現状を変えたい人に。自分から動き出したくなる映画『女たちの都〜ワッゲンオッゲン〜」
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
6,280 view
現状を変えたい人に。自分から動き出したくなる映画『女たちの都〜ワッゲンオッゲン〜」

熊本県天草市牛深。かつては豊富な漁獲量を誇り、豪華絢爛な花街が栄えた地です。しかし今では漁獲量が減り、仕事も減り、さびれた衰退都市になっている……。そんな天草を舞台に、見終わった後に「よし、私もやらなきゃ!」と元気になれる映画ができました。今回はその映画、『女たちの都〜ワッゲンオッゲン〜』を紹介します。

天草に暮らす弓枝は、ウツボ屋の女房として店と家庭を切り盛りし、夫の晃司と二人暮らし。弓枝の仲間の俊恵は漁師の徹也の元に嫁いで10年経つも子どもができず、同居する義母との関係も一触即発状態。アネさんと慕われるスナックのママゆり子にも浮いた話題はありません。

町で祭りをやってもいまいち盛り上がらないし、観光客もポツポツ。みんな町の活性化を望んではいるものの、男たちは口ばかり達者で飲んでばかり。でも弓枝だけは、どうしても本気で活性化に向けた何かをしたいと考えていました。なぜなら、大学進学のために都会に送り出した一人娘の美香に、地元に帰ってきてほしいから。とはいえ、町は閑散として就職先なんて考えられない状態。なんとかしたい……と弓枝は考え続けます。

祭りの夜、男たちが宴会で騒いでいる裏で、台所では女たちが世間話に花を咲かせます。話題はいつも「町の活性化」。近くにある築100年の元遊郭「三浦屋」が解体されるという話題から、ここ天草牛深がかつて花街だったということを弓枝は思い出します。花街があれば、人がやってきて金が回り、金が回れば町の経済がよくなって、就職先もでき、美香も帰ってこられる! そう考えた弓枝は俊恵とゆり子に「花街を復活させて町おこしをしよう」を持ちかけます。

 

そんななか、弓枝とゆり子の旧知である晴美が離婚を機に東京から戻ってきます。晴美が2人に気づかせたのは、天草の豊かさ。天草の野菜の美味しさや自然とともに生きることの素晴らしさ。地域の人との交流が残っていることの温かさ。晴美も加わって、弓枝と仲間の無鉄砲で底抜けに明るい地域活性計画が始まります。

姑や夫との気持ちのぶつかりあいがありながらも、芸者をインターネットで募集したり、食材を地元農家から集めたりしながら、料亭「三浦屋」を盛り上げることにやりがいを見つけて輝きだす弓枝たち。そう簡単にはものごとは進まないのですが、目的に向けて行動を起こすことが、大事だと強く伝わってきます。なにより、弓枝演じる大竹しのぶさん、ゆり子役の松田美由紀さん、俊恵役の西尾まりさん、晴美役の杉田かおるさんという女優陣の小気味よいセリフ、演技がすばらしい!

『現状を変えたい』という思いを持っている人は多いはず。「他力本願ではなく、勇気を出して自分から動いてみたら?」と背中を押してほしい人にオススメです。

 

監督:禱映/プロデューサー:小泉朋/企画:福田智穂/脚本:南えると、禱映/音楽:渡邊崇/撮影:葛西誉仁/照明:蒔苗友一郎/録音:山田幸治/美術:津留啓亮/編集:小堀由起子/助監督:高明/制作担当:篠宮隆浩/衣装:星野和美/メイク:及川奈緒美/プロデューサー補:福嶋美穂/エンディングテーマ:MICA「虹の花」/協力:天草フィルム・コミッション STORIS/企画・製作:テトラカンパニー/製作:あまくさ映画製作支援の会/配給:株式会社映画24区、アルゴ・ピクチャーズ/宣伝:アルゴ・ピクチャーズ

協賛:天草宝島観光協会/ダスキン/天草信用金庫/天草ケーブルネットワーク/HERO海 助成:文化芸術振興費補助金

(C)2012「ワッゲンオッゲン」製作委員会
【2012年/日本/103分/DCP/ビスタ】
公式HP:www.jaijai-movie.com  公式facebook: http://www.facebook.com/jaijai.movie 

FelixSayaka

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (第1話)逆張り者
独自記事 【 2025/9/5 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (序章)最初の関門
独自記事 【 2025/8/31 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...
持続可能な酪農の実現を支える明治の取り組みと、乳業の歴史
sponsored 【 2025/9/3 】 Food
乳製品やチョコレートなどの食品を取り扱うメーカーである明治(Meiji)。大ヒット商品でもある「明治おいしい牛乳」や「明治ブルガリアヨーグルト」などは冷蔵庫に常備され、マストアイテムになっている…なんて家庭も多いのでは?そんな私たちの日常生活に欠かせない明治グループは、2021 年から「健康にアイデアを」をグループスロ...
【単独取材】料理に懸け30年、永島健志シェフが語る美食哲学
独自記事 【 2025/10/9 】 Food
この取材は、かつて学校が苦手な不良少年だった、永島健志さんが、料理という表現と出会い「世界のベスト・レストラン50」で世界1位を5度獲得したスペインのレストラン「エル・ブリ」で修業し、帰国後に体験型レストラン「81」を立ち上げた貴重な経験を語って頂いたものである。
アラン・デュカス氏が登壇「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク2025」 記者発表会レポート
INFORMATION 【 2025/9/15 】 Food
今年で開催15回目となる「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」は、少し敷居が高いと感じてしまう人もいるフランス料理を、馴染みのない人にも楽しんでもらいたいという思いから誕生したグルメフェスティバルです。期間中(9月20日〜10月20日)は、参加しているレストランにて特別価格で、本格的なフレンチのコース料理を...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (第2話)新天地
独自記事 【 2025/9/25 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...

次の記事

美食礼賛だけではない。『美味しんぼ』で食の安全性を学ぶ
オーガニックコスメって、何が良いの?

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます