国内外の観光客を強く意識し、文化的コンテンツの発信に力を注ぐ銀座の新スポット 銀座松坂屋の跡地に4月20日(木)、全9フロア241店舗が出店するエリア最大規模の商業施設「GINZA SIX」がオープン
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国内外の観光客を強く意識し、文化的コンテンツの発信に力を注ぐ銀座の新スポット

Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

銀座松坂屋の跡地に4月20日(木)、全9フロア241店舗が出店するエリア最大規模の商業施設「GINZA SIX」がオープンしました。注目のファッションブランドの出店は言うに及ばず、国内外の観光客を強く意識し、文化的コンテンツの発信に力を注ぐ銀座の新スポットを紹介します。

ニューヨーク近代美術館(MOMA)の設計も手掛けた谷口吉生のスタイリッシュな建築

「GINZA SIX」のシンプルでスタイリッシュな建築は、ニューヨーク近代美術館(MOMA)の設計も手掛けた谷口吉生によるものです。建物の中央に贅沢な吹き抜けを設け、建物の南北を貫通する歩行者専用通路(パサージュ)を整備し、屋上には緑豊かな庭園を冠しています。

全体的に開放感があり、軽やかで風通しの良い印象を受ける空間設計です。銀座の中央通りに面した全長約115mのファサードには、世界を代表する6つのラグジュアリーブランドが華やかに並びます。
そして館内は日本の障子や行灯から溢れる光を意識したという柔らかな光で包まれていて、ゆったりとしたフロア配置。ビルの中にいるとは思えないリラックスした雰囲気でショッピングを楽しめます。

国立新美術館での個展も話題、草間彌生のアート作品がお出迎え

空間づくりからサービスまで、銀座ブランドならではの上質さを追究した「GINZA SIX」の特色として、今回大きく掲げられているのが、この館内の至るところに配された「アート」です。

「GINZA SIX」のオープンを飾る館内のアートインスタレーションには、現在、国立新美術館での個展が大きな話題を呼んでいる草間彌生の作品が選ばれました。

中央吹き抜けの天井に提がる、赤い水玉模様で覆われた巨大なかぼちゃのバルーン。祝祭的でポップな色調の草間の作品は、まるでこの新施設を明るく照らし出すシャンデリアのようです。インスタレーションは今後、定期的に展示替えが行われる予定とのことですが、草間作品は「GINZA SIX」オープンのシンボルのように、訪れる人々の目に鮮烈なイメージとして焼き付くことでしょう。

同インスタレーション、および常設展示作品(大巻伸嗣、船井美佐、堂本右美)の監修には、森美術館(東京・六本木)の館長である南條史生が当たっています。南條氏は施設開業時のインタビューの中で「アートと商業空間のバランスと相乗効果にも注目してもらえたら」と語っています。

館内中央の吹き抜けを彩る草間彌生のアートインスタレーション。水玉模様とかぼちゃは草間彌生の代表的モチーフ。 Photo=Mirai Matsuzaki (TRANSMEDIA)

「STARBUCKS RESERVE® BAR」も併設、アートに特化した蔦屋書店

また「GINZA SIX」6階には、世界屈指のアートブックの品揃えを誇る蔦屋書店がオープンしました。同店ではフロア内にてアート作品の展示・販売を行う他、写真集などのオリジナル出版物の企画も。文具・雑貨のコーナーには美術工芸品のような精緻で優雅なアイテムが揃っています。

今回のオープニングにあたっては、杉本博司、名和晃平、蜷川実花の作品をフロア内に展示。下層階のアートプロジェクトに比肩する展示やイベントの開催が期待されます。同店には、コーヒーだけでなくアルコール飲料も提供する「STARBUCKS RESERVE® BAR」が併設されていて、23:30までのんびりアートを楽しめるのも嬉しいポイントです。

シックな雰囲気の「蔦屋書店」と「STARBUCKS RESERVE® BAR」。心ゆくまでアートに浸ることができる空間です。

渋谷・松濤にあった観世能楽堂を地下3階に移築

そして、地下3階に能楽堂が存在することは、他の商業施設と異なる「GINZA SIX」の大きな特徴の一つと言えるでしょう。この能楽堂は、渋谷・松濤にあった観世能楽堂の建材を移築して完成しました。能の公演に止まらない多目的な活用を視野に入れており、いずれ地下鉄の銀座駅まで地下道が繋がる予定です。

渋谷区松濤から移築した能舞台。きらびやかな上階とは一転、厳かな空気が漂っています。

観世流にとって銀座は、かつて将軍家から土地を拝領し居を構えていたゆかりの地。能楽堂移転開場の記念公演には、観世流はもちろんのこと他流の能楽師も集い、観世流の同地への帰還と新たな能楽堂の開場をことほぎます。

26世観世宗家の観世清和氏。プレス内覧会では「土蜘蛛」の仕舞を披露。 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

能舞台上で報道陣の質問に気さくに答える観世流宗家・観世清和氏。新しい能楽堂での抱負を語る。 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

徒歩圏内には歌舞伎座もあり、このアクセサビリティに優れた日本の伝統芸能の拠点が、日本人はもちろん、海外からの訪問者に対しても、日本文化を身近なものにして行くきっかけとなっていくのではないでしょうか。

新施設「GINZA SIX」が、世界中から人々が集まる銀座の街で、今後どのような流行を発信し、歴史と文化を育む施設に成長していくのか非常に楽しみです。

記者:松崎 未來

東京藝術大学美術学部芸術学科卒。同大学で学芸員資格を取得。アダチ伝統木版技術保存財団で学芸員を経験。2011年より書評紙『図書新聞』月刊誌『美術手帖』(美術出版社)などのライティングを担当。2017月3月にethicaのライター公募に応募し、書類選考・面接を経て本採用となり、同年4月よりethica編集部のライターとして活動を開始。関心分野は、近世以降の日本美術と出版・印刷文化。

ーーBackstage from “ethica”ーー

はじめまして。この4月からethicaのライターとして活動を始めました、松崎です。
ethicaライター最初の取材は、光栄にもアートな銀座の新スポット、G SIXのオープニング! 館内に入るや、草間彌生さんのインスタレーションにテンション急上昇、屋上庭園から地下の能楽堂まで、アートづくしのG SIXをとことん満喫させていただきました。

以下の動画では、海外メディアの眼を通して、あらゆる日本の文化が融合した新施設としてのG SIXがご覧いただけます。また、話題沸騰のG SIXイメージソング「目抜き通り」は、最新の流行と格式ある伝統が交差し、文化と情報が行き交う銀座の通りのイメージそのまま。椎名林檎さんとトータス松本さんのデュエットが、新しい物語の始まりを予感させます。「ほらご覧飛び出しておいで目抜き通りへ!」これからどうぞよろしくお願いいたします。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

松崎 未來

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