(第6話)未来の地球と、我々消費者の行動 【最終回】意識改革につながるビジュアルについて考える。(総まとめ) 【寄稿連載】ビジュアルコミュニケーションから学ぶ ゲッティイメージズジャパン 遠藤由理
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
(第6話)未来の地球と、我々消費者の行動 【最終回】意識改革につながるビジュアルについて考える。(総まとめ)

Erdark, 1349899434

今回の連載では、ライフスタイル全体にわたって、持続可能性についての行動喚起や意識改革につながるビジュアルについて考えてきました。最終回では、今までご紹介してきたポイントのおさらいをしたいと思います。

人間目線の身近なサステナビリティがビジュアル化されているでしょうか?

植物持つ手、煙突から出る煙、シロクマなどといった、お決まりの表現を日々よく目にします。このようなビジュアルを見る際、私たちは環境問題を連想はしますが、これらは人間と関係のない、抽象的なものとしか映らない可能性が大きいです。 本当に環境のことを考えて、行動喚起につなげるためには、もっと消費者の心に響く表現が必要です。例えば、家庭菜園や、家にソーラーパネルの設置を行ったり、自分で袋や容器を持参して日用品の買い物をしたりなど、身近な持続可能な努力が描写されているでしょうか?

Mattes, 1251246162

環境に変化をもたらす解決策がビジュアル化されているでしょうか?

代替肉の開発、水耕栽培、電力や水力を節約するエコフレンドリーなデザインの建物、再生可能エネルギーを活用する生産の現場などを実際に消費者が目にすることにより、行動喚起につながると言えます。

Oscar Wong, 1296338060

持続可能な社会の実現に向けた最新テクノロジーの普及がビジュアル化されているでしょうか?

例えば、テクノロジーを利用して電力や水力等を節約するスマートホーム、太陽光発電、風力発電など、新しいゼロエミッションに関するイノベーションが実生活にどのように溶け込んでいるか、誰もがその使用方法やメリットを簡単に想像できるように描写されていることも大切です。

tdub303, 1131294457

自国や地元のコミュニティの支援を後押しするビジュアルでしょうか?

コロナ禍で、日本の大多数の消費者が、地域社会を支援する方法として、なるべく地元の小規模企業から購入したいと回答しました。 地元で買って、消費すれば二酸化炭素排出量の削減にも有効です。

SolStock, 1349706907

サーキュラーエコノミー(循環系経済)がビジュアル化されているでしょうか?

「Take(資源を採掘し)」「Make(製品を作り)」「Waste(捨てる)」という従来の経済システムのなかで「廃棄」されていた製品や原材料などを「資源」と捉え、廃棄物を出すことなく循環させる、サーキュラーエコノミーがビジュアル化されているでしょうか?

JGalione, 665740884

サステナブルで倫理的なビジネスがビジュアル化されているでしょうか?

社会や環境に配慮した倫理的かつ責任ある方法によって原材料を調達し、製品が製造され、消費者の元に渡っているのかがビジュアル化されているでしょうか?製品やサービスが、労働者の福利厚生に考慮した環境で生産されていることが描かれているでしょうか?

Thomas Barwick, 1028521248

コミュニティを内側から支えている人たちの活動がビジュアル化されているでしょうか?

例えば、公園や海岸のゴミ拾い、フードバンク、募金活動、芸術活動やスポーツの指導など、人々が自分たちのスキルや、時間をどのように提供しているのか考えてみましょう。

Maki Nakamura, 1330806787

多様な人々の心の豊かさがビジュアル化されているでしょうか?

様々な人種、年齢、体型、セクシュアリティ、ジェンダーアイデンティティ、宗教、能力、社会経済的グループの人々の生活が反映されているでしょうか? コロナ禍 において、消費者は、心の健康を表現するビジュアルに反応することがGetty Imagesの調査でもわかっています。これから先、誠実さ、優しさ、安心、平和、といった価値観をビジュアルで示すことが重要になってきます。

国や企業だけでなく、我々消費者がどのような行動をとっていくか、今後10年間は、未来の地球に直結するターニングポイントだとされています。Getty Imagesでは、自然環境の維持やそれに配慮した行動に関するビジュアルを通して、持続可能な消費や倫理的な生活の意味を引き続き伝えていきたいと考えます。

