TBS秋沢淳子さん鼎談(第8話)やっぱり自分って食べ物でできている
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TBS秋沢淳子さん鼎談(第8話)やっぱり自分って食べ物でできている

TBS 秋沢淳子 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

パシフィコ横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議2022横浜」(SB 2022 YOKOHAMA)に基調講演の1人として参加されたTBSの元アナウンサーで現在は総務局CSR推進部で部長を務める秋沢淳子さん。

社業以外でも2000年に国際交流・教育支援・国際協力をテーマにしたNGO団体「スプートニクインターナショナル」を設立しスリランカで積極的に活動するなど多方面で活躍されています。

そんな秋沢さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎、副編集長・萱島礼香がお話をお聞きしました。

【目次】 TBS秋沢淳子さん鼎談

(第1話)アジア最大級の短編映像フェスティバル「DigiCon6」

(第2話)Intercultural Programsで異文化体験留学

(第3話)NGO「スプートニクインターナショナル」を設立

(第4話)持続可能な途上国アーティスト支援「ホワイト・キャンバス」

(第5話)仕事とプライベートの両立

(第6話)グローバルとインターナショナルの違い

(第7話)留学経験が全ての起点

(第8話)やっぱり自分って食べ物でできている

ドイツでの生活スタイルを経験

秋沢: 私には、ドイツ人と国際結婚をした叔母がいます。つまり、私にはドイツ人のおじがいるんです。私、中2の時に1人で1カ月アメリカに短期留学して、当時はアメリカ大好き少女でした。そんな私に向かってドイツ人のおじは「世界の歴史はヨーロッパが作ってきたんだぞ。いいから一度ヨーロッパに見に来い」と。ニュージーランドに行く前にドイツに行きました。たしか1984年のことです。

その時、ドイツで瓶の回収方法を知り感心しました。黒い瓶は黒いケース、白い瓶は白いケース、緑の瓶は緑のケースに分別して捨てていました。スーパーに行ってもレジ袋なんてなくて、卵を買う時には家から卵ケースを持っていって「卵6個ちょうだい」というぐあいに買い物をする。30年ほど前からエコなライフスタイルでした。

大谷: 僕が子どもの頃、お豆腐屋さんが売りに来て、入れ物を持って買いに行ったりしていましたよね。

秋沢: 昔の日本はよかったですね。

私、ドイツでの生活スタイルを経験して、心からすごいと思いました。そこからだいぶ経ってから日本でもリサイクル、分別がやってきましたよね。

実は、今、私はそれをスプートニクを通してスリランカで教えています。スリランカはお弁当をバナナの葉っぱで包んで、食べ終わると捨てて自然に返していた文化ですから、そこにビニールが入ってきたことによって、お弁当はバナナ葉っぱの代わりにビニールに入れて、食べ終わったらポイ捨てされるようになったんです。すると、それを食べ物と勘違いした野生動物が食べてしまう。おなかがビニール袋で膨れた野生動物が多く死ぬことになってしまった。スリランカは今、そういう状況です。

萱島: 近代化すると、もれなくプラスチックがついてきちゃいますね。

秋沢: スリランカではゴミ捨て場って山の奥の、山を切り拓いたところにあってそこになんでも全部いっしょに捨てるんです。そして、その周辺に住む人々もいる。まだゴミの分別が行われていないので、生活ごみを全部一緒に捨てます。スリランカは温かい国なので腐敗したごみはガスを発生して爆発します。すると、ゴミの山が崩れて多くの人が亡くなる事故がおきます。

そこで、「スプートニクインターナショナル」の施設ではごみを100%分別して、捨てるように指導し始めました。なぜ分別しなくてはいけないのか、理由もちゃんと説明して教えています。教えられた若い子たちが世の中に出ていけば、いつかは政府も分別に向けて動き出してくれるに違いないと祈りをこめて。

TBS 秋沢淳子 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

私によくて、世界にイイ。

大谷: 長時間お話をお伺いしてきましたが、これが最後の質問です。「ethica」のコンセプトは「私によくて、世界にイイ。」ですが、秋沢さんにとって「私によくて、世界にイイ。」というのはどういうことでしょうか?

秋沢: 「ホワイト・キャンバス」的な立場からいうと、自分が好きなアートを家に飾ることによって、それをクリエートした人の生活が成り立つということでしょうね。アジアで頑張っている画家さんたちの絵を買って家に飾ると、自分にもいいことだし、その絵を見て力をもらったり、その国に思いを馳せることもできるし、その画家さんの生活も豊かになりますしね。

あと「私によくて、世界にイイ。」となると、やっぱり自分って食べ物でできているので、ちゃんと正しく作られたものを摂るということですかね。

大谷: まさに今の「ethica」のいちばんのテーマがそれなんですよ。僕も今まではそんなに食べ物のことを気にしないでいましたが、このコロナ禍で食べ物と向き合うというか、自分で料理をする時間が増えましたしね。

秋沢: そうなんですよ。いかに無駄にしないで、正しく作られたものを自分に接り入れていくか、それはいわゆる地球を傷つけずうみだされた産物をいただくという意味で世界にイイっていえますよね。

TBS 秋沢淳子 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: 今日は長時間ありがとうございました。とても楽しくて、そして、とても勉強になりました。

秋沢: こちらこそありがとうございました。いろいろとお話をしていて「ethica」さんとは考え方が相通じるところが沢山あることがよく分かりました。これからも長くお付き合いしていきたいですね。よろしくお願いします。

大谷: こちらこそよろしくお願いします。

 

(第1話)から読む>>>

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アジアの力を世界に TBS 秋沢淳子

 

秋沢淳子

株式会社TBSテレビ/株式会社TBSホールディングス

総務局 CSR推進部 部長、DigiCon6 Asia事務局 海外ディレクター

一般社団法人 Sputnik International
創設理事

公益財団法人 AFS日本協会
理事

ethica副編集長 萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業10期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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