【単独取材】「ヴィーガンアフタヌーンティー」の開発者、東京マリオットホテル 石和悟 ペストリーシェフ
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【単独取材】「ヴィーガンアフタヌーンティー」の開発者、東京マリオットホテル 石和悟 ペストリーシェフ

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

東京マリオットホテルのペストリーシェフ・石和悟(いわ さとる)氏は、緻密なレシピと繊細な味わいのスイーツ、特に評判の高いアフタヌーンティーを手掛けています。季節ごとのテーマ性やヴィーガン対応のスイーツ開発でも注目を集めています。 そんな岩和シェフに、編集部が注目のヴィーガンアフタヌーンティー(Vegan Afternoon Tea)について単独取材をしました。

ヴィーガンアフタヌーンティー開発者・石和悟シェフの想い

——「Vegan Afternoon Tea」のメニュー、どれもとても美味しかったです。アフタヌーンティーは普段から利用することも多いのですが、味わってみて、「胃もたれを感じない」ということが一番の、新鮮な驚きでした。

 

石和シェフ: ありがとうございます。「Vegan Afternoon Tea」を始めたのが2022年からで、今年で4年目となります。私はもともとヴィーガンではありませんでしたが、ヴィーガンメニューを始めるにあたって一ヶ月ほどヴィーガン食を取り入れる生活をしてみました。するとその時期は体調、特に胃腸の調子がよくなったと実感しました。メニュー開発にあたっていくつかヴィーガンメニューというものを試食しましたが、やはりそこまで、美味しい!と感じるものがなくて……。どうしても、パサパサしていたり、フルーツやドライフルーツだけ、といったメニューが多かったので、そうならないような工夫をしてレシピを作ることから始めました。

 

——私も普段、ヴィーガンメニューが選択肢にあれば、できるだけ選んでみるということをしているのですが、基本的に多少味は劣っても仕方ないという認識で、ある意味心構えを持ってチョイスしている部分があります。なので期待をしていない分、思っていたより美味しいな、ということはあるのですが。

 

石和シェフ: やはりそうですよね。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

——ただ、今回のアフタヌーンティーは、バターや卵を当たり前に使われているものと遜色がないだけでなく、それ以上に美味しいと思うもので驚きました。クリームを絞ったマフィンやモンブランなどは、甘さでもっと胃がもたれてもおかしくないはずなのに、あっさりしつつちゃんと甘くて、香りや風味もあり、コクが損なわれていなくて、美味しい。

 

石和シェフ: 毎年進化しながら展開させていますが、いろいろな業者さんが材料の開発を続けているということもあります。4年前のヴィーガンバターなどはシアバターと植物性油脂の塊という感じで、あまり美味しくありませんでした。今はそれにアーモンドオイルやココナッツオイル、豆乳などを工夫して添加した食べやすいバターが作られています。そういった良い材料があると、私たちも美味しいものが作りやすくなってくる。それも大きいですね。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

——シェフの方にとっては素材そのものがレベルアップすれば、作るお料理もどんどん美味しいものを作ることができるのですね。

 

石和シェフ: はい。もちろんそれもありますし、ヴィーガン自体に「素材そのものを活かして食べる」という特性もありますので、例えばモンブランの栗や芋のメニューなどは特に、素材の味をどう活かせるかを考えて作っています。モンブランは「中山栗」という、愛媛県の和栗を使用していて、この栗自体がとても甘いので、これなら多量の砂糖を加えずに自然な甘さを表現できると考えました。甘味で言うと少しだけメープルシロップを加えるのですが、それを合わせても栗の香りがずっと強いので、ヴィーガンモンブランを作るならこれしかないな、と。

——なるほど。モンブランが本当に美味しくて、買って帰りたいと思いました。豆乳や米粉や米糀など、使用されている素材全てが、口当たりや食べ心地があっさりしている要因なのかなと思いました。

 

石和シェフ: そうですね。動物性食材を使用せずまたグルテンフリーでもあるので、とても好評をいただいております。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

——確かに、香りがいいのはもちろんですが、食感の素晴らしさに感激することも多かったです。セイボリーのヴィーガンサーモンは、こんにゃくのはずなのに、ちゃんとサーモンに感じられるという点や、大豆ミートの鶏肉風も、食感を本当に努力されて作られているのだなということが食べていて伝わってきました。もちろん見た目も拘られていて、華やかさをプラスするヴィーガンキャビアが乗っていたり、サーモンの白い筋が再現されていたりと、細やかな職人技としての工夫が感じられます。反響はいかがでしょうか。

 

石和シェフ: セイボリーもスイーツに合わせてバランスよくお召し上がりいただけるラインナップが好評です。見た目や味に妥協しないヴィーガン素材のセイボリーを自信を持ってご提供しております。おかげさまで「Vegan Afternoon Tea」は、昨年を上回るご予約をいただいており、ヴィーガンの方のみならず初めてヴィーガン食をお試しになる方や、アレルギーお持ちの方にもお楽しみいただいております。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

——ビーントゥバーでチョコレートを製造されていることもかなりのこだわりですね。

 

石和シェフ: はい、こだわっています。自分たちでカカオニブから石臼でひき、約48時間かけてすり潰していきます。すり潰したカカオニブとカカオバターと、てんさい糖を加えます。自分たちで作れば添加物を抑えながら材料もシンプルに作れますので、安心・安全で美味しいものが出来上がります。ビーントゥバーを始めたのも4年ほど前で、「Vegan Afternoon Tea」を始動することになったすぐ後から始めました。ビーントゥバーで作られたチョコレートはアフタヌーンティーだけでなく、これから発売されるクリスマスケーキにも使用されます。今年(2025年)の1~2月にはビーントゥバーチョコレートのアフタヌーンティーというシーズナルメニューも展開していたのですが、今後もまた実施されるかもしれません。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

——素敵ですね。そちらも機会があればぜひ食べてみたいです。今後も注目してきたいと思います。お話を伺っているとやはりヴィーガンにチャレンジするのには手間も費用もかかるのだなと感じます。

 

石和シェフ: そうですね。ヴィーガンの材料を使ってムースやケーキの生地を焼くという時に、大豆やお米の製品が主体となるので、それをどうやって固めてムースや生地を作っていくかという段階で、豆腐の作り方を参考にしました。さらに試行錯誤して色々な材料を加えたりと作業の手間も費用もかかります。ムースを固めるのにもゼラチンが使えないので、寒天などの植物性由来のものを使用するのですが、食感が固くなりがちです。それを柔らかく食べてもらうために配合を工夫しています。甘さを加えるにはメープルシロップかアガペシロップかてんさい糖を使いますが、今は極力甘さを足さずに素材の甘さを活かす作り方を選んでいます。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

——その分素材のポテンシャルを追求していくのですね。確かに、素材の味を感じようと意識すればきちんと甘さはそこにありますよね。農家の方々も育てる段階で糖度をアップする技術や研究を取り入れて努力されている所も増えていると聞きます。サステナブルやエシカルといった世界観や、アフタヌーンティーを楽しんでもらうことへの思いを伺えますか。

 

石和シェフ: 一番にはどんな方にも召し上がっていただきたいという思いがあります。時代の変化と多様性の中でいろいろな考えを持った方がいるので、多彩なアイテムを持つということ、スイーツを食べる機会が全ての方にあってほしいという思いがあります。アレルギーをお持ちの方や、糖分を摂らないという選択をしている方にもそれを食べることによって幸福感を感じていただける。こうしたものがどんどん広がっていってくれたらいいなと思っています。

 

——本日はありがとうございました。

文:神田聖ら(ethica編集部)

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[編集部体験企画]東京マリオットホテルで味わう、全てが植物性由来で作られた「Vegan Afternoon Tea

Vegan Afternoon Tea(2026年2月28日まで)

愛媛県の希少な「中山栗」を贅沢に使用したモンブランをはじめ、すべて動物性の食材を使用せずに仕上げたヴィーガンアフタヌーンティー。
ペストリーシェフ・石和悟のこだわりがつまったスイーツのひとつひとつを、ぜひご堪能ください。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

【スイーツ(上段)】
・中山栗のモンブラン
・さつまいも・栗・かぼちゃ&クランベリーのパフェ
・かぼちゃのガナッシュサブレサンド
・りんごとシナモンのタルトタタン

【スイーツ(中段)】
・ビーントゥバーチョコレートを使用したヘーゼルナッツフィナンシェ
・米こうじプリン 季節のフルーツ添え
・甘酒とさつまいものスイートポテト さざんかの絞り
・栗といちじくのオーツミルクスコーン アップルジンジャーコンフィチュール添え

【セイボリー (下段)】

・プラントベースエッグ&トリュフのサンドウィッチ
・ヴィーガンスモークサーモン バジルの香りヴィーガンキャビア添え
・ひよこ豆のイエロースープカレー
・プラントベースチキンと栗のトマト煮

【お飲み物】 

・「TWG Tea」 ティーセレクション8種
・コーヒーバリエーション5種
※銘柄変更・おかわり自由

時間:【2部制】13 :00~/15 :30~
料金:1名様 8,700 円

東京マリオットホテルで期間限定で味わえる「Vegan Afternoon Tea」はこちら。

https://g.tokyomarriotthotel.com/afternoon-tea

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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