姿勢が伝わるコミュニケーション(前編) トッパンアイデアセンター 亀井光則氏 【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『凸版印刷編』
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
2,708 view
姿勢が伝わるコミュニケーション(前編) トッパンアイデアセンター 亀井光則氏

トッパンアイデアセンター クリエイティブ本部 エキスパートクリエイター 亀井光則氏

ethicaがメディアパートナーとして参加した「サステナブル・ブランド 国際会議2019 東京」で行われたセッションの一つが「姿勢が伝わるコミュニケーション」でした。参加されたのは凸版印刷、ポーラ、電通の3社。今回は凸版印刷の取り組みについてご紹介します。(記者:エシカちゃん)

「情報伝達の最適解」で難しいことを分かりやすく簡単に

凸版印刷というと、単なる印刷会社だと思っている人も多いでしょう。しかし、決してそんなことはありません。トッパンアイデアセンター クリエイティブ本部 エキスパートクリエイターの亀井光則氏は、

「業務を一言でいえば情報加工という表現がよいかもしれません。クライアントからお預かりする複雑で難しい情報を分かりやすく簡単にして、かつ印象的で記憶に残りやすくする。いわば『情報伝達の最適解』を担っているのが弊社なのです」

水を使わない染色技術の素晴らしさを伝えるには

ファスナーでおなじみのYKKが「超臨界流体染色」という染色技術を開発しました。それは画期的な最先端技術でした。しかし、技術の名称も難しく、理解しづらい内容でした。

通常、染色には大量の水を必要とし、化学物質を含む汚水を排出するため環境汚染を引き起こす危険性があるといわれています。その点、超臨界流体染色は水を一切使わずに染色することを可能にしましたので、環境にやさしい、時代にマッチした技術といえます。

「この難しい言葉をどうやって分かりやすくしていくかというのが弊社に与えられたミッションでした。水を汚さないという点ではなく、そもそも水を使わないということに焦点をあて印象的に伝えることとし、『あらゆる世界をカラフルに』というコンセプトでビジュアルを制作。その素晴らしさをより分かりやすく訴求しました」(亀井氏)

<参照> 2016年度 グッドデザイン賞

https://www.ykk.co.jp/japanese/corporate/g_news/2016/20161130.html

「ツナゲルペン」と「ツナゲルノート」

亀井氏が挙げたもう一つの事例は大塚製薬が行った、そううつ病、てんかん、統合失調症、パーキンソン病への理解促進を目的とした活動でした。それは、偏見を持たれやすいこうした病を、クライアントの伝えたい内容にあわせて印象的に表現した「ツナゲルペンとツナゲルノート」というアクションです。

 「脳を電気回路に置き換えたノートに、銀ナノインクという導電性のあるインクを充填したペンで配線を描き、ノートの回路を完成させながら疾患への理解を深めることを目指しました」(亀井氏)

 <参照> https://www.otsuka.co.jp/knowproject/

最後に亀井氏は、この事例を通じて気づいたこととして、「サステナブルなところに『情報伝達の最適解』を入れていくと、コミュニケーション型のCSRになるのではないか」という点を指摘されていましたが、これにはファシリテーターを務めたSB東京サステナビリティ・プロデューサーの足立直樹氏も納得の様子でした。

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

関連記事:

3月6日・7日【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】メディアパートナーのethicaでは優待チケットも

誠実努力で「なくてはならない会社」へ 【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『セイコーエプソン編』

セイコーエプソン・碓井社長が思い描く、色彩豊かな未来のヴィジョン

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『テレビ東京編』

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『クボタ編』

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『電通編』

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『YouMe Nepal代表理事 ライ シャラド氏編』

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『フィリップ モリス編』

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『横河電機編』

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『横浜市編』

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

エシカちゃん

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【ethica Traveler】 連載企画Vol.5 宇賀なつみ (第4章)サンフランシスコ近代美術館
独自記事 【 2024/3/20 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 本特集では、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブ...
【ethica Traveler】  静岡県 袋井市の旅 おいしいもの発見!
独自記事 【 2025/3/20 】 Work & Study
日本列島のほぼ真ん中で、駿河湾を囲むように位置する静岡県。その中でも、太平洋に面する西の沿岸部に近いところに袋井(ふくろい)市があります。東西の交流地点として、古くから人や物や情報の往来を支えてきた袋井市は、高級メロンやリゾート、由緒正しき寺院など、未知の魅力がたくさんあるユニークな場所です。今回は、そんな袋井市の中で...
冨永愛 ジョイセフと歩むアフリカ支援 〜ethica Woman Project〜
独自記事 【 2024/6/12 】 Love&Human
ethicaでは女性のエンパワーメントを目的とした「ethica Woman Project」を発足。 いまや「ラストフロンティア」と呼ばれ、世界中から熱い眼差しが向けられると共に経済成長を続けている「アフリカ」を第1期のテーマにおき、読者にアフリカの理解を深めると同時に、力強く生きるアフリカの女性から気づきや力を得る...
持続可能なチョコレートの実現を支える「メイジ・カカオ・サポート」の歴史
sponsored 【 2025/3/19 】 Food
私たちの生活にも身近で愛好家もたくさんいる甘くて美味しいチョコレート。バレンタインシーズンには何万円も注ぎ込んで自分のためのご褒美チョコを大人買いする、なんてこともここ数年では珍しくない話です。しかし、私たちが日々享受しているそんな甘いチョコレートの裏では、その原材料となるカカオの生産地で今なお、貧困、児童労働、森林伐...

次の記事

パラリンピックに懸ける思い【後編】/ 車いすテニス・船水梓緒里さん
姿勢が伝わるコミュニケーション(中編) ポーラ 市場接点開発部部長 望月亮氏 【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『ポーラ編』

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます