(第5話)新年はハーブでお茶会 【連載】八ヶ岳の「幸せ自然暮らし」
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(第5話)新年はハーブでお茶会 【連載】八ヶ岳の「幸せ自然暮らし」

〜パーマカルチャーを訪ねて〜(※注)

2021年が始まりました!今年はどんな1年になるでしょう。年明け最初のテーマは、体の内側から美しくなるためのハーブティーのお話。

自家栽培のハーブがもつ自然の力で、今年1年を元気に過ごしましょう。薬草のスペシャリスト・四井千里さんにハーブ・ブレンドのコツと効能、美味しい淹れ方を教えていただきました。

前回のパウンドケーキと一緒に新年のハーブ茶会はいかが?

(※注)パーマカルチャー:“パーマネント”(永久)、“アグリカルチャー” (農業)、“カルチャー”(文化)を組み合わせた造語。持続可能な環境を作り出すためのライフスタイルのデザイン体系のこと。

植物がもたらす癒しの効果・自然療法で良い1年を

ハーブティーはしっかり沸かした熱湯をポットに注ぎ、ゆっくり蒸らして香りとハーブの成分を抽出して

豊かな土壌で育った植物には、土の中のミネラルがぎゅっと凝縮されています。

病気とは言えないけれど、最近疲れが取れない、眠りが浅い、頭痛がするなど、毎日忙しく暮らしていると、小さな異変を感じることもしばしば。そんな時、カフェインなどの刺激物を含まないハーブティーを味わってみてはいかがでしょう。ハーブは体の不調を整える民間療法として、昔から活用されてきました。

「ハーブって味がしない」、「美味しくない」と言う声を聞くこともあります。確かに「ミントだけ」とか「ラベンダーだけ」といったシングルハーブティーが苦手な方もいらっしゃるかもしれません。そんな時は、数種類のハーブをブレンドしてみてください。「あ、美味しい!」「この味好き!」という具合に、きっとお好みの味に出会うことができると思います。

ブレンドの注意点は、あまり種類を増やさないこと。多くても3種類くらいから始めてみてください。レモングラスやレモンバーベナ、ミントなどをベースに活用すると飲みやすくなりますよ。ラベンダーやローズなど、華やかな香りのハーブは少量をアクセントに使うのがコツ。

淹れ方の注意点は、ティーポットにハーブを入れてから、しっかり沸騰(95℃以上)させたお湯を注ぐこと。あらかじめティーポットを温めておくといいですよ。また、ハーブの成分を抽出するために、お湯を注いだら必ず蓋をして3〜5分程度蒸らしましょう。

ハーブ初心者には、紅茶とのブレンドもオススメです。いつものティータイムにハーブの香りをプラスしてみませんか?おもてなしにもぴったりです。

紅茶とハーブの美味しい関係

ハーブティーが苦手な人も紅茶にハーブをブレンドすると飲みやすくなります。写真は紅茶と相性がいいレモングラスをミックス

ハーブティーは苦手、というという人にもオススメなのが紅茶とハーブのブレンドです。作り方はとても簡単。クセのないセイロン茶葉などをポットに入れてハーブをプラスするだけ。8:2、9:1くらいの割合で、ハーブは少なめに配合します。

<紅茶に合うハーブ>

  • レモングラス・・・エスニック料理の食材としても人気のハーブ。爽やかなレモンの香りが紅茶の苦味を抑えます。レモングラスには冷え性やむくみを取る働きもあると言われています。
  • ペパーミント・・・ミントのすっきりとした香りは紅茶と好相性。清涼感があり、モーニングティーにもぴったり。朝の目覚めを爽快にしてくれます。
  • カモミール・・・リンゴのような甘い香りが特徴のカモミールは、どんな紅茶とも相性が良く、失敗がありません。穏やかな気分にさせてくれるブレンドです。ミルクティーにしても楽しめますよ。

さて、紅茶とハーブのブレンドでハーブに慣れたら、ハーブ同士のミックスに挑戦してください。今回は、新年に試していただきたい3つのブレンドをご紹介します。体が喜ぶハーブティーの新しい美味しさに出会えるはず!

“香りの女王”がもたらす優雅な気分を味わう

<ミックスするハーブ>

イングリッシュミント+ローズ+ラベンダー+スミレ 

  • イングリッシュミント・・・紫色の芯とやや黒みがかった葉が特徴的なハーブ。クセのない爽やかな風味で、サラダなどにもよく使われます。鎮静作用があり、ミントの成分であるメントールによって頭がすっきり。疲れた時にもオススメ。血行改善効果があり、体を温めてくれます。
  • ローズ・・・愛の象徴、香りの女王として古くから親しまれてきたローズには、心を癒し、元気を取り戻す作用があると言われています。美容成分にも使われ、肌や炎症を抑えてくれる力も。ハーブに少しプラスするだけで、ぐっと華やいだ雰囲気になります。
  • ラベンダー・・・繊細な細い茎に小さな紫の花をたくさん咲かせるラベンダーは、交感神経による緊張をやわらげ、リラックスさせてくれる効果があります。脳のセロトニンを増やす作用があるとも言われ、鎮静作用が期待できます。お休み前にもオススメ。

スミレ・・・恋の媚薬とも言われているスミレは、別名スイートバイオレット。シュガーコーティングしてお菓子に使ったり、エディブルフラワーとしてサラダに加えることも。整腸作用もあります。

イングリッシュミント+ローズ+ラベンダー+スミレのミックズハーブティーは華やかな香りが楽しめる女性にオススメのブレンド

チェンジ!色の変化を楽しむエレガントなブレンド

<ミックスするハーブ>

レモングラス+マロウ+レモンバーベナ

  • レモングラス・・・イネ科の多年草。我が家ではシューッと長く伸びる葉の部分を乾燥させてハーブ用に保存しています。レモンの風味に特有の甘い香りが加わったレモングラスには消化促進や胃のもたれを解消する作用があると言われています。また、カリウムが多く含まれているため、利尿作用があり、むくみを取る効果も。
  • マロウ・・・恋が叶うハーブというロマンチックな異名を持つマロウは、お湯を注ぐとパッと鮮やかなブルーを放ちます。そこにレモンをたらすとピンク色にチェンジするミステリアスなハーブ。粘液を多く含み、咳や喉が痛い時、風邪をひいた時にはちみつを加えて飲むとGOOD。

レモンバーベナ・・・その名の通り、レモンに似た香りを持つハーブ。不安や緊張を解き、落ち着きを与えてくれます。消化器系に働きかけ、乗り物酔いなどにも効き目あり。

レモングラス+マロウ+レモンバーベナのブレンドは爽やかさの中に甘い余韻が漂う味わい。マロウの香りを楽しむ場合は単品で

美と健康と“レジリアンス”

<ミックスするハーブ>

エキナセア+ホーリーバジル+ペパーミント

  • エキナセア・・・北アメリカ原産の薬用植物として知られるエキナセアには、体の免疫力を高め、感染症を予防する効果があると言われています。ハーブティーとして毎日飲むことで風邪予防にも。日本ではまだあまり目にすることはありませんが、オレンジやマゼンダカラーなど、色鮮やかな花を咲かせ、花の部分をハーブティーにします。
  • ホーリーバジル・・・インドの伝承医学、アーユルヴェーダで多く使われるハーブのひとつ。抗酸化作用があるため、自然治癒力を高め、肌の老化防止にも◎。お茶以外にもタイ料理などによく使われます。

ペパーミント・・・血行を促進する作用があるため、ハーブティーにブレンドするとぽかぽか体が温まります。風邪のひきはじめにもオススメ。消化器官を整え、食べ過ぎや飲みすぎにも。

エキナセア+ホーリーバジル+ペパーミントのブレンド。免疫力を高めるハーブの組み合わせは、寒い季節の風邪対策にも。毎日飲んで精神力もアップ

香りも種類も効能もさまざまなハーブティーは、淹れている時から良い香りに癒され、心が豊かになります。

ぜひ、皆さんもいろいろなハーブティーを試してみてくださいね。今年1年、自然の力で元気に、健康に過ごせますように。

左から、四井真治さん、畑仕事や料理、家具作りなどにも積極的に取り組む四井家の長男・木水土(きみと)くんと次男・宙(そら)くん、四井千里さん

バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】八ヶ岳の「幸せ自然暮らし」を読む>>>

四井真治

福岡県北九州市の自然に囲まれた環境の中で育ち、高校の時に地元の自然が都市開発によって破壊されてショックを受けたのをきっかけに環境意識が芽生え、信州大学の農学部森林科学科に進学することを決意。同農学部の大学院卒業後、緑化会社に勤務。長野で農業経営、有機肥料会社勤務後2001年に独立。2015年の愛知万博でオーガニックレストランをデザイン・施工指導。以来さまざまなパーマカルチャーの商業施設や場作りに携わる。日本の伝統を取り入れた暮らしの仕組みを提案するパーマカルチャー・デザイナーとして国内外で活躍中。

Soil Design http://soildesign.jp/

四井千里

2002年より都内の自然食品店に勤務。併設のレストランにてメニュー開発から調理まで運営全般に関わり、自然食のノウハウを学ぶ。2007年より八ヶ岳南麓に移り住み、フラワーアレンジメント・ハーブの蒸溜・保存食作り等のワークショップ講師、及び自然の恩恵や植物を五感で楽しむ暮らしのアイデアを提案。

記者:山田ふみ

多摩美術大学デザイン科卒。ファッションメーカーBIGIグループのプレス、マガジンハウスanan編集部記者を経て独立。ELLE JAPON、マダムフィガロの創刊に携わり、リクルート通販事業部にて新創刊女性誌の副編集長を務める。美容、インテリア、食を中心に女性のライフスタイルの動向を雑誌・新聞、WEBなどで発信。2012年より7年間タイ、シンガポールにて現地情報誌の編集に関わる。2019年帰国後、東京・八ヶ岳を拠点に執筆活動を行う。アート、教育、美容、食と農に関心を持ち、ethica(エシカ)編集部に参加「私によくて、世界にイイ。」情報の編集及びライティングを担当。著書に「ワサナのタイ料理」(文化出版局・共著)あり。趣味は世界のファーマーズマーケットめぐり。

<自然の仕組みがわかるオススメの2冊>

パーマカルチャーや土と自然のつながりがわかりやすく紹介されている『地球のくらしの絵本』シリーズ「自然に学ぶくらしのデザイン」と「土とつながる知恵」(四井真治著 農文協)ともに2,500円/税別

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

山田ふみ

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