サーファー女性の座談会「海が教えてくれたこと」
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サーファー女性の座談会「海が教えてくれたこと」

初夏の穏やかな日、逗子の海岸でサーファー女性4人の座談を行いました。参加者は開発途上国の工場の労働環境改善のための監査を行うek sathe(エクシャテ)代表の青沼愛さん、国際交流NGOピースボートの小野寺愛さん、ヨガインストラクターで、地域コミュニティ作りを行う特定非営利活動法人すまいるの松永真美さん、一般社団法人サーフライダーファンデーションジャパン事務局長の松原広美さん。4人にとって、海は人生と切り離せないもの。海の魅力をたっぷり語ってもらいました。

海がある生活

——みなさんは、日頃どんな形で海と接しているんですか?

松原さん:私は、外房に住んでいるんですが、もう海中心の生活。朝4時半くらいにサーフィン仲間から「良い波が来てるよ」って電話をもらって急いで海に向かったりして。波がよければ、朝サーフィンして、仕事して、また夕方サーフィンをするっていう感じ。

松永さん:私も松原さんと似てるかな。波があれば朝は海に行きます。なければヨガと呼吸法、瞑想をそのぶんみっちりやるという感じ。

小野寺さん:私も湘南、逗子に住んでいて、生活の中に海がある。子どもがいるから、最近は親子の自主保育イベント『海のようちえん』という取り組みも始めました。普段は国際交流NGOピースボートで働いていて、数百人の人々とともに世界を旅するのが仕事です。

そこでつくづく感じるのが、実際に体験することの大切さ。情報だけなら家にいてもいくらでも手に入る時代だけど、子どもたちには世界や海に出かけていかなきゃわからない「わあっ!」を実体験してほしくて。『海のようちえん』は体験を大切にしています。

青沼さん:逗子や外房に住んでいると、海にすぐに行けていいなあ。私は日本ではそんなに頻繁に海に入れていないから、うらやましい。私は1年の半分くらいはバングラデシュにいるんだけど、バングラデシュでもサーフィンをしています。バングラデシュには地元の人が「世界一長いビーチ」と豪語しているビーチがあるの。そんなに高い波は来ないんだけど、バングラデシュはイスラム教の国だから泳ぐ人が少なくて、ビーチがすいてるんだ。

一同:空いている長いビーチだったら、かなり長い時間、波に乗っていられるんじゃない? いいなあ!

海とふれあうことで意識する環境

松永さん:海外でのサーフィンと言えば、私はよくハワイに行くんだけど、最近、ハワイが寒いの。水も冷たいし、気温も低い。この冬はあまりに寒かったから、ロングジョンとタッパーで入ったんだけれど、ちょうどいいくらい。冬はビキニでは入れないかも。

小野寺さん:えー、ハワイが寒いなんてショック。最近行ったのは夏だったから気づかなかったなあ。どうして水が冷たくなってるんだろう? もしかしたら暖流の流れが変わっているとか?

松永さん:うーん、プチ氷河期がくるって言われているから、その影響で環境が変わってきているのかも。

小野寺さん:環境といえば、松原さんのサーフライダーファウンデーションジャパンって、福島第一原発の事故の後に海の放射線汚染の調査をしたよね。あれ、ありがたかったなあ。

松原さん:自分たちが大好きな海が、本当に入っていいかを知りたかったから。放射能って目に見えないし、臭わない。だから、みんな不安になりやすいですよね。だから調査をしたんだけど、私たちの立場では、「絶対安全です、とか、絶対危険です」って断言できるほどの知識や専門性もないので、いろいろ試行錯誤しながら取り組んでるの。他のデータと比較して、信頼性のある指標のうちのひとつになればいいなと思っています。

小野寺愛さん

海にもガールズパワーが必要

——ところで、サーフィンをやっていて「もっとこうなったらいいのに」と思うことはありますか? 

松永さん:なわばり争いみたいなローカリズムとかやだなって思う。海って、誰かの物ではなくて、神様がくれたみんなのものなのにね。みんな、楽しむために海に入っているはずなのに、なんかピリピリした雰囲気が生まれることってあるよね。

小野寺さん:せっかく海に来てるのにね。その点、女の子サーファーは、ルールを超えてみんなで楽しめるところがない? 目を合わせて合図し合って、「同じ波に乗っちゃおう〜!」みたいなこともアリで、乗れたらもう、みんなニコニコ。そういう女の子サーファーがいると、海の雰囲気が穏やかになるのもあるよね。

一同:もっとガールズサーファーを増やさなくちゃ!

青沼愛さん

海から教わったこと

——みなさんにとって、海の魅力ってどんなところですか? 海に行くことで、学んだことって何かありますか?

青沼さん:単に海に入ってプカプカ浮いているだけで日頃のストレスが水に流れてリラックスできちゃうんだけど……、考えてみたら「思い通りにならない」ってことがけっこう良いかも。仕事だと、効率性とか完璧を追及してしまうでしょう?そして思い通りにならないとイライラしちゃう。

でも、海は思い通りにならない。「こういう波が来てほしい」と考えても絶対に来ないから、その中で自分にできる事を全力でやる。そういう、思い通りにならない感じが、実は大切なんじゃないかな。仕事で自己イメージが肥大化しちゃっているのを、海でリセットできるというか。海で「物事は思い通りにならないのが当たり前。むしろそれを楽しむ」と学んだ気がするし、そういう感覚って、海外で仕事をしている私にとってはけっこう大切。

松永さん:海に入っていると、「人間ってちっぽけな存在なんだ」ということをいつも体感できる。人間は単なる自然の一部で、何かをコントロールすることなんてできないってことを、いやっていうほど体で学べるっていうか。波に巻かれたときって、力を入れて抵抗するとすごく苦しいけど、力を抜くと、そうでもなかったりする。それって人生でも同じことだよね。人間は自然の一部なんだから、自然に逆らおうとしても苦しいだけ。受け入れて、自然の法則の中で生きるのが、ハッピーに暮らすコツだと思う。

小野寺さん:海や自然は人間にはコントロールできないというところが、たぶん逆にいいのかもね。そう意識しているわけじゃないけど、非効率を楽しむ感じ。逗子に住んで余計に思うようになったのは、便利さを求めすぎず、丁寧に時間を過ごすことこそが幸せなのかもしれないということ。最初、逗子に移住するときに「仕事には不便かな」って思ったけれど、今はもっと田舎に移住したいくらい! 最近、畑仕事や子どものおやつ作りはもちろん、ジャム、バター、果実酒、石けん……。暮らしまわりのいろいろ、手作りに凝りはじめていて。手間はかかるけれど、すごく楽しいしおいしい。すべてを自分で「自給自足」するのは難しいから、友達と交換して「友産友消(ともさんともしょう)」する暮らしを流行らせようと企んでるんだー。

松永さん:手間をかけると、色んなことに愛情を持てるようになるよね。中学生くらいのときって、携帯やメールなんてなかったでしょう? だから付き合っている人と手紙でやりとりしてた。そういう便利じゃない方法だからこそ感じられるものってあると思う。

surfrider conference in brazil

松原さん:大人になると「めんどくさい」とか「しょうがない」って思って諦めることが増えるじゃない? でも子どもはものすごい集中力で手間をかけて何かを作ったりするでしょう? その結果、感動したり達成感を味わったりできるよね。それと同じことが、サーフィンをすると体感できるよね。それから、私はサーフィンを通して、野生の感覚が鋭くなったと思う。本能が研ぎ澄まされたというか。どの波にテイクオフするのか、どの波を見送るのか、あるいはセットがきてもうただ身を委ねてまかれるか……。そんなことを海の上では一瞬のうちに決めなきゃいけないからかも。基本的には、迷ったらゴー!(笑)だけど。だから、日常生活においても、いま自分がここにいて、生かされているこの瞬間に感謝しながら楽しんで、どの道に進めばハッピーかを、未来を考えすぎずに、直感を信じて決められるようになったかも。

一同:そうかも!

