読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第1章:ネパールと人々のつながり編(第3節) 「読者」と「ethica編集部」の交流の場(オンラインオフ会)連動企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」
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読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第1章:ネパールと人々のつながり編(第3節)

新企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」を担当します永島郁哉と申します。早稲田大学で社会学を学びながら、休日には古着屋に行ったり小説を書いたりします。

この連載は、ストレス社会に生きる私たちが、ふと立ち止まって「豊かさ」について考えるきっかけとなる、ささいな休憩所のようなものです。皆さんと一緒に、当たり前だと思っていた価値観を一つ一つほどいていく作業が出来たらと思います。

第一章は「ネパールと人々のつながり」と題して、全四節にわたりお送りします。ネパールでの人とのつながりをヒントに、皆さんと共にウェルビーイングについて考えていけたらと思います。

第1章 ネパールと人々のつながり

第3節 ティータイムは一日で一番大事なとき

日本はコーヒー大国と言われています。一日一杯は必ず飲むという人も多いのではないでしょうか。事実、全日本コーヒー協会の統計に依れば、日本人は一人当たり一週間に約11杯のコーヒーを飲んでおり、これはノルウェー、スイス、ブラジル、EU、アメリカ、コスタリカに次ぐ消費量です(2019年時点)。

一方、日本のサラリーマンの昼食時間が減少しているという統計(新生銀行グループ)があります。もちろん休憩時間自体が減少しているわけではなく、実際の昼休憩のうちサラリーマンが昼食に費やす時間が減少しているということですが、それにしても日本のホワイトカラーの昼食時間は2010年代に入ってからガクッと短くなっています。

余った時間に何をしているかと言えば、インターネットを閲覧したり(48.9%)、仕事をしたり(29.9%)、昼寝をしたり(29.2%)、同僚とおしゃべりをしたりする(20.1%)そうです。

と、ここまであまり脈絡のない話をしたように見えるかもしれませんが、これは私たちが「休憩」というものをどのように捉えているのかを考えるきっかけになります。一体どういうことでしょうか?ネパールでのとある出来事を出発に考えてみましょう。

ネパールの首都、カトマンズを歩くと目に付くのは、沢山のお茶屋さんです。さまざまなお茶葉を量り売りするお店が並び、観光客のお土産としても人気です。通りを歩いていると、店先で店主がお茶を飲んでいることもあります。

そんなお茶大国のネパールですが、私がホームステイしていた山間の村ももちろん例外ではありません。毎日、午前と午後に必ず一度ずつのお茶休憩があり、村のあちこちで作業する人々が各々自分の家でお茶を楽しみます。友人宅やお隣さんの家でお茶休憩することもあります。

私も村でのアクティビティの日は、何度かホームステイする家で、おばあちゃんの淹れてくれた温かいブラックティーを頂きました。その瞬間は何とも心地よく、一日のうちで一番心待ちにする時間でした。

雪の降ったある日、寒い寒いと言いながら、温かいカップを握りしめていた私は、ふと自分の周りを見回して、独りでに感動したことがあります。共に活動するネパールの学生、ホームステイ先のおばあちゃん、そして私が、文字通り膝を交えて座っているのです。その時間は単なる休憩ではなく、村の人々にとって大事なコミュニケーションの場であることを、その瞬間に認識しました。

その日あった失敗ごとを話したり、遠くに住む親戚の噂話をしたり。取るに足らない話ばかりですが、それぞれの表情から、この空間と時間がいかに個人の日常生活にとって意味のあるものなのか推し量ることが出来ます。

気付けばカップの中身は無くなっていましたが、誰もしばらく席を立とうとはしないのでした。

閉じてしまいそうな目をコーヒーで誤魔化し、昼休憩を仕事に充てることは、もちろん否定しようがありません。でも私たちは、そのコーヒーと昼休憩で、少しだけ日常に彩りを与えることも出来ます。

カップを片手に他愛ない話をすること、その光景が職場や街中で当たり前になれば、窮屈で緊張しきった社会で、少しの息抜きになるのではないでしょうか。

もちろん、一人でインターネットを閲覧したい気持ちもわかります。または、独りでいたい人を強制的にコミュニケーションの輪に混ぜるというのも良くありません。ですから、「コミュニケーションをしたい人も、したくない人も共に心地よく過ごせる」というのが、ここでは大前提です。

「他者と関わる」ということが自分にとってどんな影響を与えるのかを考えてみると、何か見えてくるものがあるかもしれません。

Talk over coffee(コーヒーを飲みながら喋る)をより身近に。もちろん独りの時間も大切に。そんな場所がウェルビーイングを育む土壌になるのかもしれません。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

[読者対話型連載]あなたにとってウェルビーイングとは何か

永島郁哉

1998年生まれ。早稲田大学で社会学を学ぶ傍ら、国際学生交流活動に携わる。2019年に公益財団法人イオン環境財団主催「アジア学生交流環境フォーラム ASEP2019」に参加し、アジア10カ国の学生と環境問題に取り組んだ他、一般社団法人アジア教育交流研究機構(AAEE)では学生スーパーバイザーを務め、ベトナムやネパールでの国際交流プログラム企画・運営を行っている。2019年9月より6か月間ドイツ・ベルリン大学に留学。

——Backstage from “ethica”——

今回の連載は、読者対話型の連載企画となります。

連載の読者と、執筆者の永島さんがオンラインオフ会(ZOOM)で対話をし、次の連載の話

題や企画につなげ、さらにその連載を読んだ方が、オンラインオフ会に参加する。

という形で、読者との交流の場に育てていければと思います。

ご興味のある方は、ethica編集部の公式Facebookのメッセージから、ご応募ください。

https://www.facebook.com/ethica.jp

抽選の上、次回のオンラインオフ会への参加案内を致します。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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