(第6話)「夫の服」【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第6話)「夫の服」【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

衣替え

先日、衣替えをしました。

家族3人分の洋服が夏服に入れ替わると、クローゼットの風通しが良くなったように感じ、なかなかいい気分です。

夫の服がシンプルに

ここ数年で、夫の服のスタイリングはずいぶんとシンプルになりました。

基本的に、トップスはモノトーンに少し色物が混ざるくらい、ボトムスは気に入っている形の色違いが数着ずつ。

どれを組み合わせても間違いないという、機能・効率重視な夫の服選びの集大成(!?)です。

 

夫にとって、毎日の服選びは家事の次くらいに煩わしさを感じることのようで。いまでこそ洋服のシンプル化に成功し、そのストレスから解放されたわけですが、それまでは「あー、毎朝服選ぶん、ほんましんどいわ……」としょっちゅう口にしていたのでした。

 

服選びは毎日のこと。前日になんとなく用意している様子ではあるものの、いざ朝を迎えると天気や気分で「これじゃない」となることも。

一度悩み出すとドツボにはまり、次々に服を出してきて、あれでもないこれでもないと鏡の前で試着。

「これどう思う?」と聞かれても、ごはんの準備やら娘のお世話やらでバタバタしている私も余裕がなく、

「いいんちゃう?」

「見てへんやろ」

「ごめん、わからへん」

といったやりとりをするうちに電車の時間が近づいてきて慌てて出ていく、という日もしばしばありました。

洋服が整ってごきげん

ストレスを感じること、やりたくないことにかける時間はとことん減らしたいというのが夫のモットー。一度方向性が決まると、徹底して快適化に努めます。

 

「もう、どれを組み合わせても間違いないのしか持たへん」。

基本は白、黒、茶で色物は少し。新しいものを買う時に、この色(形)は持っているから違う色(形)にしておこうと選びがちだったのが、気に入ったものは何着でも買う、というスタイルに。

合わせ方に悩む服、組み合わせが限定されてしまう服は手放し、綺麗なものは人に譲ったり、購入した店舗のリサイクルに出したり。

 

一度決めると無頓着というか執着がないというか。

あれもこれも大切にしたいと、つい手元に留めてしまう私にとって、そんな夫の潔さには目を見張るものがあります。

 

服が減ってスタイルが統一されたことで、洗濯物を片付けようと夫の引き出しを開けるたび、雑多に詰め込まれすぎて何がどこにあるのかわからない……となっていた悩みもおまけで解決。

衣替えもすんなりと終わり、半袖Tシャツが整然と並ぶクローゼットを眺めながら「いい感じやん」と夫とにんまり。

 

そんなこんなで夫にとって(私にとっても)ストレスが一つ減って、わが家には、以前より少し穏やかな朝が訪れるようになりました。

 

ちなみに、服選びに続く悩みの種らしいのが髪。とにかく量が多く、頻繁にカットに行かないとみるみる間にヘルメット化していきます。

身の回りのものをシンプルにすることに、年々積極的になっている夫。

洋服が整ってごきげんな姿を見て、数年後には丸坊主にしているかもしれないな……とふと思う私でした。

【連載】キコの「かぞくの栞」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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