 

 

松永真美さん

松原さん:サーフィンの目的や魅力って、本当に人それぞれなんだよね。野球みたいなスポーツは「勝つこと」が目的だけど、サーフィンは海に入ることだけで楽しい人も入れば、かっこよく波に乗りたい人もいる。みんな違っていい。そこも魅力だな。

小野寺さん: 池澤夏樹さんの小説『カイマナヒラの家』のなかで「サーフィンに出会えたら、それでその人生はもう半分は成功なのよ」って言葉が出てくるんだけど、本当にその通りだよね。海は大きくて豊かで鮮やかで、陸にいる時間に悩んでいたことがどれだけ小さいかを気づくきっかけをくれる。必然的に、大らかになるよね。海で学んだことも、魅力も、ありすぎて語りきれない。

一同:わかる!

30代からだって、40代からだってサーフィンは始められる

——最後に、これからサーフィンを始めようかなと思っている人に、アドバイスをお願いします!

松永さん:始めようかなと思ったら、迷わず海へ! 「始めたい。でも道具が……」とか言っていたら、いつまで経っても始められないから、とりあえず行ってみる!

小野寺さん:40代で始める人もいるくらいだから、始めたいと思ったときが始め時。サーフィンは教わるものじゃないしね。私も最初にサーフィンした日は、雨が降る中、大荒れの海に連れて行かれて、板とともに「じゃあ、頑張ってー」って放置された(笑)。もし始めるなら、湘南エリアは波が穏やかでいいかも。外房エリアは波が高いから、負けず嫌いな人にはいいかもしれないけど。

松原さん:スクールに入れば、海のルールや基本を教えてくれるからいいかもしれないけれど、結局は何度も海に入って自分の体で覚えていくしかないものなんだよね。けっこうタフネスが要求されます(笑)。波っていつも同じようにくるわけじゃないから、自分でコツをつかむしかない。

青沼さん:私はいつまでもひよっこサーファーで、いつもうまく波に乗れるわけじゃないんだけれど、下手でも楽しければ全然オッケーだと思う。コツをつかみにくいのもサーフィンの楽しさの一部かな。波に乗れた瞬間の気分は最高! そのときに見えた風景まで映画みたいに思い浮かぶもの。

一同:「あのときの、あの波が最高で……」っていう話をし始めたら、サーファーは止まらないよね。

<参加者プロフィール>

青沼愛さん:世界に興味を持ち、学生時代にバックパッカーの旅にはまる。バングラデシュで受けた衝撃から、途上国企業と日本企業を繋ぐ仕事を模索。CSR調査を行う会社を経て、開発途上国の工場の労働環境改善のための監査を行うek sathe(エクシャテ)を立ち上げ。1年の半分を過ごすバングラデシュでも波に乗るサーファー。

小野寺愛さん:旅とサーフィンに明け暮れた学生時代を経て、外資系金融企業に入社。その後、国際交流NGOピースボート職員に。地元、逗子市では子育て仲間の家族とともに、季節ごとの海・山を楽しむ親子イベント『海のようちえん 』を手がける。AMI(国際モンテッソーリ協会)公認アシスタントティーチャー。

松永真美さんYoga Kurikindi主宰。自分を大切にする瞑想的なヨガクラスを展開するかたわら、「氣流れセラピー」セラピスト、ヨガ専門ライターとしても活動。ウェットスーツ専門店kingo von mingo、大人女子のためのウェットスーツブランドCANDYwetsuitsプレス。地域コミュニティ作りを行う特定非営利活動法人すまいる。アーユルヴェーダやマクロビオティックを取り入れた瞑想的な生活を実践中。

松原広美さん一般社団法人サーフライダーファウンデーションジャパン事務局長。元J-waveロハスサンデーナビゲーター。greenz.jp ファウンダー。いすみの森の中で暮らし、世界中から旅人を受け入れながら、シンプルで丁寧な暮らしを発信、実践中。ヨガインストラクターとして、料理のケータリングなどで地域コミュニティのイベント企画も手がける。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)〜
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