夏はお祭り! 鹿踊に込められた日本の魂を見に行こう!【ReDiscover Japan】
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夏はお祭り! 鹿踊に込められた日本の魂を見に行こう!【ReDiscover Japan】

写真提供:まつもとけいこ

皆さん、夏休みの予定は立てましたか? まだの方にご提案があります。この夏は、東北に鹿踊(ししおどり)を観に行きませんか?

鹿踊は東北地方を中心に伝承されている郷土芸能、獅子舞の一種。力強くダイナミックで、見る人の心を奪う芸能です。今回は、公益社団法人全日本郷土芸能協会の職員で行山流舞川鹿子躍の伝承者でもある小岩秀太郎さんに、鹿踊の見所を教えてもらいました。

岩手県大槌町の幕踊系「臼澤鹿子踊」

見所①:勇ましくも、少しおどろおどろしい感じもする装束

鹿踊は、踊り手が演奏を行なう「太鼓踊系」と踊り手とは別に祭囃子の演奏者がつく「幕踊系」に分けられます。

幕踊系の装束は、幕で体を覆い、頭に鹿を模した鹿頭(ししがしら)を乗せるのが特徴。髪の毛として木を削ったものや障子紙を取り付けています。地域や流派によって鹿頭は異なり、写実的な鹿であったり、牛、龍、麒麟といえるようなものであったりと、バラエティに富んでいます。いずれにしても、その姿は怪異ともいえるほど。

岩手県一関市の太鼓踊系「行山流舞川鹿子踊」 写真提供:行山流舞川鹿子躍保存会

太鼓踊系の装束では、腰には締太鼓、頭に本物の鹿角と馬の尻尾で作った髪の毛を付けた木彫りの鹿頭(ししがしら)をいただき、3メートル以上ある竹に障子紙を貼って御幣(ごへい・神社で神主が手に持ち、しゃらしゃらと振る神具)に見立てたササラを背中に背負います。流派によって少しずつ異なりますが、装束の重さは15キロ以上にもなるそうです。

見所②:装束の意味と「まれびと信仰」

幕踊系の装束も、太鼓踊系の装束も、どちらも異様な姿ですが、それもそのはず、鹿踊は近代日本を代表する国文学者・民俗学者の折口信夫のいう「まれびと信仰」の表れの一つと考えられています。「まれびと」とは、異界から来訪する霊的もしくは神の本質的存在を指しています。つまり鹿踊は、秋田のなまはげのように、異界から来た霊的な存在を表しているのです。

そのため、もともと鹿踊は、パレードや舞台で行なわれるものではなく、山から家々の庭にやってくるものとして行なわれる芸能でした。すーっと庭に入ってきて、太鼓を叩き、地面を背中に付けた白く長いササラで叩いて悪魔を祓って場を清め、五穀豊穣を願ったり、新盆の供養をしたり、楽しい演目を行なって場を和ませたりしていたのです。

岩手県奥州市江刺区では現在でも、もともとの姿を保った鹿踊を観ることができます。8月14日、15日、16日に江刺区に行くと、太鼓の音が聞こえてきます。それは新盆の家に鹿踊がやってきて供養の踊りをおこなっているから。その時期に江刺区を訪れることができる場合は、家の前に位牌がある家にお願いすれば、ホンモノの鹿踊を観ることができるかもしれません。

 

見所③:ストーリーのある演目

鹿踊には、願いが込められたような跳躍が凄まじい演目と、ストーリーのある楽しい演目があります。願いが込められた演目は観るだけで圧倒されるものですが、ストーリーがある演目は意味がわかったほうが楽しめます。小岩さんは、よく演じられる代表的な演目を2つ紹介してくれました。

○牝鹿隠し(めじしかくし)

牝鹿役、「中立(なかだち)」と呼ばれる親鹿役と、6人の牡鹿役で行なわれる演目です。隠れてしまった牝鹿を牡鹿が探しまわるのですが、役者の表現力が問われ、ときに観客のなかにまで牝鹿を探しに行く牡鹿役もいるほど。探す姿がこっけいな、楽しい演目です。

○三人狂い(荒金、島霧などとも呼ばれる)

3人の若い牡鹿役がでてきて、牝鹿を巡って戦う演目で本願成就の踊りと言われています。3人が輪の中で飛び上がったり、ササラをぶつけあったりして、力を見せつけ合うのが見所の、勢いのある演目です。

写真提供:まつもとけいこ

見所④:東北の、イメージとは違った姿が見えてくる

実はこの鹿踊、宮城県の南三陸町が発祥の地と言われています。南三陸は「無添加食品」「ゆるキャラ」「キラキラ丼」「体験学習」「民泊」「スタンプラリー」「捨てられていた“めかぶ”の商品化」「牡蠣のトレーサビリティ」などを早くから取り入れて商売を行なうなどと、斬新なことを実現してきている町です。

その進取の気勢に富んだ南三陸で、「新しくおもしろくかっこいいことをやろう」と生まれた鹿踊が、北上川沿いに広がっていき、各地で「さらにおもしろいものを」と様々な形に変化していったのではないか、と小岩さんは推測します。つまり、鹿踊が残っている地域は、新しいもの、おもしろいものを取り入れる気持ちにあふれた、昔の文化の発信地だったのだと言えるのではないでしょうか。

郷土芸能は、その土地の人たちが長年にわたって楽しみ、守り、磨き続けてきたもの。文章や映像では表しきれない魂のこもった鹿踊の迫力は、生で見てみないと本当には伝わりません。ぜひ一度、東北に鹿踊を観にでかけてみてはいかがですか?

<鹿踊に行ってみよう>

鹿踊を見に行ってみよう!2013年の鹿踊の予定

取材協力:公益社団法人全日本郷土芸能協会 小岩秀太郎さん

行山流舞川鹿子踊facebookページ

FelixSayaka

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