The Breakthrough Company GO クリエイティブディレクター 砥川直大さん(前編)
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The Breakthrough Company GO クリエイティブディレクター 砥川直大さん(前編)

Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、ペットボトルや魚網などの海洋プラスチックごみを再生して作った衣類や靴、かばんなどを次々に発表。現在ヨーロッパを中心に大きな注目を集めているスペイン生まれのファッションブランドが「ECOALF」です。この3月、日本第1号店が東京・渋谷にオープンしましたが、開店にあたり「地球の資源を無駄遣いしない」というブランドの思想を体現、他企業の掲出済み広告や廃棄予定の未使用ポスターなどを使って再利用したオープン告知広告を展開、大きな話題となりました。

そこで今回は、ECOALFの日本でのブランディングに携わるThe Breakthrough Company GOのクリエイティブディレクター砥川直大さんとエシカ編集長・大谷健太郎が対談、これまで歩んでこられた人生や今回の広告が実現するまでのご苦労などについてお聞きしました。

Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

GOで働くようになったきっかけ

大谷: 今日はよろしくお願いします。

砥川: こちらこそよろしくお願いします。

大谷: 砥川さんの経歴を拝見しますと、ソーシャルな面白い取り組みをいろいろとされていますね。GOで働くようになったきっかけからお話しいただけますか?

砥川: もともと海外で生活していたこともあって、外交官や国連の職員とか、あるいは国際弁護士といった、日本と海外を繋ぐような仕事をしたいなとなんとなく思っていました。

でも、大学に入ったら周りのみんなが賢くて、これは勉強では張り合えないなと思って 笑。それで天邪鬼なところも手伝って、子どもの頃から好きだった何かを作ることに没頭していったんです。料理を始めたり、銀細工で指輪を作ったり、サプライズを企画したり。そうしているうちに自分が考えて作ったもので人が喜んでくれるのをすごく嬉しく感じるようになってきたんですね。

それで就職を意識するようになった時、それを仕事として実践できる会社として学生だった僕が思いつくところは広告代理店しかなかったので、受かったADKに2003年に入りました。

大谷: 入ってすぐにクリエイティブなセクションに配属されたのですか?

砥川: いえ、最初は営業でした。営業も好きだったんですが、周りのクリエイティブの人たちを見てたらやっぱり憧れがあって、社内の転局試験を受けてCMプランナーになりました。

今でこそ映像というと、YouTubeをはじめとしてWEBにも出し先がたくさんありますが、僕がプランナーになった2005年頃はまだまだテレビCMが主戦場でした。それだけにテレビCMの企画が採用されるのはめちゃくちゃハードルが高くて。チームにはCDがいて、その下にプランナーが3人くらいいて、そのうちの1人となると企画を出しても全く通らないんですよね。クライアントに提案するいくつかの企画の1つに入るだけでも大変でした。

仮に社内で残ったとしても、それが競合プレゼンの場合、そのトーナメント勝ち抜くこともこれまた大変で並大抵なことではありません。というので、2年ぐらいは自分の企画は一切通りませんでしたね。

大谷: 僕も以前は広告業界にいましたので、砥川さんのそのご苦労はよくわかります。昔はそういう話がたくさんありました。

砥川: 今はSNSを使った拡散とか、デジタルでの体験設計とか、企画が必要とされる幅が広がったのでチャンスは格段に多くなっていると思います。でも、その当時はテレビがメインで、みんながそこに集中するので全然勝ち上がれなくて、週末に人と会っていたりデートをしたりしていても、頭の中ではずっと企画のことを考えていました。そんな生活を2年ほど続けていて、やっと企画が採用されたんです。

Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: その時は嬉しかったでしょうね。喜ぶ砥川さんの顔が目に浮かぶようです。その後はどうなりました?

砥川: あの期間があったからこそ、とにかく深く考えるというベースがそこでできたんだと思います、本当に辛かったですが 笑。そこからたくさんの仕事に携わらせてもらって、いろいろな縁があって海外広告賞の審査員をやったりしていました。その中で海外のクリエイティブに触れる機会が多くなって、海外ではクリエイティブとかアイデアで世の中をよくしていこうというような事例がすごくたくさんあることを知ったんです。

その時、クリエイターとして社会の課題にアプローチできるのは、すごく格好いいなと思ったんです。その頃の自分が向き合っていたのは、基本的にクライアントが抱えていた課題だったり、商品やサービスをいかにして広めるかということでしかなかったので、クリエイティブにはこういう使い方もあるんだなとすごく嫉妬しました。

そして、それがちょうど3・11の後のタイミングだったこともあって、自分は今、世の中のために何ができるのかを真剣に考え始めました。

大谷: あの東日本大震災で人生に対する考え方が変わったり、生き方を考えたという人はたくさんいます。砥川さんもそのお1人だったわけですね?

砥川: ええ。ちょうど僕自身も結婚して子供ができた時だったので、よけいに考え方が変わりました。

でも、震災がありつつも結局何もできませんでした。これでいいのかなという、そんな気持ちもあって、2012年にプロボノを斡旋している団体に登録して初めてプロボノをやったのがTENOHASHIという池袋にあるホームレス支援団体のお手伝いでした。そこのウェブサイトを刷新するというプロジェクトがあって、そのメンバーの1人として参加しました。

大谷: その時の経験が、おそらくその後の砥川さんにとって大きかったのではありませんか?

