ACEとともにインドの女の子を支援する興和 「エシカルファッションカレッジ」オーガニックコットンブース(後編)
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
ACEとともにインドの女の子を支援する興和

さまざまな形でレポートしてきた「エシカルファッションカレッジ」。実は開催日の5月10日という日付にも意味があります。それはずばり“コットンの日”。五(こ)ten(テン)で、「コットン」の語呂合せと、夏に向けて綿素材の商品が販売のピークを迎えることから、日本紡績協会が1995年に制定したものです。今回のイベントでもコットン、なかでも「オーガニックコットン」をテーマにしたブースがいくつ出店されていたので、ここでご紹介いたしましょう。

前編はこちらから、http://www.ethica.jp/8055/

インド・コットン生産地で活動するACE(エース)

エシカルファッションカレッジの主催団体のひとつであるNPO法人ACEも、世界を代表する綿花栽培産地であるインドで活動しています。「貧しい綿花栽培農家では人手の確保が難しく、大人より賃金が低くてすむ子どもたちに労働を強いてしまうという現状があります。そのために子どもたちは義務教育を受けられず成長。また過酷な環境のもとで働いた結果、体を壊すなどして長く働くことができなくなることも。やがて今度は自分たちが親になると、同じことを繰り返してしまう。教育の重要性について十分理解されていないことが負のスパイラルを招いているのです」と子ども支援事業担当の成田由香子さん。「ピース・インドプロジェクト」を起ち上げ、「子どもの教育の徹底」「女の子の自立支援」「おとなの仕事の機会と収入改善」を柱に、コミュニティ全体で、住民自身が子どもの教育を支えられる仕組みづくりを推進しています。

NPO法人 ACE 子ども支援事業担当 成田由香子さん

インド人女性の将来自立を支援

「とりわけ深刻なのは女の子なのです」。男の子は家を継ぐという役割があるので、まだ大事にされるケースが多いようですが、女の子はいずれ家を出て嫁いでいく存在。しかもその際に持参金を持たせるのがインドの風習なので、教育は後回し、婚前まで働かされて、家計に少しでも貢献することを求められてしまうそう。

そこでACEは「職業訓練センター」をつくり、女の子たちが基礎教育と縫製の技術訓練を受けられる場を提供。彼女たちが将来自立して生活できるようにサポートしているそうです。

職業訓練センターでミシンの練習をしているナルサンナさん

職業訓練センターへ通いはじめ、自分の名前も書けるようになったデヴァマさん

ACEとともにインドの女の子を支援する興和

このACEの取り組みに賛同して、アシストしているのが興和株式会社。「キャベジン」や「バンテリン」などの医薬品が有名で、KOWAのロゴで親しまれている会社ですが、120年前の創業時は綿布問屋。生活関連事業部では、オーガニックコットン製品のブランド「tenerita」などで、自然と共生共存を目的に心の豊かさを求める消費者に商品を届けています。

「綿花栽培農家の収入を向上させたいというACEさんと志は同じ。今回はわが社のオーガニックコットン製のバッグを提供させていただきました」と生活関連事業部の稲垣貢哉さん。そのバッグはインドで、基礎教育と刺繍や縫製の職業訓練を受けた女の子たちに届けられ、刺繍。とても喜んで丁寧な仕事を施した後には、正当な賃金が支払われることになっています。ブースでお披露目されたそのバッグに、購入者も手を加えることで、日本とインドの女性の合作によるオンリーワンのバッグが誕生。そう、この楽しい企画そのものが現地への支援なのです。

また、興和は今後、綿花の種子を購入して農家に配布する計画も。インドの生産地では、種販売会社が一代限りしか収穫できないように遺伝子操作した種子を農薬とセットで農家に販売することが当たり前。農薬の扱いを十分に知らないまま大量に使ってしまうことから、生死にかかわるほどの健康被害を農夫や子どもたちが受けることも珍しくないそうです。興和が渡した種子は、次世代用の種をつけられるもの。農薬とセットではないので、有機栽培にも取り組むことができます。「まだまだはじめの一歩ですが、こうした試みが現地の農家の意識と働く環境が改善されていくきっかけになればと考えています」。

取材協力:稲垣貢哉(いながきみつや)87年、興和(株)入社、現在、開発生産部品質管理課 課長、 Textile Exchange 理事。オーガニックコットン生活用品ブランド「tenerita」事業を開始。08年より国際認証機関オーガニック エクスチェンジの役員、日本国内でもオーガニックコットン表示ガイドラインの作成に携わるなどして、国内外でオーガニックコットンの普及に努めている。

記者:とがみ淳志(とがみあつし)64年大阪府吹田市生まれ。神戸大学経済学部(国際経済学科)を卒業後、88年株式会社リクルート入社。海外旅行情報誌「エイビーロード」の営業および制作、93年には結婚情報誌「ゼクシィ」の創刊を担当。「ゼクシィ」の多角的運営に携わった後、99年に退社後フリーに。編集、プランニング、ライティングを行う。現在は、食、旅、酒、温泉、別荘、住まいなどの分野が中心。2008年10月より「日本旅のペンクラブ」会員に。2011年11月より理事就任。情報誌や雑誌、機内誌およびホームページなど幅広い媒体を手がけている。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

とがみ 淳志

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
まずは自分の“半径5m”から愛を広げていく。 エシカルウェディング経験者・沼田暁さんが考える社会貢献のかたち (前編)
独自記事 【 2020/3/2 】 Fashion
エシカルや社会貢献活動に関心があり、何か自分にできることをしたい。でも、いざ何かしようとしても「自分が役に立てることなんてあるのだろうか」と躊躇ってしまう人が多いのかもしれません。筆者である私も、そんな悩みが尽きない一人です。 悩める筆者がある“ウェディングドレス”をきっかけに出会ったのが、今回の主人公・沼田 暁(ぬま...
トップブランドの古着を藍染で蘇らせる”サスティナブル・ブランド” Indigo Love Ecoプロジェクト「BOKUWAKUMA」
独自記事 【 2020/2/10 】 Fashion
鮮やかでありながら深みもあり、様々に表情を変える藍色。 実はこれらの衣服は、本当なら捨てられてしまうかもしれなかった古着です。 ご紹介するのはシャネルやギャルソンの古着を藍染でリメイクする沖縄拠点のブランド「BOKUWAKUMA」。藍で染めることによって新たな命が吹き込まれより愛されるアイテムに蘇らせることで、ファッシ...
人が楽しむことをしたいーー。クリエーティブを仕事にする喜び。/木下舞耶(前編)
独自記事 【 2020/1/20 】 Work & Study
2019年6月に行われた「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」のセミナーに、一人の日本人女性が登壇した。広告会社でパラリンピックのプロジェクトに携わる木下舞耶さん。パラリンピックという障害者のスポーツの祭典を通じ、人々の意識、社会をも変えるコミュニケーションを標榜する。前編では、木下さんが歩んで来...
広告の祭典「カンヌライオンズ」にて開催されたパラリンピックの対談レポート
独自記事 【 2020/1/20 】 Work & Study
世界的な広告(クリエイティブ)の祭典「カンヌライオンズ」にて行われた電通の木下舞耶さん、国際パラリンピック委員会(IPC)のチーフ・マーケティング・コミュニケーションズ・オフィサー、クレイグ・スペンスさん、そしてパラリンピック金メダリストのマールー・ファン・ラインさんの対談の様子をレポートします。(記者:エシカちゃん)...
パラリンピックに懸ける思い【前編】/ 車いすテニス・船水梓緒里さん
独自記事 【 2020/1/6 】 Health & Beauty
車いすテニスを始めてわずか2年で世界国別選手権のジュニアクラス日本代表に選出され、その後2018年8月にはジュニアの世界ランキング1位となった船水梓緒里さん(三菱商事所属)。中学1年生の時、事故で車いす生活を余儀なくされ、人生に絶望しかけていた船水さんを救ったのが車いすテニスでした。 今回は来年の東京パラリンピックでの...
【ethica編集長対談】「ECOALF」創業者 ハビエル・ゴジェネーチェ氏
独自記事 【 2019/12/23 】 Fashion
スペインのファッションブランド「ECOALF」の日本第1号店が2020年3月、東京・神宮前にオープンすることになり、先日、都内でその発表会が行われました。 「ECOALF」は世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、環境を守りながらペットボトルや漁業用の網などといった海洋プラスチックごみを再生して作った機能的な衣類や靴、...
ファッションデザイナー石川俊介さん『背景が見えにくいファッション産業への疑問』
独自記事 【 2019/12/16 】 Fashion
エシカルなコーヒーの調達率 99 % を達成したことにちなみ、9月9日に全国のスターバックス店舗で2015年から行われている「99 キャンペーン」。特に、同キャンペーンが初めて実施された、中目黒の「スターバックス リザーブ®️ロースタリー 東京」では、バリスタによるコーヒーの生産過程についてのマイクパフォーマンスが行わ...
SDGsは「自分の暮らしの中」で向き合う。
sponsored 【 2019/11/25 】 Home
気候変動やグローバル化で深刻化する問題に対応するため、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)。貧困や格差の解消、地球環境の保全などをめざし、全ての国連加盟国が2030年までに取り組む行動計画だ。企業は単なる社会貢献ではなく、本業を通じた活動が求められている。ボルネオ島の生物多様性保全やアフリカ・...
「外」からの視点がとらえた、日本の美しさ 【国木田彩良・前編】
独自記事 【 2018/10/4 】 Art & Culture
明治時代の小説家・ジャーナリストの国木田独歩の玄孫であり、現在、モデルとして活躍中の国木田彩良さん。このたび谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を原案とする短編映画『IN-EI RAISAN(陰翳礼讃)』(高木マレイ監督)の茶人役で、女優に初挑戦しました。10月5日の映画公開を控え、2018年6月に建仁寺塔頭 両足院にて行われた映...
日本の良さを改めて実感!?  豪華舞台を楽しめる「日本博特別公演」の放映が決定!
独自記事 【 2020/6/15 】 Art & Culture
『ethica(エシカ)』6月号のテーマは、「エシカル世代」です。 新型コロナの影響で、ライブでエンターテイメントを楽しむ機会はほとんどなくなっていました。ようやく再開への道筋は見えてきたものの、実際にリアルな場に出かけてイベントなどを楽しめるのは、もう少し先になりそうです。そんな中、「エシカル世代」にも人気の2.5次...
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
「エシカルファッションってなに?」 ピープルツリーの場合
独自記事 【 2019/9/20 】 Fashion
日本とイギリスで展開するフェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」。人にも地球にも良いライフスタイルを提唱するエシカルファッションのパイオニアともいえるその活動は、ethica編集部でも創刊以来、大先輩としてその歩みに倣って参りました。 エシカルな気づきをテーマに情報発信を続けてきた私たちethicaは今年6周年を迎...
美しき理系アーティスト、スプツニ子!さんに伺いました!(前編)「質の高い教育をみんなに」
独自記事 【 2019/9/28 】 Art & Culture
9月22日(日)〜29日(日)のSDGs週間(*)にフェイスブック ジャパンが開催している「Facebook Fundraisers for SDGs」で、「質の高い教育をみんなに(SDGsの目標4)」を達成するため、アメリカのNPO団体「Girls Who Code」への募金キャンペーンを立ち上げたスプツニ子!さんに...
一杯のコーヒーから広がる「 99 」への想い 。
独自記事 【 2019/11/12 】 Food
エシカルなコーヒー豆の購買率 99 % を達成したことにちなみ、毎年9月9日に全国のスターバックス店舗で行われる「 99 キャンペーン」 キャンペーン開始から5年目となる今年、中目黒の「スターバックス リザーブ ® ロースタリー 東京 」ではじめての「 99 キャンペーン」イベントが実施されました。 前編につづき「 9...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
The Breakthrough Company GO クリエイティブディレクター 砥川直大さん(前編)
独自記事 【 2020/4/20 】 Fashion
世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、ペットボトルや魚網などの海洋プラスチックごみを再生して作った衣類や靴、かばんなどを次々に発表。現在ヨーロッパを中心に大きな注目を集めているスペイン生まれのファッションブランドが「ECOALF」です。この3月、日本第1号店が東京・渋谷にオープンしましたが、開店にあたり「地球の資源を...
蜷川実花×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/7/13 】 Art & Culture
渋谷パルコのPARCO MUSEUM TOKYOで新作個展「東京 TOKYO/MIKA NINAGAWA」を開催した写真家で映画監督の蜷川実花さん。蜷川さんの新作写真集「東京 TOKYO」の刊行を記念して行われたもので、会場には「東京に生まれ育ち、この街しか住んだことがない」という蜷川さんが「大事なものすぎてなんだか手...

次の記事

構想から3年後に実現したフラガール映画化 夢を、未来をあきらめない。 映画プロデューサー 石原仁美さん。今一押しの書籍は『ありふれた愛じゃない』
クールジャパン、フランスで愛される日本のカルチャー ethica from paris ヨーロッパ最大の日本文化の祭典

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます