【連載】季節のプラントベースレシピ プロローグ
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【連載】季節のプラントベースレシピ プロローグ

このたび、プラントベース料理のレシピの連載を始めることになりました。

キコと申します。

以前より、ehicaで”家族とウェルビーイング”をテーマに、夫と4歳の娘との暮らしを綴った「かぞくの栞(しおり)」という連載をしていますが、そのなかで、日々の食事がウェルビーイングととても深いつながりがあることを感じました。

体にも環境にも優しい、季節のプラントベースレシピ

少し私自身の話をすると、私が食に関心を持つきっかけとなったのは、幼少期からの悩みであったアトピー体質の改善でした。

治す方法をいろいろと調べるなかで「食べたもので体はできている」という言葉と出会います。マクロビオティックやグルテンフリーなど、調理法や日々口にするものをより自然なもの、体への負担が少ないものへとシフトしていったことで症状が少しずつ改善し、食の大切さを実感しました。

一方で、その当時は食生活に対してかなりストイックに気を使っていて、自分が「正しい」と思うものと異なる考え方を否定的に捉えてしまったり、反動でジャンクフードを食べては罪悪感を感じたり……と「何を食べるべきか」に振り回されて、しんどくなっていた時期もありました。

そんな経験から、美味しいのはもちろん、家族、そして自分が心身ともに健やかに過ごすための支えとなり、無理なく続けられる食のカタチを模索するようになりました。

そのひとつが、今回ご紹介するプラントベースの食事法です。

プラントベースとは、文字通り、植物由来の食べ物を中心とした食生活のことを表します。

植物性食品は、生活習慣病の発症リスク低下など健康上のメリットに加え、動物性食品よりも生産過程での環境負荷が小さいと言われており、環境保護にもつながる食のスタイルとして世界的に注目されています。

動物性の食品を摂取しないという点では、ヴィーガンやベジタリアンとも共通していますが、大きく違うのは、これらは宗教や倫理といった観点から菜食主義の食生活を厳密に守ることを基本としているのに対し、プラントベースでは、健康や環境などを考慮して菜食を基本としつつも、必要に応じて動物性食品を摂取してもよいとされていることです。

食生活を見直してみたいと考える方にとって、個々人の嗜好や状況に合わせて無理なく取り入れることができるプラントベースのゆるやかな考え方は、日々の食事を楽しみながら、自分らしい生き方を支えてくれるものだと感じています。

プラントベースと聞くと、なんだか真新しいものに思えるかもしれませんが、実は日本では、精進料理をはじめ、古くから根付いているものでもあります。

穀物、豆類、野菜、海藻など旬の素材を中心にして、発酵食品や乾物など保存食の知恵と技術を生かしながら、無駄なく美味しく食材を活用する和食の文化を日々の食卓に取り入れていくことは、暮らしのなかでできるエシカルな選択の第一歩だと感じます。

ご紹介するレシピは、主に野菜、雑穀、乾物、豆類、発酵調味料を使ったもの、おやつは米粉、甘酒をメインに使った、体に優しく、シンプルで簡単に作れるものです。

プラントベースというと、ひと手間かかって面倒そうだったり、なんだか物足りないような印象を受けたりするかもしれませんが、ちょっとした一工夫で、大人も子どもも満足できる美味しい料理になります。普段の食卓はもちろん、体調を整えたいときにもおすすめです。

どんなに「良い」とされることでも、環境のため、健康のためと、我慢や無理をしているのでは、決して長続きしません。

時には理想通りでなくたっていい。家族や自分の体感を大切に、無理のないペースで取り入れつつ、ゆるやかに向き合っていくことが、楽しく続けられるポイントかなと思います。

ちなみに、現在のわが家のお肉との付き合いは週に3〜4回ほど。完全にプラントベースにシフトしているわけではありません。

外食や友人との食事では何でも食べますし、お肉が好きな家族の嗜好も踏まえて、今は無理なくできるこのバランスに落ち着いています。ただ、お肉に限らずですが、買うなら出来る限り生産背景にも目を向けることは大切にしています。

生きることの根っこであり、こころとからだの健康、美容、地域社会、自然環境、あらゆる物事とのつながりをもつ「食」。

これから、娘も大きくなるにつれていろいろなものと出会い、今はまだ口にしていないファーストフードやジャンクなものに魅力を感じるときが来るかもしれないけれど(私や夫もそうであったように)、心身の健康の支えとなり、いつでも帰ってこられる「基本」となるような食事を作ることができたらいいなと思っています。

それでは、前置きが大変長くなりましたが、次回より娘のお気に入りのごはんとおやつ、そしていわゆるガッツリ系が好きな夫も「美味しいやん」と認めた(!?)わが家定番のプラントベースレシピをご紹介したいと思います。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

LINE公式アカウント
https://lin.ee/aXB3GQG

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (第1話)逆張り者
独自記事 【 2025/9/5 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (序章)最初の関門
独自記事 【 2025/8/31 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...
持続可能な酪農の実現を支える明治の取り組みと、乳業の歴史
sponsored 【 2025/9/3 】 Food
乳製品やチョコレートなどの食品を取り扱うメーカーである明治(Meiji)。大ヒット商品でもある「明治おいしい牛乳」や「明治ブルガリアヨーグルト」などは冷蔵庫に常備され、マストアイテムになっている…なんて家庭も多いのでは?そんな私たちの日常生活に欠かせない明治グループは、2021 年から「健康にアイデアを」をグループスロ...
【単独取材】料理に懸け30年、永島健志シェフが語る美食哲学
独自記事 【 2025/10/9 】 Food
この取材は、かつて学校が苦手な不良少年だった、永島健志さんが、料理という表現と出会い「世界のベスト・レストラン50」で世界1位を5度獲得したスペインのレストラン「エル・ブリ」で修業し、帰国後に体験型レストラン「81」を立ち上げた貴重な経験を語って頂いたものである。
アラン・デュカス氏が登壇「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク2025」 記者発表会レポート
INFORMATION 【 2025/9/15 】 Food
今年で開催15回目となる「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」は、少し敷居が高いと感じてしまう人もいるフランス料理を、馴染みのない人にも楽しんでもらいたいという思いから誕生したグルメフェスティバルです。期間中(9月20日〜10月20日)は、参加しているレストランにて特別価格で、本格的なフレンチのコース料理を...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【連載】評伝小説「ボルネオ・サラリーマン」 (第2話)新天地
独自記事 【 2025/9/25 】 Work & Study
この物語は、大阪を拠点とする一企業・サラヤが20年にわたり、ボルネオという地で環境保全活動に取り組んできた軌跡を一人のサラリーマン・廣岡竜也の目線から辿った記録である。 人と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」を生み出したサラヤが、環境を破壊しているという誤解を受けたことが発端となり、次々と困難が立ちはだかるも、諦めない者た...

次の記事

読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第12章:アリストテレスとわたし(第2節)
ビューティーブランド「クロノシャルム」がエストネーション六本木ヒルズ店でポップアップを開催!

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます