(第24話)「家族と過ごした、夏のあるお休みの日」キコの「暮らしの塩梅」
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(第24話)「家族と過ごした、夏のあるお休みの日」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第23話では、カーシェアリングについてお伝えしました。Home最終話となる今回は、家族で過ごしたある夏の一日の回想録をお届けしたいと思います。

休日のはじまりは前の日の夜から

休みの日の朝にかぎって、

そわそわしていつもより早くに目が覚めてしまう。

 

隣で娘がスースー寝息を立てているのを確認し、そっと布団を抜け出して

朝日が眩しい居間に向かう。

 

すっきりと片付いて何もない床とテーブル。

お仕事のある日は色々見て見ぬフリしていることも多いけど、

休日の前の夜はしっかりお部屋を整えておくのが、自分のなかでのお約束。

そのひと手間で、一日のはじまりを気持ち良く迎えられる。

 

今日は何して過ごそうかな。

娘と水遊びをしに川のある公園へ行こうか。でもこの日差しは暑くなりそうだな。

やっぱり水遊びはお風呂場で楽しんでもらって、気になっていた押入れの整理をしようか。

それから一緒におやつを作るのもいいな。

 

そんなことを考えながら、朝ごはんの支度。

休日の朝ごはんは、米粉のパンケーキかシンプルなトーストがわが家の定番。

 

今日は麻炭入りのパンケーキにしよう。

生地をフライパンに流し込んで、弱火にかける。

ガラス蓋越しに生地の表面がプツプツしてくるのを眺めていると

 

「ままぁ…おはよー。おきたよー」

 

カウンターの向こうにくしゃくしゃの頭が見えた。

古道具屋さんで手に入れた業務用のリム皿にパンケーキを入れて、

銘銘皿にお取り分け。

 

後からのっそり起きてきた夫も食卓につき、みんなで朝ごはん。

バターをうっすら塗って、仕込んでおいたジャムをたっぷりのせていただく。

豆乳を入れた温かい紅茶を一口。

 

ほうっとする幸せの時間。

 

平日はごはんと味噌汁と決めているから、休みの日はコーヒーや紅茶を丁寧に入れて

いつもと違う朝の時間をゆっくり味わうのがささやかな楽しみとなっている。

週末の朝のルーティンワーク

朝食の前に回しておいた洗濯物がそろそろ仕上がった様子。

休みの日の洗濯物干しは夫に任せて、朝食の後片付けの仕上げにシンク磨き。

 

水回りはクエン酸水をスプレーしながらお掃除したら、それぞれの部屋にざっと掃除機をかけ、床を拭く。

どこからか持ってきたハンカチで、娘もせっせと床拭きのお手伝い(をしているつもり)。

 

砂埃の溜まる玄関は、ほうきよりも濡らしたウエスでドアから床まで一気に拭きあげるのが一番。

 

仕上げに柑橘系のアロマオイルを垂らすと、

お部屋がふんわりと爽やかな空気に包まれるのを感じて嬉しくなる。

 

ベランダの物干しに酸素系の漂白剤につけおきしたバスタオルが

色良く風にたなびいているのを見ると、心もすっきり気持ちよい。

朝のうちに、お昼ごはん用のおにぎりをお弁当箱に詰めておく。

これさえあれば、急にお出かけする気分になった時も慌てずに済む。

それから麦茶を入れた水筒も。カラン、と響く氷の音が涼しげ。

 

今日は夫もお休みなので、シェアリングカーで、自然を求めていつもより少し足を伸ばしてみることにした。

お出かけに欠かせない持ちものたち

娘の水遊び用のお着替えとおもちゃに紙おむつ、レジャーシート。

日焼け止めは紫外線吸収剤不使用のものを。

万が一の時のために保険証や常備薬、簡単な救急セットが入ったポーチも一緒に、撥水加工された大きめのトートバックにざっくりと入れる。

 

お昼ごはんは、さっき握ったおにぎりにお漬物、焼き海苔、カトラリーをランチバックに入れる。ひんやりして気持ちいいので、お手拭き用のおしぼりは保冷バックに。

 

おやつのドライフルーツとおせんべいは娘のリュックサックへ。

今食べたいと封を開けようとしつつも「だめだめ、ピクニックにいってから」とつぶやく娘。

 

私も小さいころから大好きだった林明子さんの『おでかけの前に』という絵本の、

お気に入りのセリフ。

出先の小さな消費を減らす

夫は道中のおともに、水出しアイスコーヒーをボトルに入れる。

 

今日は特別、娘の好きな紫蘇ジュースも持って行こう。

トロリとしたシロップを小瓶に入れて、大人用には炭酸水メーカーで強めの炭酸水を作る。

 

以前は通販で500mlのものをまとめ買いしていたけれど、飲み終わった空のペットボトルがゴミ箱にどんどん溜まっていくのを見て、半年ほど前に「soda stream」を購入した。

一ヶ月に20本飲むとして、一年で240本、10年で…想像すると相当な量になる。

 

出先でもおにぎりやちょっとしたおやつ、飲み物があれば

夫や娘のお腹すいた〜という声にもすぐに応じることができる。

そのおかげか、ちょっとした口さみしさにコンビニに寄る機会はほとんどない。

 

帰り道に買い物をするかもしれないから、エコバックも忘れずに。

少し落ち着いたとはいえ、まだまだ強烈な残暑の日差し。

公園の浅い水路とは違う、森の中の清流に夢中になって遊んでいる娘と夫の姿を見守りつつ、

足をちゃぷんと水の中へ。ひんやりと心地よく、体から熱が抜けていくのを感じる。

 

お昼ごはんは、木陰にシートを広げて。

なんでもないいつものおにぎりだけど、パリパリの海苔を巻いて、きゅうりの浅漬けと交互に頬張れば何個でも食べられてしまいそう。

たっぷり遊んで、帰りの車が動き出した途端、眠りに落ちる娘。

その合間に気になっていたカフェのドリンクをお持ち帰りで。

 

ストロー以上に大量消費されている使い捨てのプラスチックカップ。

最近気になっているstojo(ストージョ)の折りたたみカップを手に入れたら、カフェ用にも持ち歩くことを習慣化したい。

 

助手席に移動してドリンク片手に子どものこと、仕事のこと、これからのこと、他愛もない話もぽつぽつと。

実はこっちが楽しみだったりする、ささやかな夫婦の時間。

疲れを感じる前に荷物のリセット

家に着いたら、その勢いでお片づけ。

帰りに道の駅で買った野菜は冷蔵庫へ、空っぽのお弁当箱は洗って陰干し。

濡れものはすぐに洗濯機へ。

 

順番にサッとシャワーを浴びたら冷えた麦茶を一口飲んで、夕ごはんの仕度。

片付けた側から床いっぱいにおもちゃを広げていく娘の姿を横目に、

箱に残り少なくなったお素麺をゆがく。

付け合せはきゅうりと炒り卵と蒸し鶏、それにたっぷりの薬味。

あんなにわさわさ茂っていたベランダの大葉も、楽しめるのはあと少し。

 

そして、大根おろしたっぷりの夏野菜の揚げびたし。

 

かぼちゃを素揚げした横から、娘の手が伸びてくる。

「あついよー!」と声が飛ぶ。

 

この揚げ浸しをぶっかけみたいに麺の上に乗せて、刻んだ大葉と一緒に食べると

もう夏を丸ごと頬張っているかのような美味しさ。

わが家のお素麺にいつからか欠かせなくなった。

ほっと一息、夜のお茶時間

食後の洗い物は夫が担当。

その間に絵本を読んで、娘の寝かしつけ。

 

このまま寝てしまってもいいのだけれど、せっかくのお休み。

ちょっぴり夜の時間も楽しみたい。

 

スマホをoffにして、その時の気分に合った飲みものとちょっとした読み物なんかを用意して椅子に腰掛ける。

夏は意外と冷えがちだからか、温かい生姜入りのほうじ茶が体にじんわり沁みて美味しい。

 

最近のお気に入り、デーツも一粒。

口の中に広がる甘さが一日の疲れを癒してくれる。

 

雑誌を十数ページ読み進めたところで、眠気がやってきた。

ちょっとずつしか進まない本を閉じて、布団に倒れこむ。

 

たまにはストレッチもして……と考える間もなく、深い眠りに落ちた。

Homeカテゴリも、今回でおしまいです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

次回からは、Art&Cultureのカテゴリでお届けします。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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