[エシカ編集部 体験企画]東京国立博物館 法隆寺宝物館で開催された「日本のものづくりの伝統と革新が織りなす”至高の晩餐会”」
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[エシカ編集部 体験企画]東京国立博物館 法隆寺宝物館で開催された「日本のものづくりの伝統と革新が織りなす”至高の晩餐会”」

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

明治5年(1872年)に開館して以来、150年以上の歴史を持つ東京国立博物館。その法隆寺宝物館をサントリーが貸し切り、1日限りの特別な晩餐会を開催しました。ドリンクの「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」を主役としたスペシャルコースを手掛けるのは「世界のベスト・レストラン50」で世界1位を5度獲得したスペインのレストラン「エル・ブリ」で修業し、帰国後に体験型レストラン「81」を立ち上げた料理人・永島健志氏。“伝統と革新”をテーマに、法隆寺や法隆寺宝物館の収蔵品に着想を得た特別なコース料理をエシカ編集部が体験してきました。

国宝と重要文化財の宝庫、法隆寺宝物館

多くの国宝や重要文化財を有する上野の東京国立博物館は、本館、平成館、東洋館、法隆寺宝物館、黒田記念館、表慶館と、全部で6つの展示館で構成されています。今回の晩餐会の舞台となった法隆寺宝物館では、明治11年(1878)に奈良の法隆寺から皇室に献納された宝物約300件が収蔵・展示されており、7世紀(飛鳥時代)の貴重な宝物が数多く含まれていることが特徴です。中でも1階の第二室は、暗い中で48体もの観音菩薩立像が静謐に並んでいる、圧巻の展示となっています。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

水が浅く張られた水盤が広がり、その向こうに門構えのモダンな佇まいで建つ宝物館。建築を手がけたのは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の増改築やGINZA SIX、鈴木大拙館などを設計したことでも有名な谷口吉生氏です。(ちなみに、68年に開館した東洋館の方は吉生氏の父親である谷口吉郎の設計によるものであり、宝物館は東洋館との意匠的な繋がりも意識されてデザインされています。)谷口氏はこの設計をするにあたり、瓦屋根や障子を使わずに日本的なものをどう表現するか、そして国の博物館の品格を与えるために、整然とした何かオーダーがある建築を、ということを意識したのだそう。さらには、文化財の保存において温湿度や光による劣化や虫害を防ぐことが最重要であるという一方、貴重な文化財を公開・展示して後世にその価値も伝えなければならないという、2つの相反する使命がありました。そのため、展示室と収蔵庫は石とコンクリートで堅牢に覆い、その反面、外側はガラスを全面にした光溢れる開放的なロビーとして構成されています。そして博物館をより身近に感じてもらえるようにと、谷口氏はこの広い空間を民間主催のパーティーなどで貸し切ることができるようにするという提案もしていました。今回の晩餐会では食事のあと、閉館後のこちらの宝物館を特別に貸し切りで見学できる時間も設けられており、門戸を広く開放したいという谷口氏の想いをまさに受け取るかのように、伝統を感じつつも革新的な体験ができる場が設けられたのでした。

「伝統と革新」を贅沢に体現した、「81」永島シェフによるコース料理と空間を堪能

次の新しい日本というものを考える、をコンセプトに日本の国番号である+81から屋号が名付けられたレストラン「81(エイティーワン)」。オーナーシェフの永島健志氏は海上自衛隊の護衛艦で調理室への配属をきっかけに料理の道へと進み、その後は「世界のベスト・レストラン50」で過去5回、世界第一位に選ばれたスペインの三つ星レストラン「エル・ブリ」で修行。ユニークな経歴を持つ彼が、独立後に池袋の要町からスタートした81は、その後も、広尾、ニセコと場所を変え、独自のアーティスティックな感性で唯一無二のサービスを提供し続けています。

ウェルカムドリンクのマスターズドリームからスタートしたコース料理は全部で4品。まずはビールと相性抜群の枝豆を使った夏らしい前菜を楽しみ、鮎を包んだ生ハム、トリュフ添えの和牛を使ったラグーソースのフリッジとメインに舌鼓をうちます。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

暑い中やってきた一日の宵の瀬にビールを飲むとそれ単体でも十分美味しいと感じますが、とうもろこしや枝豆といった夏野菜や、少し濃いめに味付けがなされた生ハムに鮎や紫蘇のバジルソースなどのメイン料理と合わせると格別の旨さとなり、思わず飲み過ぎてしまいそうに。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

さらにラストには驚きの、ビール(マスターズドリーム)のシロップを添えたクリームチーズのムースでフィナーレという、初めての食体験が詰まった特別なコース料理でした。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

今回のイベント、日本のものづくりの“伝統と革新”を体感できる“至高の晩餐会”「ARTISTIC JAPAN by MASTER’S DREAM」第一弾を監修した料理人・永島健志氏のethica編集部インタビューに続きます。

文:神田聖ら(ethica編集部)/企画・構成:大谷賢太郎(ethica編集長)

<参考書籍>

谷口吉生(2019) . 『私の履歴書』. 淡交社.

古谷誠章 対談集(2014). 『十二組十三人の建築家』. LIXIL出版.

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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