持続可能な酪農の実現を支える明治の取り組みと、乳業の歴史 Meiji's Sustainable Dairy Story Presented by Meiji Holdings
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持続可能な酪農の実現を支える明治の取り組みと、乳業の歴史

乳製品やチョコレートなどの食品を取り扱うメーカーである明治(Meiji)。大ヒット商品でもある「明治おいしい牛乳」や「明治ブルガリアヨーグルト」などは冷蔵庫に常備され、マストアイテムになっている…なんて家庭も多いのでは?そんな私たちの日常生活に欠かせない明治グループは、2021 年から「健康にアイデアを」をグループスローガンに据えて、事業を通じて、「⼈」だけではなく「社会」や「地球」の“健康”にも⽬を向け、これらの全てが健康である状態の実現を目指して様々な取り組みを行っています。そしてもちろんその中には、重要な事業の一つである酪農乳業を持続可能に発展させるための支援活動もあります。今回は、乳製品にまつわる明治の様々なサステナブルな取り組みについて、歴史を紐解きながらご紹介していきます。

明治の創業と乳製品製造への姿勢

百年以上の歴史を持つ明治は、創業間もない1917年には練乳の製造を開始し、その後も1920年代から「明治メリーミルク」や「パトローゲン」(粉ミルク)といった乳製品を製造していました。そして1928年には「明治牛乳」を、1932年には「明治バター」の販売も開始しています。1945年の戦後以降は学校給食に牛乳が導入されたり、酪農家を資金的に優遇する政策が取られたりと、生産と消費が飛躍的に伸びた乳製品ですが、明治が一企業としてその乳業界の一翼を担い、敗戦後の物資不足の頃から人々の栄養と健康に寄与してきたことは想像に難くありません。そんな乳製品の歴史を今日も刻み続けている明治は、実は酪農乳業を持続可能に発展させるためのさまざまな支援活動にも取り組んでいるのです。

その商品の一つに「明治オーガニック牛乳」があります。北海道網走郡津別町の有機酪農家の人たちと作った有機JAS規格(有機食品について農林水産大臣が定める国家規格)の認証牛乳で、有機農法の考え方に基づいた方法(例えば、化学肥料や農薬を使わずに生産された飼料を与えた牛を基本的に放牧して育てる、予防を目的とした抗生物質等は使わない、等)で飼育された乳牛から搾った生乳のみを使用している牛乳です。

「牛にもやさしい」、「環境にもやさしい」という考えのもと、社内で構想が練られ始めたのが1997年のこと。その背景には、大量生産・大量消費が進む中でその弊害として公害や環境破壊も引き起こされているという現状への危惧がありました。自然にやさしくて体に良い商品を作るということの意味を改めて問い直し、本来何をするべきなのかを考えなければならない……、そのような思いから社内で議論がスタートし、オーガニック牛乳の開発に結びついたのだそう。そしてその想いに共感し、協力してくれる農家を全国各地で探したところ、北海道網走郡津別町の酪農家との出会いがあり、本格的にオーガニック牛乳を作ることになったのです。

明治と共に、ヨーロッパにも海外研修に参加した石川賢一さん(津別町有機酪農研究会会長 )

開発にあたっては、オーガニック先進地であるヨーロッパにも研修へいき、有機を初めさまざまな種類の牛乳を生産する様子や、流通システムを学んで帰国。しかし日本ではオーガニック牛乳の規程も決まっていない状況のため、手探りで一から作り上げていくことに苦労をします。そうして開発を始めてから5年、構想からは9年経った2006年に有機畜産物の規格を取得し、ついに「明治オーガニック牛乳」として商品化が実現したのでした。

家庭からバターが消えた…! 酪農乳業の厳しい現実

2014年に起こったバター不足。ご記憶にある方も多いことでしょう。この出来事は酪農業界にも衝撃を与えました。というのも国内の生乳生産量は1996年にピークを迎えて以降、年々減少傾向にありました。その問題の背景には、飼料価格の高騰や、酪農家の戸数が減りつつある中で後継者を確保することの難しさ等々……、様々な要素が絡み合っていました。

酪農家が直面する課題は「人材マネジメント」と「経営管理」にあった

明治には社内に酪農部があり、生乳の調達業務を専門に行っている部署があります。酪農乳業が直面している課題を自分ゴトとして捉えその解決を模索するなかで、農場で働く人材のマネジメントや経営管理といった課題に着目をしています。

離農して事業を閉じてしまう農家がある一方で、農家同士が統合して規模を拡大するケースもあります。急に規模が拡大した農家で新たな問題となるのは、働き手のマネジメントや経営管理でした。今まで目の届く範囲で家族経営をしていた農家が新しく人を雇い、違うノウハウを持つ農家と統合して大規模経営になるのだから、当然新しいルールや体制を作る必要が生じる。ただその経験がないため、何をどう進めればいいのか分からない……。現場で働く人々の、そうした悩みが見えてきたのです。

持続可能な酪農経営を支援する「Meiji Dairy Advisory(MDA)」

その課題を解決する方法として2018年にスタートしたのが「Meiji Dairy Advisory(MDA)」です。酪農現場の人材マネジメントに焦点を当てた、「持続可能な酪農経営」を支援する活動です。この活動は、農場スタッフをはじめ、経営陣や後継者、果ては組織全体が成長できるように、日常の問題の改善や経営理念やビジョンを策定、リーダーや管理職の育成など、様々な経営サポートを全面的に行うものです。

具体的には、経営者が従業員に新年度目標を発表する「キックオフ会議」の開催や、外国人労働者へ向けた「技術継承のための勉強会」の実施、乳牛の体調や採食行動チェックなどの現場立会を通じた「カイゼン活動」のサポートなどがあり、働き手の意識やスキルの向上にアプローチしている様子が伺えます。主役はあくまでも一つ一つの農場、一人一人の従業員であり、この取り組みを通じて各々が自分たちに必要な改善を行う習慣を身につけ、自走できる仕組みを整えていくということが肝要です。一時的な解決策ではなく、長期的な視点で組織の土台を底上げするためのこうした支援をしていくことは、「魚を与えるのではなく、釣り方を教えよ」という格言に当たり、まさに持続可能な取り組みであると言えるでしょう。

MDAに取り組む農場は現在56戸に広がっており、それをさらに加速させるために昨年は「MDA COMMUNITY」という、サステナブルな酪農経営に興味がある酪農家が集まるサイトも立ち上がりました。酪農家同士で交流が図れる場として設けられたプラットフォームで、MDAに取り組む酪農家だけでなく、MDAに興味を持っている酪農家や、関係者も登録ができるサービスなのだそう。明治の酪農部に所属する木村康行さんは、このコミュニティを通じて酪農家同士のコミュニケーションをもっと高めたいと、取り組みへの思いを語ってくれました。互いに情報や悩みを共有することで解消への道筋が見つかる。今まで接点のなかった酪農家同士が新たに繋がって関係を構築していくことで、酪農業界全体が活発になっていく。そうした効果も期待できるのです。

商品を通じたサステナビリティの強化

一方で売り場に視点を移して見てみると、明治が商品のサステナビリティを強化していることが伺えます。例えば牛乳ひとつ取ってみても、2002年4月に全国発売を開始したフラグシップ商品「明治おいしい牛乳」が挙げられます。同商品は2022年4月、フードロス削減のために賞味期限を延長して廃棄ゼロを目指すことに加えて、同年7月には、牛乳パックとしてはユニークなデザインである注ぎ口のキャップを、バイオマスプラスチック化することでプラスチック資源循環の強化にも取り組んでいます。

さらに、2022年からは冒頭でご紹介をした「明治オーガニック牛乳」を対象にCFP(カーボンフットプリント)算定にも取り組んでおり、地球温暖化の影響を軽減することを目指してますますその取り組みを加速させています。

当たり前のように生活の中にあった牛乳が、実はこうした環境を守る活動に貢献しているのだということを知ると、ますます牛乳がおいしく、味わい深く感じるような気がします。

こんなサステナブルな活動も

温室効果ガス(GHG)の排出やアニマルウェルフェア、働く人の人権など、酪農乳業に関わってくる課題は様々にある中で、明治が行う活動はMDAや商品にまつわる部分だけにとどまりません。国内外の各種団体と手を取り合い、「サステナブルな酪農乳業」の実現を目指した取り組みを行っています。その一つに酪農におけるGHGの排出削減に取り組む「Pathways to Dairy Net Zero(酪農乳業ネットゼロへの道筋)」への、サポーターとしての参画があります。

2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す「カーボンニュートラル」への取り組みは多くの国が掲げている目標であり、日本政府も2020年にカーボンニュートラルを宣言しています。SDGs17の目標の17番目は「パートナーシップで目標を達成しよう」というものですが、これはあらゆる人の協力が必要なことを示唆しています。地球環境に関係ない人は誰一人としておらず、国や政府はもちろん、企業や市民団体、研究者や地域の人々、学校や家庭、そして一人一人がSDGsやサステナビリティを実践する担い手であり、特に地球規模の目標を達成していくためには協力関係を結んでいくことが不可欠となるでしょう。

明治もこうした外部パートナーと連携することで、今後30年間において酪農乳業セクター・乳製品における温室効果ガス排出量を削減し実質ゼロを目指すという大きな取り組みに、一企業として貢献しているのです。

おいしさと健やかさを両立させる meiji makes milk. meiji makes wellness.

私たちの健康を育んできた牛乳を、飲めなくなる日が来るかもしれない……。いつまでも健やかな環境で牛乳をつくり続けるために、ただおいしいだけではいけないと、明治が打ち立てた新しいスローガンが「meiji makes milk. meiji makes wellness.」です。おいしさと健やかさを両立させるために、具体的に実行していく取り組みとしては、先述したオーガニック牛乳の開発にも関わってくる、土から牛乳づくりを変えるための有機牛乳や循環型酪農の推進、MDAをはじめとした全国各地の酪農家を持続可能な経営につなげる支援と、アニマルウェルフェアを念頭に牛の生活環境を整えることで乳質の向上を目指す取り組み、そして温室効果ガス(GHG)の削減があります。

生産・販売に深く関わる明治だからこそ、業界の先導者として、酪農現場を持続可能にしていく大きなムーブメントを作ろうとしているのです。

私たちが酪農家を応援するためにできること

最後に、持続可能な酪農乳業を実現させていくことへの想いを、明治酪農部の橋口和彦さんにお伺いしました。

「エシカルという切り口もそうですし、そもそも体にいい、栄養豊富な牛乳・乳製品がすぐに手に届くような状態にあってほしいという思いがあります。(牛乳や乳製品を)少しでも多くの方々が口にしてもらって、健康であってほしいし、充実した生活を送ってほしいです。その応援(消費)が酪農家さんたちにとっても非常に有意義なメッセージになっていきますし、その応援に応えるために酪農家さんは今後こういうことをしていこうという新たな目標が生まれてくる。そういういい循環を生み出すためにみなさんの協力をいただければと思います」

取材を終えて

需要が縮小傾向にあるなかで、酪農家の方たちは将来への不安もあれば、励みや目標が失われつつある……、そんな心配な様子も橋口さんは語りました。話を伺うなかで、酪農家の方達を応援するためには一人一人が支援の気持ちを持って、少しでも多く商品を購入する「応援消費」のマインドが必要なのだと強く感じます。需要が増え、市場が盛り上がれば酪農家の方たちの事業への励みにもなるでしょうし、新たな目標にも繋がるかもしれない。そんな大きな循環の中にいる想像を膨らませて、自分にできる小さなアクションとして乳製品を購入していく。そうした日々の消費から出来るサステナビリティへの一歩をいっしょに実践していきましょう。

meiji makes milk. meiji makes wellness.”

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私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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ethica編集部

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