パタゴニアが見据えるビジネスと地球の未来/ヴィンセント・スタンリー氏(前編) 【サステナブル・ブランド国際会議2020 横浜】レポート
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
パタゴニアが見据えるビジネスと地球の未来/ヴィンセント・スタンリー氏(前編)

ethicaがメディアパートナーとして参加した「サステナブル・ブランド 国際会議2020 横浜」が、2020年2月19日、20日の2日間にわたって開催されました。今回は、そこで行われた50を超えるセッションの中から、アメリカのアウドドア衣料品のグローバルブランド『パタゴニア』のヴィンセント・スタンリー氏のスピーチを、前・後編でご紹介します。環境問題に関して、アウドドア業界のみに留まらずビジネスの世界全体に影響を与えてきたパタゴニア。前編ではまず、ヴィンセント氏が語る環境への問題意識を聞いてみたいと思います。(記者:エシカちゃん)

自然の健全性・安全性・美しさを守るために

地球規模での脅威となっているコロナウイルスの感染拡大の影響もあり、イベント当日も、会場にはマスク姿の方が目立ちました。

ヴィンセント氏は冒頭で、そのマスクについて触れ、次のような言葉で語り始めました。

「今日も皆さんはマスクをつけていらっしゃいますけれども、これも環境がどんどんと悪化していることを表しています。天然資源は減っているし、自然環境も悪くなっている。わたしたちの惑星の状態がどんどん悪化してきているというのがわかります」

氏は、ある環境保護家の言葉を紹介しながら、次のように続けます。

「アルド・レオ・ポルドというアメリカの環境保護家がこのように言っています。『これまでの歴史を見てみるとすべてのバイオティックコミュニティ(生物圏)の健全性、安定性、それからまた美しさというものを保存していくことは正しいことなのだ』と。彼の提唱するバイオティックコミュニティには、人間の住むところも含まれており、その意味で人間種というのも、実は自然の一部なのだということを強調しています」

ところが私たち「人間種」は、自分たちの生活圏を含めた自然界の健全性や安全性、美しさを破壊するような行動をしてきたため、地球の気候変動は、いまや危機的状況となっています。

では私たちは、いまのような生活を送りながら、同時に「自然の健全性・安全性・美しさ」を維持するためにはどうしたらよいのでしょうか。

人や企業が「謙虚な態度」であるということ

環境問題に関心を持つ人々が共通に抱くこの問いに対して、ヴィンセント氏は、企業や人が自然に対して「謙虚な態度」であることの重要性を説きます。

「私たちはこの課題に対して、非常に謙虚な態度でいる必要があります。いままでやってきたこと、いまやっていることの結果に、私たちは今直面しているからです」

そして、たとえばビジネスにおいては「製品やサービスを提供する際に、地球環境に与える影響がどのようなものか」という点を常に考慮するなど、考え方を根本的に転換していくことが求められていると、ヴィンセント氏は続けます。

(後編に続く)

続きを読む(後編)>>>

ヴィンセント・スタンリー

ヴィンセント・スタンリーはイヴォン・シュイナードとともに『レスポンシブル・カンパニー』を共同執筆し、1973 年の創業以来パタゴニアに断続的に勤務しながらセールスまたはマーケティングの部長として執行の鍵となる重要な役職を担ってきた。現在ではパタゴニアの企業理念ディレクターを務め、イェール大学経営大学院の客員研究員でもある。

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

エシカちゃん

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (第1話)逆張り者
独自記事 【 2025/9/5 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (序章)最初の関門
独自記事 【 2025/8/31 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...
持続可能な酪農の実現を支える明治の取り組みと、乳業の歴史
sponsored 【 2025/9/3 】 Food
乳製品やチョコレートなどの食品を取り扱うメーカーである明治(Meiji)。大ヒット商品でもある「明治おいしい牛乳」や「明治ブルガリアヨーグルト」などは冷蔵庫に常備され、マストアイテムになっている…なんて家庭も多いのでは?そんな私たちの日常生活に欠かせない明治グループは、2021 年から「健康にアイデアを」をグループスロ...
【単独取材】料理に懸け30年、永島健志シェフが語る美食哲学
独自記事 【 2025/10/9 】 Food
この取材は、かつて学校が苦手な不良少年だった、永島健志さんが、料理という表現と出会い「世界のベスト・レストラン50」で世界1位を5度獲得したスペインのレストラン「エル・ブリ」で修業し、帰国後に体験型レストラン「81」を立ち上げた貴重な経験を語って頂いたものである。
アラン・デュカス氏が登壇「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク2025」 記者発表会レポート
INFORMATION 【 2025/9/15 】 Food
今年で開催15回目となる「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」は、少し敷居が高いと感じてしまう人もいるフランス料理を、馴染みのない人にも楽しんでもらいたいという思いから誕生したグルメフェスティバルです。期間中(9月20日〜10月20日)は、参加しているレストランにて特別価格で、本格的なフレンチのコース料理を...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (第2話)新天地
独自記事 【 2025/9/25 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...

次の記事

(第9話)「シンプルケアで体と向き合う」 キコの「暮らしの塩梅」
パタゴニアが見据えるビジネスと地球の未来/ヴィンセント・スタンリー氏(後編) 【サステナブル・ブランド国際会議2020 横浜】レポート

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます