俳優のレオナルド・ディカプリオも出資するサステナブルなシャンパーニュ・ メゾン「テルモン(TELMONT)」の歴史と挑戦
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俳優のレオナルド・ディカプリオも出資するサステナブルなシャンパーニュ・ メゾン「テルモン(TELMONT)」の歴史と挑戦

1912年にアンリ・ロピタル氏によって設立された、知る人ぞ知るシャンパーニュブランド「メゾン・テルモン(TELMONT)」は、「母なる自然の名のもとに(In Nomine Terrae)」という理念を掲げ、環境負荷を最小限に抑えるための徹底した「持続可能性の革命」を実践している注目のサステナブルなブランド。熱心な環境保護活動家としても知られるオスカー俳優のレオナルド・ディカプリオが出資者として名を連ねたことも話題です。今回はグローバル・エグゼクティブ・ディレクターのジャスティン・ミード氏が来日し、開催されたテイスティング会を取材。改めて、メゾンが歩んできた歴史と、今もなお続けているサステナビリティへの革新的な挑戦を深掘りしました。

シャンパーニュ暴動から生まれたメゾン

テルモン誕生の起源は1911 年に遡ります。その年フランスのシャンパーニュ地方では、一部のメゾンがシャンパーニュ地方外からブドウを買い付け始めたことに反発したブドウ栽培家たちによる大規模な暴動(シャンパーニュ暴動)が発生したのです。その反乱は政府が軍隊を派遣するほどの事態となりました。その運動に参加した栽培家の一人が、創業者アンリ・ロピタル氏。彼はその後、自らの技術とブドウの価値を正当に評価しないメゾンにブドウを売ることをやめ、自身のブドウでシャンパーニュを造ることを決意し、メゾンを立ち上げます。音楽家でもあったアンリは、「自然は自ら楽譜を書く。私はそれを解釈するだけだ」と語り、自然への敬意と芸術的感性をワイン造りに注ぎ込んだのです。彼の革命家とも呼べるその精神は、息子のセルジュ、そして1999 年に4 代目に就任した、農学者でもあるベルトラン・ロピタルへと受け継がれます。現在もその想いは、「持続可能性(サステナビリティ)の革命」として、メゾンの哲学の中核を成しているのです。

Telmont Global Executive Director Justin Meade Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

テルモンが実践するサステナビリティ

「母なる自然の名のもとに」という理念を掲げ、環境負荷を最小限に抑えるための徹底した持続可能性の革命を実践しているテルモンでは、妥協を許さず、業界の常識を覆す数々の取り組みを行なっています。

例えばその一つが包装・ボトルの見直し。「美味しいワインに箱は必要ない」という考えから、ギフトボックスや限定版などの二次包装を完全に廃止し、あくまでも環境負荷を軽減することに注力をします。重さがかさむオリジナルボトルやスペシャルボトルの製造も止め、さらにはリサイクルガラスを全く含まない透明ボトルを廃止し、リサイクルガラスを87%使用する緑色ボトルに統一したことで、CO2排出量を約20%も削減することを実現したそうです。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

ワインの美しい色を確認できない不透明なボトルを採用することは、これまであり得なかった、まさに常識を覆す選択。一見不利なことにも思えますが、テルモンの理念に照らし合わせると、光を通してしまう透明ボトルは中身の劣化にも繋がってしまうし、リサイクル出来ることを加味してもこうした不透明なボトルのチョイスは理に適っているのです。環境ファーストであることはもちろん、そうして開発した世界最軽量(835gから800g へ軽量化)となるシャンパンボトルのデザインはオープンソースとして公開しているというのだから、良いものを広め、環境を良くしていこうというテルモンの本気の心意気が感じられます。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

また、トレーサビリティの観点では、ボトルのエチケットから、アッサンブラージュのヴィンテージ比率、ブドウ品種の正確な割合、デゴルジュマン(澱引き)の日付、ドザージュ(糖分添加量)の正確な量など、醸造に関する全情報を確認することができます。輸送やエネルギーに関しても、環境負荷の大きい航空輸送を完全に停止し、世界最大級の貨物帆船を試験的に導入する、醸造所で使用するエネルギーは100%再生可能エネルギーで賄い、社用車やトラクターも順次電動化を進めるなど、細部にわたる徹底したサステナビリティへの誠実な実践を行なっています。その真摯な姿勢がレオナルド・ディカプリオ氏の共感も呼び、結果的に彼が株主として参画したことでさらにテルモンの名が世に知れ渡ることとなりました。

1999 年に始まったオーガニックへの挑戦

テルモンが次なる挑戦と冒険として掲げているのが、現在70%ほど実現しているオーガニックコンバージョン(有機農法転換)を2031 年までに100%実現するということです。

多くが、一度確立したスタイルを維持するのが常の中、テルモンは日々進化し「作り続ける」ことに価値を見出しているとミード氏は語ります。常に「白紙からスタート」するというテルモンのワイン造りは、特定の味わいをゴールに設定するのではなく「まずブドウありき」で、その年のブドウが持つ個性や物語を最大限に引き出すことを目指しているのだそう。ブドウそのものがワインの方向性を導いていく、という思想を大切にしているというその姿勢は、まさに創始者の残した「自然は自ら楽譜を書く。私はそれを解釈するだけだ」という言葉を現代まで受け継ぎ体現する形で、テルモンの伝統が刻まれ続けているということが良く分かります。

Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

そんなオーガニックシリーズの中でも新作の「レゼルヴ・ド・ラ・テール・ロゼ(オーガニック)」を味わってみました。一般的なロゼ・シャンパーニュより色が淡く、糖分量(ドザージュ)も低度の辛口なため、よりブドウ本来の個性を際立たせようという試みがその味わいからも感じ取れます。口に含めば、リンゴの皮やチェリーを思わせる繊細な香りと、赤系果実のエレガントな風味が漂ってくるのが特徴です。シャンパーニュを通じて、大地とのつながりを感じるひとときをぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

文:神田聖ら(ethica編集部)

編集後記

テルモンは1 月16 日に、シャンパーニュ地方初の「リジェネラティブ・オーガニック認証®(ROC™)」を取得したことを発表した。投資家のレオナルド・ディカプリオ氏は以下のようにコメントをしている。

「リジェネラティブ・オーガニック認証®(ROC™)を取得した初のシャンパーニュメゾンとなることは、テルモンにとって、そしてシャンパーニュ業界全体にとって大きな成果である。持続可能なワインづくりの実践を牽引することで、テルモンは業界の未来を形作り続けている。」

– レオナルド・ディカプリオ(メゾン・テルモン 投資家)

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TELMONT(テルモン)

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私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

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