読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第5章:フリータイムの哲学編(第1節)
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読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第5章:フリータイムの哲学編(第1節)

サイゴン大教会

新企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」を担当します永島郁哉と申します。早稲田大学で社会学を学びながら、休日には古着屋に行ったり小説を書いたりします。

 

この連載は、ストレス社会に生きる私たちが、ふと立ち止まって「豊かさ」について考えるきっかけとなる、ささいな休憩所のようなものです。皆さんと一緒に、当たり前だと思っていた価値観を一つ一つほどいていく作業が出来たらと思います。

 

第5章は「フリータイムの哲学」と題して、全5節にわたりお送りします。東南アジア各国それぞれに、フリータイムをめぐる哲学があります。それらを基に、皆さんと共にウェルビーイングについて考えていけたらと思います。

第5章 フリータイムの哲学

第1節 昼寝

さて、今回から「フリータイムの哲学」と題して、私が東南アジアの国々で体験したフリータイム=自由時間をめぐるフィロソフィーを一つ一つ紹介したいと思います。

自由時間の使い方は千差万別ですが、異文化では思いもよらないものに出会うことがあります。その一つが今回のテーマ「昼寝」。

昼寝は午後の作業効率を高めることから、最近は大手企業が社内に仮眠室を設置するなどの動きがあります。ただ、学校や職場で昼寝をするのはまだまだ難しいという人がほとんどでしょう。それに仮に仮眠できる十分なスペースがあっても、みなが周りにいる環境ではすぐに入眠できないといった人もいるはずです。

かく言う私も、近くに人がいる状態で寝るのには抵抗があるほうで、野生の勘の名残なのか数分おきに目覚めてしまいます。

ただ、ベトナムではどうやら違うらしいのです。そもそもベトナムではお昼休憩が長いことが多く、それはご飯を食べるほかに昼寝する時間が含まれているから。ですので、向こうの方は日中に寝るということに慣れています。

ベトナムの典型的なお昼ご飯

私がプログラムでベトナムの学生と寝食を共にしたときも、ホステルでの休憩時間には決まって「近くを散歩するもよし、友達と喋るのもよし、寝るもよし」と案内がありました。30分の休憩でも必ずそうした案内がありましたから、なるほどベトナムでは昼寝というのが本当に身近なわけです。

もちろん全員が必ず寝るということはありませんが、一定数はベッドに入ってすやすやと寝てしまうのです。同行した日本人とともに私も当初それに戸惑いましたが、回を重ねれば慣れるもので、そのうち自分たちも抵抗なく昼寝するようになります。そして昼寝がいかに偉大なものであるのか気づきます。

ハンモックで昼寝する人も

わざわざここで昼寝がどれだけすごいかを説明するつもりはありませんが、私が感服するのはその雰囲気作りです。昼寝はしていいものだ!昼寝は私たちの権利だ!と言わんばかりにいびきを立てる人は少々厄介ではありますが、それにしても昼寝をして良いという時間と空間を作り出せるというのはそれ自体すごいことです。なぜならそこには、他人へのリスペクトがあるし、セルフケアの重要性も共有されているからです。

疲れを取るため、午後の作業効率を上げるために昼寝をする人に、物理的・心理的なスペースを与える。これは簡単に聞こえても意外と難しいことです。フリータイムは昼寝の時間。これを社会全体で実践しているベトナムから学ぶことができれば、私たちの身の回りも少し生きやすくなるかもしれません。

皆さんも今日は時間を見つけて昼寝してみませんか?

ホーチミン像

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

[読者対話型連載]あなたにとってウェルビーイングとは何か

永島郁哉

1998年生まれ。早稲田大学で社会学を学ぶ傍ら、国際学生交流活動に携わる。2019年に公益財団法人イオン環境財団主催「アジア学生交流環境フォーラム ASEP2019」に参加し、アジア10カ国の学生と環境問題に取り組んだ他、一般社団法人アジア教育交流研究機構(AAEE)では学生スーパーバイザーを務め、ベトナムやネパールでの国際交流プログラム企画・運営を行っている。2019年9月より6か月間ドイツ・ベルリン大学に留学。

——Backstage from “ethica”——

今回の連載は、読者対話型の連載企画となります。

連載の読者と、執筆者の永島さんがオンラインオフ会(ZOOM)で対話をし、次の連載の話題や企画につなげ、さらにその連載を読んだ方が、オンラインオフ会に参加する。

という形で、読者との交流の場に育てていければと思います。

ご興味のある方は、ethica編集部の公式Facebookのメッセージから、ご応募ください。

https://www.facebook.com/ethica.jp

抽選の上、次回のオンラインオフ会への参加案内を致します。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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