砥川: おっしゃる通りです。それまでADKという広告代理店のクリエイティブを何年かやってきて、自分のスキルが広告代理店の中では成立していました。でも、はたして外に出るとどうなのかという感覚がその時にはあまりなかったので、それでプロボノをやってみたんですが、そうすると何かを広めるとか伝えるという、自分がこれまで会得してきたことが世の中の役に立つんだなと肌で感じることができたんです。

これはすごくいいなあと思ってさらに続けていくと、一般論としてNPOの人たちというのは思いはあっても、それを伝えるのがあまり得意ではないことが多くて、逆にいうと僕は広めたり、伝えたりすることを生業としてきたので、すごく自己有用感を感じて、そこからいろいろなNPOや市民団体のお手伝いをするようになりました。

大谷: その間、もちろん会社の仕事を続けながらですよね?

砥川: ええ、そうです。それでADKに14年いて、そろそろ新しいことにもチャレンジしてみたいという思いが強くなっていたタイミングで、事業側に行ってみたかったというか、商品やサービスといった、言われたものを広げるよりも、何か広がるものを作る側に行きたい。来たものをどう広げるかというよりも、もっとこうしたほうが広がるんじゃないかと考えるほうに携わりたいと思って、事業クリエイティブを掲げているGOに入りました。

Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: 今、砥川さんにお話しいただいた中で、僕がいいなと思ったキーワードがいくつかありました。

1つ目は子供の頃からものづくりが好きだったということ。2つ目は外交官になりたかったということ。そして3つ目は社会課題の解決を格好いいと思ったことです。

それと、2003年に入社されたということでしたが、僕が前職に中途入社したのも2003年で、その時ちょうどブロードバンドがやっと行き届いて、インターネットはまだまだテレビに勝てるような状況ではありませんでしたが、それでも結構面白い時期でした。その時に僕も広告の仕事をしていたこともあるので、同じようなコンペに出たこともありますし、その意味で砥川さんにすごいシンパシーを感じました。

お話を聞いていて一番のターニングポイントは、たぶん3・11だったんだろうなと思いました。3・11の時が、たぶん30歳になるかならないかの頃で、僕も29歳から30歳になる時にはいろいろとすごく考えました。何といっても、30歳というのは人生の最初の節目じゃないですか。

ですから、そういう時期だし、さらにご結婚をされたり、お子さんが生まれたりしてとご家族のこともあって、そういうことが3・11の時に集約して身に降りかかってきたのではないですかね。

砥川: 今考えてみると3・11もですが、やはり子供が生まれたことが一番大きかったですね。子供が生まれて、妻も働いているので、公平な共働きがしたいと思っていました。

大谷: 奥様は同じ業界ですか?

砥川: 当時は妻もADKで働いていて、ちゃんとキャリアを積んできたタイプでした。そういう女性が子供を生んだために第一線を退いて、時短勤務になったり職種を変えなきゃいけないというのもフェアではないし、仮にそういうことをしてしまったとすると、この会社は子供を生むと第一線を退かなければいけないという、周りの後輩の女性たちへの悪いメッセージにもなってしまいます。それは彼女たちにとって不幸だし、同じ会社にいるからこそ、そこは公平にしたいと思いました。女性が子供を生んだとしても、今までと同じようにちゃんと活躍できるということを見せたいと思いました。

それで、週の半分は子供を朝送って行ったり、迎えに行ったりということをやり始めたんですが、そうすると今度は自分の時間がめちゃくちゃ限られているということに気がついたんです。

大谷: 今、お子さんは何人ですか?

砥川: 6歳と3歳の2人です。

それで、自分の時間が有限だと気づいた瞬間に、これって重要なんだっけとか、この仕事は本当に自分のやりたい仕事だっけと、疑問を持つようになって、その時、自分の限られた時間を費やすものって何だろうと考え直すきっかけになりました。

こうやって考えてみると、やっぱり個人的には3・11よりも子供が生まれて、自分の時間が限られ始めたことのほうが大きいかもしれませんね。そして、子育てをするようになって、子供を取り巻く環境とか、保育システムはどうなってるとか、独身の時には気がつかなかったいろいろなことに気づき始めたんです。

Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: 実は2013年にエシカを一緒に立ち上げたスポンサーがオーガニックコスメのメーカーさんで、エシカルとかエコとかロハスなどを学ばせてもらいました。

エシカを立ち上げた時、オーガニックコスメはそんなにバカ売れしていたわけではありませんが、ジワジワと人気になっていました。その後、マーケットは順調に推移していると思うのですが、女性たちが、なぜオーガニックコスメを買うのか、あるいは他の商品からブランドチェンジするのかというと、答えは分かり切っていて、妊娠した時なんですよ。自分の身につけるものが赤ちゃんにとっていいものなのかどうか、そこで初めて真剣に考えるわけです。

(中編に続く)

続きを読む(中編)>>>

砥川 直大(とがわ なおひろ)

The Breakthrough Company GO クリエイティブ・ディレクター

戦略を含めたコミュニケーション全般の設計から、表現までの全てを手がける。近年は企業のブランディングや新規事業開発にも従事。クリエイティブの力で社会をポジティブに変えていくことを信念に、プロボノを含め様々なアクションを展開。Cannes Lions、Spikes Asia、PRアワードグランプリ、2014年クリエイター・オブ・ザ・イヤー メダリストなど。

2019年3月よりReadyforソーシャルプロデューサー。二児の父。調理師。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業8期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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