今まで紹介した前ビジュアルを見る(こちら

寄稿連載「ビジュアルコミュニケーションから学ぶ」全6回にわたってお届けしました。

【連載】を読む>>>

遠藤由理

ゲッティイメージズジャパン株式会社 クリエイティブインサイト マネージャー

10代後半からアメリカ、スペイン、チェコ、韓国で過ごす。映画制作とデジタルメディアデザインに重点を置いたビジュアルメディアの学歴を持ち、国際映画や日本映画のプロモーション、セールス、買収、配給などの仕事に従事。 2016年からはゲッティイメージズ、ならびに、iStockのクリエイティブチームのメンバーとして、世界中のクリエイティブプロフェッショナルによる利用データ分析と外部データや事例を調査し、来るニーズの見識を基にCreative Insights(広告ビジュアルにおける動向調査レポート)を発信。意欲的な写真家、ビデオグラファー、イラストレーターをサポートし、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
[エシカ編集部 体験企画]環境や人権に配慮したエシカル素材で心地の良いナチュラルな香りと時間を実感「Care me(ケアミー)」のインバスグッズ
sponsored 【 2024/3/29 】 Health & Beauty
一日の終わりのバスタイムは、その日の自分をとびきり労って心とからだを回復させてあげたい愛おしい時間。そんなセルフケアの習慣にほんの少し、地球環境や自分以外の人にもちょっと良いアクションが取れたら、自分のことがもっと好きになれる気がしませんか? 今回ご紹介するのはエシカ編集部が前々から注目していた、エシカルな素材を使って...
【ethica Traveler】 連載企画Vol.6 宇賀なつみ (第5章)ゴールデン・ゲート・ブリッジ
独自記事 【 2024/3/27 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
そろそろ知っておかなくちゃ! 水素のこと。森中絵美(川崎重工)×中村知弘(UCC)
sponsored 【 2024/3/26 】 Work & Study
2023年の記録的な猛暑に、地球温暖化を肌で感じた人も多いだろう。こうした気候変動を食い止めるために、今、社会は脱炭素への取り組みを強化している。その中で次世代エネルギーとして世界から注目を集めているのが「水素」だ。とはいえまだ「水素ってどんなもの?」という問いを持っている人も多い。2024年2月に開催された「サステナ...
【ethica Traveler】 連載企画Vol.5 宇賀なつみ (第4章)サンフランシスコ近代美術館
独自記事 【 2024/3/20 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 本特集では、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブ...
【ethica Traveler】連載企画Vol.4 宇賀なつみ (第3章)アリス・ウォータースの哲学
独自記事 【 2024/2/28 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【ethica Traveler】連載企画Vol.3 宇賀なつみ (第2章)W サンフランシスコ ホテル
独自記事 【 2024/2/14 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.2 宇賀なつみ (第1章)サンフランシスコ国際空港
独自記事 【 2024/1/31 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【Earth Day】フランス商工会議所で開催するイベントにてethica編集部が基調講演
イベント 【 2023/4/3 】 Work & Study
来たる4月22日は「アースデイ(地球の日)」地球環境を守る意思を込めた国際的な記念日です。1970年にアメリカで誕生したこの記念日は、当時アメリカ上院議員だったD・ネルソンの「環境の日が必要だ」という発言に呼応し、ひとりの学生が『地球の日』を作ろうと呼びかけたことがきっかけでした。代表や規則のないアースデイでは、国籍や...
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(序章)と(第1章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/17 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開しています。今回は、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える」の序章と第1章についてのあらすじと見どころをお届け!(記者:エシカちゃん)
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(第2章)と(第3章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/24 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開中。さまざまなメディアから少しずつ情報を得、それをパズルのように組み合わせてひとつのストーリーを見出す、新しいメディア体験です。 今回は、前回に引き続き、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビュ...
テーマは、ナチュラルモダン『自立した女性』に向けたインナーウェア デザイナー石山麻子さん
独自記事 【 2022/9/19 】 Fashion
株式会社ワコールが展開する、人にも自然にもやさしいを目指すインナーウェアライン「ナチュレクチュール」。オーガニックコットン100%のラインアップが注目を集め、肌あたりやシルエットの美しさが話題になっています。その期待に応える形で、今年9月に新作グループも加わりました。やさしさを突き詰めた製品は、どのような想いや経緯から...
幸せや喜びを感じながら生きること 国木田彩良
独自記事 【 2021/11/22 】 Fashion
ファッションの世界では「サステナブル」「エシカル」が重要なキーワードとして語られるようになった。とはいえ、その前提として、身にまとうものは優しい着心地にこだわりたい。ヨーロッパと日本にルーツを持ち、モデルとして活躍する国木田彩良さんに「やさしい世界を、身に着ける。」をテーマにお話を聞いた。
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
東京マラソンと東レがつくる、新しい未来
独自記事 【 2022/5/2 】 Fashion
2022年3月6日(日)に開催された東京マラソン2021では、サステナブルな取り組みが展開されました。なかでも注目を集めたのが、東レ株式会社(以下、東レ)によるアップサイクルのプロジェクトです。東レのブランド「&+®」の試みとして、大会で使用されたペットボトルを2年後のボランティアウェアにアップサイクルするとい...

次の記事

読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第6章:教育の現場から編(第1節)
電通と博報堂からの共同提言 ~サステナブルブランドであるために、「コミュニケーション」にできることは~ 電通 竹嶋理恵/大屋洋子 博報堂 佐藤友亮/吉田啓一

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます