(第25話)「大切にしたい和のこころ〜二十四節気を楽しむ暮らし」キコの「暮らしの塩梅」
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(第25話)「大切にしたい和のこころ〜二十四節気を楽しむ暮らし」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第24話では、家族で過ごすある夏の一日の回想録をお伝えしました。Art&Culture最初の記事となる今回は、古くから日本の暮らしに根ざしている「二十四節気」について、今の季節に沿ってお伝えしたいと思います。

古くから人々の暮らしを支えてきた二十四節気

四季の変化が豊かな日本。

旧暦や節気には、その季節のうつろいがとても美しい言葉で表されています。

 

以前ハレとケの記事で、桃の節句や端午の節句などの五節句は季節の節目に当たる日で、神々に感謝し祝うハレの日の行事だとお伝えしました。

 

一方、今回お伝えする二十四節気は、太陽が地球を一周する一年の期間を24の節目に分けて、季節の移り変わりの指標とされたもの。

 

日本は7世紀ごろから古代中国より伝わった太陽太陰暦(旧暦)を採用しており、人々は月の満ち欠けを元に暮らしを立てていました。

しかし月の満ち欠けの周期は29.53日なので徐々に季節感のズレが生じてしまいます。そのため、太陽太陰暦では32〜33ヶ月ごとに一度閏月をもうけて一年を13ヶ月とし調整していました。

 

そのような背景から、間隔が一定で毎年同じ時期に同じ節気が巡ってくる二十四節気は、季節の目安としての拠り所となり、天候に影響を受けやすい農業などにとても重宝されていました。

 

昔の人たちはカレンダーがなくても、この節気を基準に生活を営んでいたのです。

 

ちなみに、日本で太陽暦(新暦)が採用されたのは、旧暦の明治5年12月3日。

その日が新暦の明治6年1月1日となりました。

そのため、旧暦と新暦との季節感には1ヶ月ほどズレが生じています。

 

(例えば、桃の節句には桃が咲かず、七夕の日は梅雨の真っ只中ですよね。五節句は1ヶ月遅れて旧暦で考えると、季節にしっくりと合うことがわかります)

秋の節気はどんなものがある?

まだまだ暑さが残るこの頃ですが、暦の上ではもう秋の半ばです。

今回は秋を表す節気「立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降」をご紹介します。

 

今年の立秋(りっしゅう)は8月7日でした。

立春からちょうど半年たった時で、秋の始まりを表します。

 

季節の挨拶も、この日以降は残暑となりますね。

 

8月23日の処暑(しょしょ)は暑さの終わりを意味します。

お天気の日にふと空を見上げると、いつの間にか高く澄み切っていて

「ああもう夏も終わりだなぁ」と感じる頃。

この頃から少しずつ朝晩が過ごしやすくなり、いよいよ台風シーズンにも突入です。

間もなく訪れるのは、白露(はくろ)。

夜の間に気温が下がり、草花に朝露が宿るころを表します。

ムワッとした暑さが抜けて、澄んだ朝の空気に思わず散歩に出かけたくなるこの時期。

 

日中は暑さが残るのでついつい薄着をしがちですが、朝晩との気温差も広がるため足元からの冷えには要注意です。

サンダルから靴へ。アイスコーヒーから温かい飲み物へと少しずつ意識して、寒さに備えて体を整えていきたい時期です。

1年かけて太陽の周りを一周する地球のスタートラインは、実は元旦ではなく春分の日。

そこからちょうど半分の地点が「秋分(しゅうぶん)」です。

 

今年は9月22日。国民の祝日のひとつですね。

春分と同様、昼と夜の長さがほぼ同じになりこの日を境に秋の夜長に向かいます。

 

この秋分の日を真ん中に前後3日は「お彼岸」です。

太陽がまっすぐに東から西へと通り、昼と夜が半分になるこの日は、彼岸(あの世)と此岸(この世)が通じる特別な日と考えられてきました。

 

秋分の日にお供えするおはぎは(春分の日はぼたもち)、魔除けや感謝の気持ちを表しているそうです。

お墓参りは難しくとも、空を眺めてご先祖様に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

いよいよ暑さが薄れ、10月8日は草木に冷たい露が降りる「寒露(かんろ)」。

稲刈りをはじめ農作物の収穫も最盛期。各地で秋の実りに感謝するお祭りが行われる時期でもあります。

 

そして、秋の終わりを告げる「霜降(そうこう)」は10月23日。

草木に霜が降りて寒さが本格化していきます。

 

季節の変わり目となるのこの時期は体調を崩しやすく、訳もなく気持ちも落ち込みやすいので、体の温まる食事や冷やさない工夫をして心穏やかに過ごすことをいちばんに。

 

ひんやりとした空気を胸いっぱいに吸い込んで、鮮やかに色づいた木立をのんびり歩きたいものです。

小さな季節の変化を五感で感じて

二十四節気は毎日の暮らしに根ざしていて、どんな場所にいても、忙しい毎日を送っていても

誰もが自然の移り変わりのなかで暮らしていることを気づかせてくれます。

 

朝一番の窓を開けた瞬間や、仕事が終わっての駅からの帰り道。

そんな日々のちょっとした隙間時間に、穏やかな自然の時間の流れを一呼吸味わってみるのはいかがでしょうか。

 

四季の変化が豊かな日本に住んでいるからこそ、ささやかな季節の移り変わりを実際に目で、肌で感じる瞬間も忘れずにいたいと思います。

さて、間もなく訪れる中秋の名月。今年は10月1日です。

昔から、秋は月が一番美しく見える季節と言われてきました。

 

9月8日に迎える「白露」ですが、この露という言葉は別名で「月の雫」とも呼ばれています。

気温が下がって、空気中の水蒸気が露となって草木に宿る夜は、空気が澄んで月が美しく見えることからそう言われたのかもしれません。

 

ススキを飾ってお団子をお供えして……。

そんな秋の美しい月をめでたいものです。

 

次回は中秋の名月について、そのいわれとお家での楽しみ方をお伝えしたいと思います。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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