクトです。東レのブランド「&+®」の試みとして、大会で使用されたペットボトルを2年後のボランティアウェアにアップサイクルするとい...

次の記事

【ethica編集長対談】博報堂 永渕雄也さん 〜エシカル消費の未来〜
読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第11章:「自己」を捉える(第5節)

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます