野生のアフリカゾウを絶滅の危機から救おう! 滝川クリステルさんビデオメッセージ 先進国日本が世界最大の象牙販売国となっている現実
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野生のアフリカゾウを絶滅の危機から救おう! 滝川クリステルさんビデオメッセージ

滝川クリステルさん(一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル代表理事)

野生動物の違法取引防止を目的に活動している環境保全団体「WILDAID」と、アフリカゾウの密漁防止及び象牙の消費をなくすことを目指しているNPO法人「アフリカゾウの涙」は、日本の象牙市場閉鎖を後押しすることを目的としたキャンペーン「#私は象牙を選ばない」を日本で本格的に展開するにあたり、8月8日午後、丸の内の日本外国特派員協会でその発表会を開催しました。

左から、ルポライターの三浦英之さん、WILDAID日本代表の山脇愛理さん、WILDAIDチーフ・プログラム・オフィサーのジョン・ベイカーさん、トラ・ゾウ保護基金事務局長の坂元雅行さん

依然として後を絶たないアフリカゾウの密漁

野生のアフリカゾウはこの100年間で3%までに減少し、今もなお15分に1頭のペースで何万頭ものアフリカゾウが象牙の需要を満たすために密漁されています。そして、このままでいけば10年も経たないうちにアフリカゾウは絶滅してしまうことが危惧されており、その保護と対策は全地球規模の緊急課題となっています。

こうした中、世界最大の象牙販売国となっているのが日本です。日本では国内で取引される象牙の約80%が印鑑によって何気なく消費されていますが、ほとんどの日本人はそのことを知りません。

象牙の販売問題に関しては、すでに1989年、象牙の取引が全面的に禁止され、加えて2016年のワシントン条約締結国会議Cop17においてアメリカとアフリカ諸国32か国から成る連合体が「全ての国が国内の象牙市場を閉鎖するように勧告すべきである」という提案をし、満場一致で採択されています。これによって象牙の販売禁止の機運が高まり密漁問題は落ち着くのではないかと思われましたが、それでもなお特殊な主張をし、依然として象牙の販売を行っている国が他ならぬ日本なのです。

「市場閉鎖決議はわが国を対象としたものではない。日本に大量の象牙が入ってきているという証拠はない。日本では万全の象牙取引の管理を行っている。したがって、日本の象牙市場というのは象牙の密漁にも象牙の違法取引にも一切関係のない市場である」

これが現在の日本政府の見解です。

「日本人はどうして象牙を買うのですか?」

発表会にはWILDAIDチーフ・プログラム・オフィサーのジョン・ベイカーさん、WILDAID日本代表の山脇愛理さん、記者・ルポライターの三浦英之さん、トラ・ゾウ保護基金事務局長の坂元雅行さんが登壇、さらにはアンバサダーとして書家の岡西佑奈さん、パラリンピック日本代表銀メダリストの上原大祐さんが出席しました。

左から、WILDAID日本代表の山脇愛理さん、WILDAIDチーフ・プログラム・オフィサーのジョン・ベイカーさん、トラ・ゾウ保護基金事務局長の坂元雅行さん

書家の岡西佑奈さん Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA) 

パラリンピック日本代表銀メダリストの上原大祐さん Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA) 

「牙 アフリカゾウの『密漁組織』を追って」の著者・三浦英之さん

その中で、2014~17年に朝日新聞のアフリカ特派員としてヨハネスブルグを中心に活動、アフリカゾウが激減している現実を取材して「牙 アフリカゾウの『密漁組織』を追って」という本にまとめた三浦さんが、現地で目の当たりにしてきた現実を赤裸々に語りました。

「どうしてこういうことが起こるのか、アフリカゾウの密漁の現場を取材している時、サタオという世界でも突出した大きな牙を持ったゾウが、顔面を抉り取るようにして牙を抜かれて殺されてしまいました。とてもショックでした。しかし、これがアフリカの現実なのです。

エボラ熱に代表される病気とか内戦とかアフリカにはいくつもの危険な取材がありますが、アフリカゾウの密漁の取材はその中でも最も危険なものです。何しろ、取材中に狙われたらブロックすることができませんから。本の中でも紹介しましたが、国立公園で働いているレンジャーたちも密漁者との銃撃戦が日常茶飯事で、常に命懸けなのです。

取材を進めていた時、ある人にこう聞かれました。『日本人はどうして象牙を買うのですか?』、今、アフリカのテロリストの資金源の40%は象牙の密輸によるものです。日本からすればアフリカは遠いですが、日本がやっていることがアフリカゾウを絶滅の危機に陥らせ、テロリストの資金源となって彼らの活動をサポートすることとなってしまっています。今回の本の中で私が最も伝えたかったことは、まさにその現実でした。

世界中に1か所でも象牙市場が残っている限り、アフリカゾウの牙には金銭的な価値が付いてしまいます。日本は今こそ市場を閉める決断をしなくていけません」

ルポライターの三浦英之さん Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA) 

滝川クリステルさんもビデオメッセージで登場

発表会には、前日、衆議院議員・小泉信次郎さんとの結婚を発表したばかりの滝川クリステルさんもビデオメッセージで登場しました。

「外国では、日本人は動物への関心が少ないといわれます。たしかに私自身も日々感じていることなのですが、私たちの日常生活にあふれているいろいろなものが、これがいったいどうやってここに来たのかと、そこまで意識して生活している人はそんなに多くはないような気がします。しかし、少しでもそこに気持ちを持っていこうとすると、いろいろな過程が見えてくるものなのです。

今、さまざまな動物の保護に対して世界は警鐘を鳴らしています。野生の動物が減ってきているからです。そして、彼らの体の一部が私たちの生活の身近なものになっているのです。

例えばその1つが象牙です。私たち日本人は象牙を使ってハンコを作り、毎日の生活でそれを何気なく使っていますが、そのために多くのアフリカゾウの存在が危ぶまれているという、そんな現実があります。でも、ほとんどの日本人にはそこに気づこうという意識がありません。

この地球上には自分たち人間だけではなく、いろいろな生き物が共存しています。人間としては、そうした生き物たちのことを軽んじるのではなく、一緒に生きていく仲間として目を向け、彼らのこともきちんと考えなければ、その数はどんどん減っていってしまいます。危機が迫っているのです。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えようとしている日本が、ここで声をあげることは決して恥ずかしいことではありません。むしろ、積極的にしなければいけないことです。私たちは今どうすべきなのか、賢い選択をするのか、それとも、このまま何もせずに今まで通りに暮らしていくのか。今こそそれを真剣に考えるべき時だと思います。

皆さん、ぜひ一緒に手を取り合って、この問題に立ち向かっていきましょう!」

 

広がりを見せる「♯私は象牙を選ばない」キャンペーン

「♯私は象牙を選ばない」キャンペーンでは、すでにその一環として今年4月から象牙問題の真実を伝えるプロジェクト「ハンコグラフ」特設サイトを通じての署名活動を推進しており、現在6300人を超える人々からの署名が集まっています。

象牙がサステナブルはないことが世界的にも認められ、アフリカゾウを守るためにワシントン条約締結国会議での決議に準じて、日本国内でも象牙の販売をやめることに賛同した人にはウェブサイト上で署名を提出することができます。

WILDAIDとアフリカゾウの涙では、3万人以上の署名が集まり次第、環境省と内閣総理大臣に署名を提出することとしています。

さらに、キャンペーンでは「#私は象牙を選ばない」という宣言をする「#REDonNOSE」運動も実施します。日本国内の象牙販売をやめることに賛同する人は、象牙を選ばない証として、印鑑の朱肉や血液をイメージした赤いステッカーをゾウの象徴である鼻に貼る、あるいは朱肉などにより鼻を赤く塗ることで運動に参加できます。

また、今回この運動に合わせて「#REDonNOSE」運動特製ステッカーを作成し、多くの人に配布し、鼻に貼ってもらいその様子を発信していきます。今後、「ハンコグラフ」特設サイト上に「#REDonNOSE」運動の様子を随時アップしていく他、各種のイベントを通じてこの運動を広げていくとしています。

13名の公式賛同者が活動を支援

「♯私は象牙を選ばない」キャンペーンには現在、以下の13名の著名人が公式賛同者としてその活動を支援しています。

石井竜也さん(ミュージシャン・アーティスト)

木佐彩子(アナウンサー)

高橋智史さん(フォトジャーナリスト)

米倉誠一郎さん(経営学者・一橋大学名誉教授・法政大学教授)

上原大祐さん(パラリンピック銀メダリスト)/石井竜也さん(ミュージシャン・アーティスト)/岡西佑奈さん(書家)/木佐彩子(アナウンサー)/佐藤慧さん(フォトジャーナリスト)/ジャッキー・ヒョンさん(モデル・俳優)/高橋智史さん(フォトジャーナリスト)/滝川クリステルさん(一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル代表理事)/長谷部健さん(渋谷区長)/保坂展人さん(世田谷区長・教育ジャーナリスト)/廣瀬俊朗さん(元ラグビー日本代表選手)/山村浩二さん(アニメーション作家・絵本作家)/米倉誠一郎さん(経営学者・一橋大学名誉教授・法政大学教授)(五十音順)

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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