(第29話)寝る前のお話し時間【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
(第29話)寝る前のお話し時間【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

寝る前の読み聞かせの時間

お話が大好きな3歳の娘。

いつからか習慣になった寝る前の読み聞かせの時間は、私にとっても、一日の終わりにホッとした気分で娘との時間を味わう大切なひとときです。

 

最近のお気に入りは、定番の『3匹のこぶた』や『おおかみと七匹のこやぎ』など。

一度気に入ると、数日間に渡って同じ本を繰り返し読みたがります。毎晩毎晩繰り返し読んで、ある時パタリとその本のブームは過ぎ去り、また別の本を選んで、繰り返し読み続けます。

 

よく飽きないなぁと思いますが、そうやって同じ話を繰り返すうちに、次第に内容を覚え、一人遊びで絵本を広げストーリーをつぶやきながら同じように読んでいる姿を見ては、子どもの記憶する力ってすごいなぁと驚かされます。

 

一方で大きくなるにつれて一冊のボリュームが増えて、同じ絵本の繰り返しに眠気に襲われ、そのたびに「ままおきてー」と怒られる日もしばしば。

娘の読みたい気持ちに応えたいと思いながらも、数冊読むと気がつけば何十分も過ぎていることもあり、最近は1、2冊読んで、その後は電気を消して、本を読まずにお話をするようになりました。

お話の内容は、自分が子どものころに聞いて何となく覚えている『桃太郎』や『おむすびころりん』などの昔話をすることもあれば、「今日は誰のお話にする?」と娘に聞いて、娘や動物を主人公に空想の世界のお話しをします。

 

これが思いのほか楽しく、「きょうはぞうさんがピクニックにいくおはなしして!」「〇〇ちゃんとおかいのものにいくおはなしがいい」と娘が希望するテーマで、いろいろなお話を作ります。

想像を自由にふくらますことの楽しさや、お話のペースをいい塩梅に調整できるのは、読み聞かせではない、お話のよさかもしれません。

 

なかでも娘の一番のお気に入りは、過去のエピソード。

娘が生まれた日のこと、お熱が出て病院に行った時のこと、初めて注射をした日のこと。

それはそれは嬉しそうに聞いているのです。

 

そう言えば、私が子どものときも、一番ワクワクしたのは母に自分が小さかったころのエピソードを話してもらうことでした。特別な自分だけのストーリーが嬉しくて、何度も何度もお話をせがんだ記憶があります。

娘も今同じような気持ちでいるのかなと思うと、ますますこの時間を愛おしく感じるのでした。

お布団にもぐりこんで、娘と肩を寄せ合って絵本を読む時間は幸せな一方で、「あともういっこ!」とせがむ娘とのやりとりや、読み終わってからの寝かしつけに時間がかかることに、体力の限界を感じることも少なくなく。

 

娘に聞かせるお話の時間は、そんな毎日に心地よい変化を与えてくれました。

お話を聞きながら満足気に気持ちよさそうに眠りにつく娘の姿を見るのが、一日の中でも最も心安らぐ時間です(一緒に寝落ちてしまうことがほとんどですが)。

 

と言いつつ、最近はパパがしてくれる「だいぼうけん」のお話がお気にいりの娘。

そんなに夢中になるなんて、一体どんなお話なんだろうと興味が湧くのですが、二人とも「ひみつ!」と絶対に教えてくれません(笑)

 

これまで、「超」がつくほどママっ子で、寝るのもお風呂に入るのも何をするのも「ぜったいにママがいい!」だった娘ですが、これまた思いがけない変化があり、ふとできた一人時間に助かりつつも、ちょっぴり寂しくもあるこのごろなのでした。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (第1話)逆張り者
独自記事 【 2025/9/5 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (序章)最初の関門
独自記事 【 2025/8/31 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...
持続可能な酪農の実現を支える明治の取り組みと、乳業の歴史
sponsored 【 2025/9/3 】 Food
乳製品やチョコレートなどの食品を取り扱うメーカーである明治(Meiji)。大ヒット商品でもある「明治おいしい牛乳」や「明治ブルガリアヨーグルト」などは冷蔵庫に常備され、マストアイテムになっている…なんて家庭も多いのでは?そんな私たちの日常生活に欠かせない明治グループは、2021 年から「健康にアイデアを」をグループスロ...
【単独取材】料理に懸け30年、永島健志シェフが語る美食哲学
独自記事 【 2025/10/9 】 Food
この取材は、かつて学校が苦手な不良少年だった、永島健志さんが、料理という表現と出会い「世界のベスト・レストラン50」で世界1位を5度獲得したスペインのレストラン「エル・ブリ」で修業し、帰国後に体験型レストラン「81」を立ち上げた貴重な経験を語って頂いたものである。
アラン・デュカス氏が登壇「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク2025」 記者発表会レポート
INFORMATION 【 2025/9/15 】 Food
今年で開催15回目となる「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」は、少し敷居が高いと感じてしまう人もいるフランス料理を、馴染みのない人にも楽しんでもらいたいという思いから誕生したグルメフェスティバルです。期間中(9月20日〜10月20日)は、参加しているレストランにて特別価格で、本格的なフレンチのコース料理を...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (第2話)新天地
独自記事 【 2025/9/25 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...

次の記事

読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第5章:フリータイムの哲学編(第1節)
柴咲コウさんがプロデュースするクリーンビューティーブランド「HAFURI-ME(ハフリメ)」がデビュー

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます